冒険と突発クエスト3
あれからアイアンゴーレムを倒しつつ、砂鉄を取り込み奥まで進んできた。だんだん攻撃力というか、切れ味が上がってきた気がしないでもない。
一応取り込まずに倒してみたが、ドロップアイテムは鉄のインゴットで、量は少なかった。
「ここは...」
突然、広い空間に出た。暗くて見にくいが、四角い部屋のようだ。
「明かりとか無いかなあ...。...お、これは」
入り口近くの壁をさわっていると、スイッチのような突起物を見つけた。
町にあった街灯とか、ガス灯のようなものにしては、箱が見当たらない。暗いから見えないだけかもしれないが。
カチッ
「おぉ。なんかすごくファンタジーっぽい。でも、町にはこんなものなかった気が...」
スイッチのを押した後、部屋天井の中央あたりに光の球が出現した。部屋の中を見回すと、石板のようなものがある一方の壁に貼ってあった。
ほぼほぼ崩れたり割れたりして読めなさそうだが、なんとか読めるものがあった。
「んー、なになに...」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
我々は敗北した。あの恐ろしい化物には成す術もなかった。技術のある強者は軒並み倒され、多くの街が襲われた。ヤツは、いや、ヤツらは力を使い果たして休眠に入ったようだが、我々の被害は甚大である。
このままでは我々の、ヤツらに関する記憶が消えてしまう。そこで、この場所に記しておくこととした。
高名な『予見者』によると、この後の時代、異界から多くの何かが訪ねて来るらしい。その者たちにヤツらを打倒することを託すため、ある【力】を置いておいた。
これを読む貴方が、その者である事を願って...
押して下さい→◼️
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんだこれは。この違和感は。
「これは、あれか、良くある世界設定というやつか。『ヤツら』の正体は気になるが、なんかスキルもらえるなら今はいいか。よし、ポチっと」
〈スキル【英傑】が付与されました〉
「おお、字面が強そうだ。効果はーー」
【英傑】
効果
敵対モンスターに相対したとき、自身のSTRが5%アップ。
自身の合計ステータスより敵の合計ステータスが高い場合、AGIも5%アップする。
「ステータスアップ系はいいな。コストが無いのが尚良い」
さて、そろそろ帰るか。あの見るからに出口のような魔法陣に乗れば良いのかね。
「うおっ!」
結局、違和感の正体は分からずーーー
魔法陣に完全に乗った瞬間、光出してエレベーターが止まる時のような感覚に襲われた。目を開けると、そこは森の出口の近くだった。
「さて、今回の戦利品を換金しに行くか」
フラグの立った気配もなく、特殊な演出もなかった。あのクエストはプレイヤーの強化のために置いたのかな。それにしては、森の奥地だった気が...。まあ良いか、スキル貰えたし。さて、次はどこを探索しようかなーーーー
ーーー彼は、まだ、気づいていない。このクエストから、このゲームの、いや、『物語』の進行が開始した事をーー
これにて一章が終了します。次は、イベントに入る予定です。