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第6話 僕にもあった!

 ふー!

 ヒコちゃんの作ってくれたごはん、すごく美味しかった。


「猪だからクセがあるかと思ったけど、牛肉みたいで食べやすかったね。一応味つけは味噌にしてみたけど、塩コショウでも全然いけたかも」

「へー、じゃあ次は違う味で食べてみたいなぁ」


 ニラっぽいものはもちろん初めて食べたけど、シャキシャキでまた食べたいくらいだった!

 今はよく冷えたコモモの実でデザートタイム。甘くて冷たくてこれも美味しい。

 食べながらヒコちゃんに新しい話を聞いていく。


「デザート終わったらお片付けして、まずは猪の毛皮をお洗濯するよ。寝る時のお布団にするから」

「わかったー」

「そのあとはきぃちゃんに確認しておきたい事があるからそれやって、早めに寝ようね。光魔法で明かりはつけられるけど、魔物が寄ってくるといけないから。で、明るくなったら起きて、明日は魔法の練習してみよっか」

「ね、寝てる時に魔物が来たりしないかな?」

「しっかりバリア張って寝ればたぶん大丈夫じゃないかな。魔物が来たらさすがにあたしは起きると思うし。犬だから」

「う、うん。頼りにしてる」


 僕のビビりセンサーも発動する気がするよ。

 っていうか、少しでもヒコちゃんのお手伝いしたいからセンサーくらいしっかり発動してもらわないと。


 そんな話をしているうちにデザートも食べ終わったのでお片付け。

 ヒコちゃんの水魔法で食器を洗う。

 洗い終わったら布で拭いてケースにしまっていく。


「そういえばヒコちゃん、このケースどうしたの?」

「あー、それね。後でするお話と関係あるから」

「そうなんだー。わかった」

「先に毛皮のお洗濯ね」

「はぁい」

 

 ヒコちゃんは右手に水魔法の球、左手に火魔法の球を作った。

 水球に火を入れると、ジュッと音がした。


「ぬるま湯くらいだと思うんだけど、きぃちゃん確かめてくれる?」

「ほいさ」


 そっと手で触るといい感じのお湯だった。


「大丈夫みたいだよー」

「おっけー!じゃあ毛皮入れちゃって。洗剤はないからそこに出したせっけんのかけら入れてね」


 毛皮とせっけんを入れると、水球の中で毛皮が洗濯機の中みたいに回る。

 クルクル。

 泡が黒い。

 何度か水球とせっけんを取り替えて、泡が白くなったところですすぎ。

 毛皮がキレイになった!

 ギューっと毛皮が絞られて、風魔法で乾燥。

 ふわふわなお布団の完成!


「これで今日から夜は快適だね!きぃちゃん、お手伝いありがとう」

「少しでもお手伝いできてよかった」

「偉かったよー」


 ヒコちゃんがほめてくれるとやっぱりすごく嬉しいなー。えへへー。


「さぁて、じゃあ大事なお話していこうか。魔法とも少し関係ある話なんだけど…」

「うん」


 どんなお話だろー。


「さっきお料理に使ってた道具とかケース。どうしたの?ってきぃちゃん聞いたけど、あれの話からね。あの道具たちは、【アイテムボックス】ってのに入ってたんだ」

「…?」

「きぃちゃんが起きる前にいろいろ調べてて見つけたんだけどね、魔法の空間?が使えるの。たくさん荷物を入れられたり、異世界人仕様で空間の中は時間が進まないから食べ物も悪くならないの」

「えー!それってすごくない!?」

「うんうん、すごいよ。んで、なぜか最初から中にいくつかアイテムが入ってたってわけ」

「へーへー、嬉しいね!何が入ってたの?」

「調理セットと調味料セット、あとは服とせっけんとシャンプー?布類もあったな」

「それでごはんも美味しく作れたんだ!」

「そうなの!で、きっときぃちゃんにも【アイテムボックス】があると思うんだけど…確認してみよ!」

「わかったー!!」


 ヒコちゃんの話を聞いてドキドキな僕。

 僕にもあるかなー何か入ってるかなー?


「【アイテムボックス】ってどうやって確認したらいいの?」

「えっとねー」


 ヒコちゃんの説明の通りに目の前の空間に手を伸ばしてみた。

 スッ…

 手が入った!あったよ【アイテムボックス】!


「ヒコちゃん!あった!やったぁ!」

「きぃちゃんやったね!」


 イェーイと2人で両手ハイタッチ。

 さてさて、僕の【アイテムボックス】にも何か入ってたりするのかな?ワクワク。


【アイテムボックス】の中に入れた僕の手に何かが触れた。

 袋…に入った細長い筒?

 にゅうっと引っ張り出してみる。結構長い、緑色の袋。上の口が紐で縛ってあった。


「ヒコちゃん、これなんだろね?」

「あっ、もしかして」


 僕の手から袋を受け取って、紐をほどいて中身を出すヒコちゃん。

 棒とか、袋と同じ緑の布?が入ってた。


「やっぱり!きぃちゃん、これテントだよ」

「テントっていうと…キャンプの時にみんなで寝たハウス?」

「そーそー!毛皮布団とテントで快適だぁー」


 わぁい!

 確か組み立てるとハウスになるんだよね。

 屋根がついてお天気も安心。

 いいもの入ってたなぁ~。


 他にも何かあるかな?

 また【アイテムボックス】に手を入れる。

 …あった、布っぽい手触りだよ?


「これは…リュック?それに、まだ布っぽいのが…あ、これは肩に掛けるカバンかなぁ。郵便屋さんみたい。カバンは2個あった」

「ほほぅ。【アイテムボックス】は人前では使いにくいから便利かもね。ちょっとよく見せて」

「はい」


 リュックとカバンを渡す。

 1つずつじーっと見ていくヒコちゃん。


「ほむ。リュックとカバン1つは普通のだね。あと1つのカバンは【マジックバッグ】だって!」

「ん?普通のと【マジックバッグ】って違うの?なんでヒコちゃんには違いがわかるの?」


 2つのカバン、見た目はほとんど同じなのにー。


「あー、そこ説明しなくちゃか。ちょっと話飛ぶけど大丈夫?」

「う、うん。頑張る」

「えっとね、今あたしがじーっとカバンを見てたのは【鑑定】ってのをしてたの。今日食べた木の実とかお肉、キノコなんかも【鑑定】でどんなものか調べてから食べたんだよ」

「そうだったんだ!ヒコちゃんすごいね!」

「たぶんきぃちゃんにも出来ると思う。1つ問題はあるんだけど…」

「問題?」

「【鑑定】って、ウィンドウに字が出てくるのね。元の世界の文字。きぃちゃんが読めるのかなーって」


 ウィンドウってのはよくわからないけど、きっと問題は字の方だよね。

 ぐぬぬ…。


「ま、読めなかったらあたしが鑑定すればいいだけだし。きぃちゃん、ちょっとやってみて」

「うん!」


 そうそう、とりあえずやってみなきゃね!


「じゃ、まずはリュックを見て。これは何だろう?って思いながらじっと見てみて」


 ようし。

 じーっと、じーっと。


 じーーーーっ。


 リュックに重なって、字の書いてある四角い枠が見えてきた。

 ウィンドウってこれの事かな?


「字の書いてある四角い枠が見えたよ!」

「お!【鑑定】はできるみたいだね。その四角いのがウィンドウって言うんだ。…で、字は読めそうかな?」

「えっと…」


【布のリュック】


 布で出来たリュックサック。背中に背負える。両手が空くので便利。ポケットもたくさんついている。


「わかる、読めるよ!【布のリュック】だって!」

「やったー、きぃちゃん偉い!字が読めちゃったね!!」

「わーい♪これで僕も【鑑定】ってのが出来るんだね」

「うん!それじゃあ順番に鑑定していこっか」


 ふふーん、僕も字が読めちゃった♪

 また少しヒコちゃんのお手伝い出来る事が増えたぞっと!


「じゃあ次は肩に掛けるカバンを見てみるね。こっちは…」


【布の肩掛けカバン】


 布でできた肩掛けカバン。軽くて丈夫、使いやすい。結構たくさん入る。


「こっち、普通のカバンみたい。じゃあこっちが?」


 もう1つのカバンを鑑定。


【マジックバッグ】


 見た目の100倍くらい中身が入れられるバッグ。重くならない。時間経過あり。


 ブハッ!!

 何これ!?

 カバンの見た目はヒコちゃんが2匹入れそうな大きさ…


「に、2匹の100倍って…」

「ん?200匹だよ」


 200匹のヒコちゃん!!

 可愛すぎ…じゃなくてすごくいっぱいだ!!

 なんてこった…


「ヒコちゃん、このバッグすごいね…」

「うん。【アイテムボックス】も他もいろいろだけど、この世界の事がわかるまでは秘密にしとくのがいいと思う」


 だよねぇ。はぁ。

 ビックリしすぎて胸がバクバクだよ。

 もうお腹も胸もいっぱいになっちゃったけど、【アイテムボックス】の中身はしっかり確認しないとね。


 また手を入れてみると、細々入ってた。


【魔法の水筒】は無限に飲み物が入るらしい。これはお水入れだね。

 魔法っぽいのはそれだけで、あとは小さいナイフ、いろんな大きさの布袋、僕の着替えかな?服とか靴下。歯ブラシ?歯磨き粉?あとこれは…はっ。


 見なかった事にしてさっと【アイテムボックス】の中に戻した。

 ひ、ヒコちゃんに見られてない…よね?

 そーっとヒコちゃんを見ると…

 目が合った…


「きぃちゃ~ん?見たよ?隠してもムダムダ」


 ニヨニヨするヒコちゃん。

 がーん。バレてら。

 ごめんなさいでした…


 僕が隠したのは、武器…剣みたいなものだった。

 あーもう!

 これって剣の練習しなきゃいけないやつじゃん!

 しくしく…ショボーン。


 バレちゃったら仕方ないので剣を出して、また【アイテムボックス】に手を入れる。

 あ、これで最後かな?


 出てきたのは僕の両手に収まるくらいの小さな袋。何か入っててチャリチャリ音がする。


「これで最後みたい。なんだろね?」

「むむ」


 中身をテーブルの上に出してみた。

 500円玉みたいな金色の丸くて薄いコイン、100円みたいな銀色、10円みたいな茶色、黒い1円みたいな4種類のコインが何枚も入ってた。


「ヒコちゃん、これって…コイン?メダル?お金?」

「お金かもーーーー!!」


 ヒコちゃん、踊る。

 クルクルクルクル嬉しそう!

 元の世界からお金の価値はよくわからない僕だけど、嬉しくなって一緒に踊った!


「少しでもあると絶対助かるはず!よーし、それじゃぁ明日は魔法と剣の練習に、数を数える算数のお勉強もしようね」


 がーん。

 お勉強増えた…えーん。


「よし、寝る準備して早く寝よ!」

「ふぁい…」


 テントは広げてみたらポンッと音がして勝手にできた。?みたいな形の棒で四隅を固定して完成。

 中に猪の毛皮を敷いて、うん快適。

 ヒコちゃんが光魔法の球を浮かべて明かりにしてくれた。


 いろいろ出してたものを【アイテムボックス】にしまって、2人でゴロンと横になる。

 いつもと反対で、僕の脇腹にくっつくヒコちゃん。


「明日からまた一緒に頑張ろうねぇ…おやすみ、きぃちゃん」

「うん!おやすみ、ヒコちゃん」


 光魔法を消して、テントにバリアかけて、魔物さん来ませんように…

 ……むにゃ。

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