魔法の靴?魔神の鎧?
ばれたくないの、弱音の飼い主。
子猫のような鳴き声真似ても、寄ってくるのは害獣駆除員。
害のない噂話を転がして、嬉々として走るよ勝者の進軍。
高いやら低いやら、行き倒れそうな魂を踏みにじり、響かすのは彩色兼備の自慢の靴。
どこで買ったの、魔法の靴?
どこで手にいれたの、魔神の鎧?
倒せや倒せ、詳しいことは知らないが、きっとお前は私の敵だ。
消えろや消えろ、本当かどうかは知らないが、きっとお前は世界の敵だ。
高貴な志を教え込まれた隸属は、血で汚れない悪事を働く。
自慢の靴で踏み潰す、手が届かなかった唯一の夢。
自慢の鎧で薙ぎ倒す、叶わなかった無比の夢。
進むしかない尖った靴で、締め付けられる爪先に、微かに残るは時間も忘れた子供の残像。
あんなに笑えたのに、確かに残るは呆気ない胸騒ぎ。
もう何も言うまい。
今が残酷な遊戯の時間なのは、変えられない。
もう何も聞くまい。
今が残念な弁護の時間なのは、変えられない。
堅牢な鎧に守られても、聞こえてくる、唯一の子の泣き声が。
万能な靴で守られても、伝わってくる、忘れられないときめきが。
ばれないように、揺らめく街明かりに笑顔を照らす。