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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

テンプレをこれでもかと詰め込まれたクラス転移


それは4時限目のコミュニケーション英語の授業が終了5分前となり、生徒がそわそわし出してきた時のことだ。

俺たち、〇〇高校の2年3組の生徒は皆淡い光に包まれ、跡形もなく姿を消した。




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〇ステータス

新見 聡

・スキル

【強奪】lvl--…スキルを保有する生物を殺害することで対象が保持しているスキルを全て会得することが出来る。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変出来る。

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「あー、強奪なぁ…。一時期流行ったよなー」

明らかにチートなスキルであるが、素直に喜べないのには理由がある。



「さぁ、勇者様方。ステータスのご確認は終わりましたか?完了次第、私に報告をお願い致します。」

近衛騎士団長と名乗る女性がよく通る声でアナウンスする。

すると、委員長を皮切りに列を形成し、配られたステータスボード(手をかざした者のステータスを知ることが可能な板)を返却していく。

列の最後尾一個前に並びながら、前のクラスメイトのステータスボードのスキル欄をチラッ見てみると、【錬金術】と書いてあった。


が、俺は知っている。目の前ですまし顔を披露している男が本当は【創造】と【偽装】のスキルを保有していることを。それだけでなく、列に並ぶ直前までにやけ顔を必死に直そうとしていたことも。いや、今もよく見れば口角が少し上がっていたわ。



これで察したなろう中毒者もいるだろう。彼は偽装スキルで自身のスキルを俺TUEEEの布石の為に弱く見せているのだ。

いや、彼だけではないこのクラスの1人を除く全員がチートスキルを持ち、偽装で隠している。


おわかりだろうか。男女共々、チートスキルを手にしてこれから起こるであろう自分の無双劇に思いを馳せているのだ。

何故それを知っているのかといえば、ステータスボードを配られ、クラスメイトがステータスを確認し、頭が俺TUEEE色に染まって、呆けている隙に俺がこっそり全員分のステータスを後ろから覗き見させて頂いたというだけである。



それはともかく、やたら自信満々なクラスメイトばかりの中、唯一オドオドしている奴が俺の後ろにいる。

なぜ、このチーター軍団の一員の筈なのに胸を張っていないのか。それもそのはず、彼はスキルを保持していないのだ。


なんてこった!!せっかく、魔王の脅威に対抗するために多大なコストを消費して勇者たちを召喚したのにスキルを持たない役立たずなんて国から追放か、それでなくとも冷遇されてしまうのは自明の理ではないか!!


…はぁ。



---


日が沈み、ようやく自由時間を与えられたので、召喚された王城の中庭で俺は黄昏ていた。

ちなみに先程列の後ろに並んでいた彼は夕食の時には消えていた。


「あー、どうしたもんかね」

というのも、皆が皆テンプレチートで俺SUGEEE!するならば、いずれクラスメイト同士で戦うことになる事態が起きてしまうかもしれない。もし、教師も転移してきていればまとめあげられていたかもしれないが。うちの委員長は人望ないし。


「勝てる気がしねぇ…」

そうなのだ。俺のチートスキルである強奪は敵に対抗しえるスキルを予め、何らかの生物を殺害して奪っておかなければならないのだ。

しかし、クラスメイトもとい、なろう主人公たちにそこらのスキルをいくら集めたところで勝てるビジョンが見えない。


『クラスメイトを倒せない』問題を解決するには、主人公に匹敵するスキルをもつ生物を殺さなければならない。


「戦いを避けるのが1番だけど…やるしかないか」


この状況を打開可能な簡単すぎるプランを実行するために俺は勇者たちにあてがわれた寝室に向かっていった。


---


時は流れ、ついに俺は目的の魔王城へと辿り着いた。


「今思えば色々あったな」


勇者としての旅が終わろうとしていることに感慨を覚える。

訳あって身分を隠して訪れた冒険者ギルドではよく分からないイチャモンで絡まれ、たまたま出くわしたドラゴンを倒したら人化してヒロインになったり、実は王様がよからぬ事を企んでいたので成敗したり…

異世界小説のテンプレを大抵味わったものだ。


「さくっと魔王を倒して終わらせちゃいますか」


魔王がクソほど強かったり、良い奴だったりするのも準テンプレであるが、その時はその時だ。


「いざ、魔王城!」


俺の掛け声に反応する者は誰もいなかった。


---


一応意気込んでみたものの、魔王城は見事にもぬけの殻で、1度もエンカウントすることなく最上階のいかにもといった装飾の入った巨大な扉の前にたどり着いた。


「なろうはともかくRPGなら大問題だな」


特に気負うことなく扉を開ける。すると、奥の一際高いところに玉座があり、その周りには魔王やその配下と見られる魔族たちが死体として転がっていた。


そして玉座にて堂々と足を組み、俺を見下ろしているのは追放された例のクラスメイトだった。


「久しぶりだな、新見 聡くん。俺を見捨てた癖に知らぬ顔して勇者の特権を振りかざしてきた楽しい生活は楽しかったかい?」

「まぁ、それなりに」

「それはそれは。君は最初からいい思いをして、苦痛もなく過ごしてきたんだろうね。それに比べて俺はどうだ、初日からお前らに役立たず呼ばわりされて底が見えない崖から落とされ、なんとか生き延びたが地上の遥か下で魔獣に追われ、虫を食べ泥水を啜る生活を余儀なくされた」

「ほーん、頑張ったな」

「それでも俺は地獄から抜け出した!お前らへの憎しみが強い執念を産み、最凶の力をもって地上へ返り咲いたのさ」


召喚された日、スキルを持たなかった彼はどうにかして魔王や配下を相手にしてもひと捻りで倒せる力を手に入れたらしい。



実に欲しくなるではないか!!


彼を鑑定(• •)スキルで見てみると、【復讐者】と【〒¥°「】というスキルを持っているようだ。文字化けしているスキルというのも異世界小説の鉄板である。素晴らしい!


「そうだ、お前他のクラスメイト達はどうした。噂では勇者は一人だと聞くが、本来は俺を外して39人の筈。なぜお前しか表に顔を出していない」

「……それがプランだからだ」

「そうかよ、ま俺はお前らに復讐出来ればなんだっていいんだ。取り敢えず勇者として脚光を浴びているお前を殺して血祭りの開幕といこうか!」


そういって彼は魔法陣を展開する。立体構造で何重にもなるその陣は血色に染まっていた。


「くらえッ!罪魔法第十階梯『怨嗟』」


ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!

封じ込められているかのように鎖で雁字搦めにされた紫の頭蓋骨が魔法陣から現れ、嘆いた。

その途端、彼の周りを除く全てが腐食し、蝕まれていく。

この魔法を食らうと、如何なるものであれ即座に蝕まれ、死は免れないだろう。


魔法無効(• • • •)スキルをもつ俺には関係ないが。


「ふん、流石腐っても勇者ということか…ならばッ!」


彼はどこからともなく禍々しい剣を取り出し、これまた禍々しいマントを靡かせ打ちかかってくる。


それを俺は創造(• •)スキルでノータイムで美しい装飾が施された剣を作り出し対抗するとキィンと鋭い音が腐食した玉座の間に響く。


「ハッ!その剣がどれほど業物であろうと無駄だ!この剣には刃が触れた全てを腐敗させ自然へと帰す能力がある。お前がどれだけ足掻こうと死ぬ運命は変わらない!」


彼は腐らせるのが好きなようだ。確かに、手に持っている剣が打ち合った箇所から黒く染まっていく。気持ち悪いので、今持っている剣を投げ捨て新しい剣を創造し構えた。


「なるほど、剣を創り出せるのか。だが、魔力はいつまで持つかなぁッ!」


彼と俺は何度も剣を交え、創造した剣に腐食が広がっていく度に剣を新しく創造し、また剣を交えた。


「魔力切れは狙えそうにねぇなぁ。ならこれはどうだ!」


何度でも創造される剣に見切りをつけたのか、虚空から二丁拳銃を取り出し狙いをつけずに発砲する。


「これは的に命中するまで追跡し続けるホーミング弾だ。弾はいくらでもある。さぁ、踊れェ!」


銃口から弾が飛び出し、常人なら反応すら不可能な速度で俺に風穴をぶち開けようと向かってくる。


この程度、無視で問題ない。


俺の周囲を旋回する超小型アクティブディフェンスシステムがレーザーを発射し銃弾を撃ち落とす。

彼はさながらトリガーハッピーのように引き金を引くが、全ての弾丸が撃ち落とされる。


これは()()()()()スキルにより作成されたものだ。


「これも効かないのか…なかなかやるじゃないか。仕方ない、奥の手を見せてやる!」

「もういいわ。これで俺の勝ちな。」


()()()()による転移で間合いをとり、彼を中心に球状の()()()()()()スキルを発動する。これで内部から外部への干渉は一切出ないようになった。彼が何やら叫んでいるが、このスキルは声すらも遮断する。

そして、()()()()()スキルで防壁の内部に核爆弾をぶち込んだ…


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しばらくして核の影響を消し、内部を確認してみると彼は炭化し見るも無惨な姿になりながらも原型を保ち、胸は微かに上下していた。


生きているのは知っていた。何故ならスキルを強奪出来なかったから。


止めを刺そうとして防壁を解除し近づくと、おもむろに彼は俺の脚を掴んだ。


「ハァハァ…、おまえ、復讐者ってスキルを知ってるか?……自らの魂を死神に売る代わりに触れている復讐対象を無条件で殺すことが出来るんだ……地獄で会おうぜクソッタレが」


逃げる間もなく俺の目の前は黒く染まり、意識を失った。




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気がついたら俺は召喚されていた。


近衛騎士団長を名乗る女性の案内の元場所を移し、ステータスボードが配られた。


手をかざすと…


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〇ステータス

新見 聡

・スキル

【強奪】lvl--…スキルを保有する生物を殺害することで対象が保持しているスキルを全て会得することが出来る。

【偽装】lvl390…自身のステータスを自由に改変出来る。

()()】lvl--…望む情報をアカシックレコードに接続し閲覧することが出来る。

()()()()】lvl--…あらゆる魔法ダメージを無効化する。

()()()()()】lvl10…スキル保有者の産まれた文明を基準とし、近未来の装備を作成出来る。

()()()()】lvl--…世界群を管理するシステム

()()()()()()】lvl10…絶対防御防壁を展開する。規模はlvl依存。

()()()()()】lvl10…スキル保有者が知るあらゆる軍事物を召喚する。

()()()()】lvl--…スキル保有者の死をトリガーとし、時間を遡行し蘇生する。

()()()()】lvl10…思い通りの容姿の人族になれる。制限時間はlvl依存。

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ステータスを見て納得する。あの時彼の最後の足掻きで共倒れになり、死に戻りによって戻されたのだ。



周りを見ると前と変わらず自分SUGEEE!を夢見て全員呆けている。

少し覗かせてもらうと、


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〇ステータス

新島 明

・スキル

()()】lvl--…望む情報をアカシックレコードに接続し閲覧することが出来る。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変出来る。

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〇ステータス

相澤 奏

・スキル

()()()()】lvl--…あらゆる魔法ダメージを無効化する。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変できる。

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〇ステータス

本田 元

・スキル

()()()()()】lvl10…スキル保有者の産まれた文明を基準とし、近未来の装備を作成出来る。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変できる。

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〇ステータス

斎藤 拓

・スキル

()()()()】lvl--…世界群を管理するシステム

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変できる。

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〇ステータス

明石 千恵

・スキル

()()()()()()】lvl10…絶対防御防壁を展開する。規模はlvl依存。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変できる。

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〇ステータス

矢倉 蒼

・スキル

()()()()()】lvl10…スキル保有者が知るあらゆる軍事物を召喚する。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変できる。

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〇ステータス

茅野 九郎

・スキル

()()()()】lvl--…スキル保有者の死をトリガーとし、時間を遡行し蘇生する。

【偽装】lvl10…自身のステータスを自由に改変できる。

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前とステータスが変わってる奴はいないと…。

















チートスキルのレベルを更に上げてみるか






読んでいただきありがとうございます!

少しホラーテイストになってしまいました。苦手な方には申し訳ないです。

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