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精霊剣士の物語〜Sauvenile〜  作者: 伊藤睡蓮
精霊剣士の物語〜Sauvenile〜
6/23

精霊剣士の物語〜Sauvenile〜其の陸

遅くなってしまってすみません。(〃・д・) -д-))ペコリン


伊藤睡蓮です。試験やらGWをまったりと過ごしていて投稿出来ませんでした……。

ということで今回の投稿後の1週間後、すぐに続きを投稿させていただきます。


それではどうぞ!

10,〜生徒会長〜

会議室で生徒会の副会長と書記を決め終えた後、吹雪先生はすぐに学園長室に戻りやり残した仕事を終わらせると言って行ってしまった。


「私もそろそろ帰ろうかな。」と零架先輩はあくびをしながら言った。


「僕たち3人もこの辺で失礼します。みなさんお疲れ様でした。」

炎真はお辞儀をした。

それに続くように風音、氷架もお辞儀をする。



「お疲れ様、また明日な。」

と手を振った。


「さて、俺も帰るとするか。」会議室を出ようと扉に向かうと、さっき学園長室に向かったはずの吹雪先生が戻ってきた。


「あ、そう言えば秋翔くん。掃除頑張ってね。」

そう言ってウィンクをすると学園長室の方へと帰っていった。


………忘れてたー!


「そうだった……。遅刻した罰としてトイレ掃除しないといけないんだった。」


「しゅう先輩、お手伝いしましょうか?」

春香はそう言ってこちらを覗き込んできた。


「春香…、ありが」

「春、そこは何も言わずに帰るのがおもしろいのよ。」

お礼を言う前に真冬に口撃をくらった。


「真冬先輩、意地悪はよくないですよ。それに、そんなこと言って結局手伝うんじゃないですか?」

にやにやしながら春香は真冬を見た。


「そんな事しないわ。ただ春が残るなら私も残ってあげるだけ。秋翔のためじゃないわ。」

なんだかんだ言っておいて手伝うのか。


「ありがとな、2人とも。」


「それじゃあ私は1回のトイレを掃除してきますね。真冬先輩は2階をお願いします。しゅう先輩は3階をお願いします。早く終わった人から4階に行って合流していく形にして早めに終わらせましょう。それからトイレットペーパーが足りなかったら各自保健室に取りに行ってください。石鹸も同様です。それから………」


「お、おう。」

「わ、わかったわ。」


なんだ?よくわかんねぇけど春香の気合の入り方がすごい。

空回りしなければいいが……。


「春香、少し話があるから残ってくれる?すぐに終わるわ。」

生徒会長の双葉が言った。


「わ、分かりました。すいませんしゅう先輩、真冬先輩。」


「気にすんなって、元々俺が罰でやらされてるんだから。」


「そうよ。本来私たちはもう帰ってるわ。」

すいませんでしたね、ほんとに。

まぁそれでも手伝ってくれるからありがたいけど。


春香を残して、俺と真冬は会議室を後にした。


ーーーしゅう先輩と真冬先輩が会議室を出て行った。


「生徒会長、話ってなんですか?」


「あなた、早速頑張ろうとしてない?肩に力が入りすぎてる気がするから少し気になっただけ。」


「あの、言ってる意味が少し分からないんですけど。」

実際によくわかってない。別にいつもと変わらないでいるつもりだけど、生徒会長には何か違って見えたのかな?


「確かに副会長にはあなたが適任だと私も思うわ。けど、そんなあなたを求めてるわけじゃないわよ。あなたらしくない。さっきみたいに自分の意見を押しつけるような言い方私は、零架先輩は求めてない。」


さっき自分が言っていたことを思い出してみて、急に自分が恐くなった。


「確かに自分の意見を言うのは悪くないし、彼らも気にもとめてないみたいだけど、さっきのあなたは無理してたみたいだった。」

俯いてただ下を見た。


「わたし……、すいません。自分でも分かってませんでした。今思うと確かにおかしいですよね。なんか副会長だって思った瞬間にもっと頑張んないといけないって思ってたのかもしれません……。」

双葉生徒会長は私の近くに歩み寄って私の頬に手を当てた。


「そんなに気を張らなくていい。あなたはあなたなりに頑張ればいい。変わってほしいなんて私たちは思ってないし。副会長だからって、生徒会長だからってなんでも出来なきゃいけないなんて事、ないから。私もまだまだ零架先輩には遠く及ばないし、自分の力不足を感じてるから。」


心のどこかでは分かっていたはずだったのに。生徒会長のその言葉を聞き、静かに生徒会長の肩に掴まり、ただただ泣いた。


生徒会長は何も言わずに全てを受け止めてくれた。


「生徒会長、すいませんでした。」


「謝る必要はない。私がそうするべきだと判断したから行動しただけよ。」


「それでもご迷惑をおかけしたことに変わりありません。」

そう言うと生徒会長は

「そうね、それならあなたに一つお願いするわ。」


「なんでしょう?」


「明日までに紅葉秋翔をチーム192のリーダーとして任命しなさい。いつまでも葉月夏音のままでは都合が悪いわ。」


………えーっと?

「チームって武精祭の時に必要だっただけなんじゃないんですか?」


「そんなわけないでしょ?今後の活動はチームでの行動がメインとなるわ。大きく変わるところと言ったら、今までは4人1チームだったけれど5人1チームになったわ。知らなかったの?」

初耳ですよ生徒会長。


「あれ?でも生徒会長ってチームはどうなるんですか?確か神崎零架先輩と水瀬晃一先輩とチームでしたよね?」


「私は他のチームに入ることになるわね。」


そうなんだ。他の生徒は知ってるのかな?

それにどうしてしゅう先輩なんだろう?真冬先輩もいるのに。しゅう先輩が頼りないってわけじゃないけど。


「他の生徒は知ってる。あなたが忠精(ガンマ)学園にいた頃に決まってたから。真冬をリーダーにしない理由は本人に聞けば分かるはずよ。私はもう帰るわね、また明日。」


そう言って会議室を後にした。


私の考えてることってだだ漏れ?


ーーー「よし!3階終わり。」

トイレから出ると、真冬が階段を上ってきた。


「2階は全部掃除したわよ。」


「おう、俺もいま3階やり終えたとこだ。春香が今1階のトイレを掃除してると考えて、俺たちは4階を先に掃除してようぜ。多分それが終わったら春香も終わってるんじゃないかな。」


「あなたに言われなくてもそのつもりよ。私は東の方からやるから、秋翔は西からお願いね。」

と言うと早々と行ってしまった。


「俺、あいつに何かしたかな?」

考えてみたがさっぱり分からなかった。


「まぁとりあえず掃除終わらせるか。」


ジェミニ……なかなか厄介な相手だったな。次に出会う前に策を考えておかないと。


触れただけで相手の魔法を一時的に自分のものにする能力なんてどう攻略したらいいかもよく分からねぇし。


「なぁイグニ、ジェミニのあの能力の弱点とか思いつくか?」

洗面台に置いていた狐のストラップが紅く光り、炎を纏った狐が姿を現した。


「いきなり質問かよ。ちょっとくらい自分で考えられねぇのかよ。」


「考えてる、けどあの能力のチートさときたら半端じゃない。」


「まぁ確かに厄介な能力には変わりねぇな。自分たちが強い魔法を使えばそれを超えた力でねじ伏せられる。1対1はかなり厳しいだろうな。」

あの時は夏音がいてくれたおかげもありなんとか退けたけど、ジェミニはまだ本気を出してはいなかったはずだ。


「ところでシュウ。ジェミニと戦ってる時、どうして“あの技”使わなかった。もしかしたら勝てたかもしれねぇのに。」


「あの技はあんまり好きじゃねぇんだよ。あの技使った後のだるさと言ったら半端ないぞ。」

それに、夏音に対策されるわけにもいかなかったし。


「はぁ。まぁいいけど、出し惜しみする余裕俺たちにはないからな。ヤバイと思ったらすぐに使えよ。」


「分かってる。」

そんな事を話していたらトイレ掃除を終えた。


「秋翔、そっちは終わった?」

真冬が戻ってきた。


「あぁ、終わったぜ。」


「しゅう先輩、真冬先輩。1階終わりました。って4階はもう終わった感じですね。すいません、あまり手伝えなくて。」

と春香はぺこりと頭を下げた。


「謝る必要はねぇって。手伝ってくれてほんと助かった。ありがとな。真冬も。」


「はい!」


「今度なんか奢りなさいよ。」

春香もいつも通りの顔だし、問題なさそうだな。


「分かったよ。」


「あ、そうだ。しゅう先輩、チーム192のリーダーになりませんか?」

春香は急にぐいぐいっと近づいてきた。


「近い近い近い近い!192のリーダー⁉︎俺が?」

そういえば決めてなかったな。


「真冬じゃダメなのか?」

「いやよ。」

即答。


「俺がリーダーって、ふさわしくなくないか。夏音みたいになんも指示とか出来ねぇし。」


「しゅう先輩なりに頑張っていただければそれで結構です。別に指揮をとって下さいとお願いしてるわけじゃありませんから。って生徒会長なら言いますよ。」

なぜここで叶瀬がでてくるのかはよく分からなかった。けど、春香の目は真剣そのものだった。


「そこまで言われて、そこまで見つめられると断りづらいな。……まぁ俺でいいならやってやるよ。リーダー。」

その瞬間、春香の目はキラキラと光りより体をこちらに近づけた。


「ありがとうございます!私たちも全力でサポートします!」


「私はそろそろ帰るわね。春、また明日。」

何もなかったように帰ろうとする真冬。


「一緒に帰らないか?真冬。久しぶりに3人で帰ろうぜ。」

「いいですね、それ。」

真冬は立ち止まってため息をついた。

「久しぶりって、あんたと普段は一緒に帰ってなかったでしょ。まぁ、春と帰るならいいわ。」


俺だけだったら一緒に帰ってくれないんだな。


昇降口を出て、3人で並びながら歩く。ここに夏音がいれば完璧なんだけどな。夏音が俺の家にいきなり泊まるって言った時は驚いたなー。


「っていうか気づけば俺、自分の家に帰るのってかなり久しぶりな気がする……。帰ったら自分の家の掃除をしないとな。」

また掃除……。考えただけでも憂鬱だ。


「私も半年ぶりですね。母に一度会いに行ったきりです。」


「私は定期的に帰ってたし、母さんにはいつでも会えたからそんなに気にならないわね。」


「2人は帰ってたりしたのか。俺は完全に1年間放置だ。正直冷蔵庫の中も怪しい。」

今日何か買って帰らないとな。


「しゅう先輩……あの、お願いがもう一つあってですね。」

うん、なんとなく分かってる。


「私をしゅう先輩の家にまた泊まらせていただけませんか?親からの許可はもうとってあります。」


「なんで俺の家に泊まる必要あるんだよ?それに俺、男だぞ。確かに夏音を泊まらせてたし、お前も少し泊まってた事はあるが……。」

それでもやっぱり男女が2人で一つ屋根の下というのは……。


「これからも悪魔の襲撃がないとは限りませんし、夏音さんを取り戻すための作戦も考える時間も増えます。」

なるほど、確かにそれは俺たちにとってはいい事だ。

……チーム192のメンバーで?


「ねぇ春、まさか私も秋翔の家に泊めるつもりじゃないでしょうね?」


「学園長からも許可はとってあります。」

と携帯を見せられ、そこには吹雪先生から「OK!」との返信がきていた。


いつの間にメール交換してたんだよ。それにあっさりOKにしてるあたりが吹雪先生らしい。


「……母さん、また勝手に。……ハァー。多分何言ってもだめだろうし、今回はもう諦めるわ。」


春香はガッツポーズをして喜んでいた。

全部計算通りってか。


「それなら泊まるのに必要なものとかあるだろうから、俺が今日の晩御飯の材料買ってるから取ってこいよ。」


「はい、そうしますね。それじゃあ真冬先輩、時間も惜しいですし掴まってください。」

そう言ってぎゅっと真冬の手を掴んだ。


「春、あなたもしかして。」


天神目(シエルトアイ)超加速(サード)。」

一瞬にしてどこかへ行ってしまった。


春香のやつ、何考えてんだ?

………っていうか、


「結局おれ1人になってんじゃねぇか?」


「俺もいるから1人と1匹だ。」とイグニが言った。


「ソウダナ。」


「おい、しゅう。今カタカナ表記な言い方じゃなかったか?」


「……さて、買い物行くか。」


「おい!無視かよ!」

早く買い物終わらせて帰ろう。


12,〜これからすべきこと〜

想像していた以上に早く家に着いた。


「まだあいつらは来ないだろうな。いや、春香の魔法ならもう着いててもおかしくないはずだ。」

そんなことを考えているとちょうど真冬からメールが届いた。


「春、魔力切れて休んでて、今からそっちに向かうわ。」


なるほど。いきなり超加速からだとやっぱり魔力の消費が多いのか。


ということはあいつらが来るまでもう少し時間があるな。部屋の掃除を終わらせておこう。あいつらに使わせる父さんと母さんの部屋も綺麗にしておかないといけないし。


「イグニ。掃除手伝ってくれ。流石に俺1人じゃきつい。」


「やっぱりそうなるのか。めんどくせー。」


玄関を開けると、懐かしい光景が目に入った。


「やっぱ自分家が1番落ち着くなー。玄関開けただけでもそう感じる。」


「確かにそうだな。まぁそれと同時にほこり臭い感じもするが。」


2人が来るまでに終わらせないと。この状態で真冬が来たらすぐ帰ってしまいかねない。そうなったら俺と春香2人で……。それだけは気まずすぎて嫌だ。


「イグニ、お前はとりあえず父さんと母さんの部屋を掃除してくれ。俺は台所とリビングをやる。」


「へいへい。」そう言って狐の姿になるとほうきを加えて二階へと上がっていった。


「よし、俺もやるか。」

あっという間に1年が過ぎたな。

1年前の始業式で、夏音と久しぶりに話したんだっけか。あの時はクラスも一緒で学園長が担任で。夏音が家に泊まるとか言い出して。色々と驚いてたな。


春香とも確か同じ始業式の日に初めて会ったんだな。


あいつが3年生に連れてかれるのを見てほっとけなくて助けに行ったんだ。その時も夏音に助けられた。


武精祭の時は春香の成長ぶりに驚いたな。あいつのあの速さに敵う奴なんてそうはいないだろうな。


真冬とは今のように話すことすらできてなかったな。というか完全に俺嫌われてた。……今もそうかもしれねぇけど。

それでも、初めてあいつに話しかけた時のあの冷徹な目は見なくなったな。

真冬に話しかけるために夏音とはかなり作戦を考えてたな。全部失敗して、そんな時に春香が俺たちと真冬をくっつける架け橋になってくれた。


夏音、春香、真冬。それに同じクラスの香織。赤城さん、零架さんに晃一さん、双葉。ほかにもたくさんの人たちに支えられて今の俺がいるんだ。


「おい!おい、しゅう!聞いてんのか?掃除終わったぞ。何ぼけっとしながら掃除してんだ。」


「お、おう。終わったか。ちょっと色んなこと思い出しててな。俺も今終わったとこだ。」


ピンポーン。


インターホンが鳴った。春香達が着いたらしい。


ドアを開けるとくたくたになった春香と『ようやく開けたわね。』と心の声が聞こえるような目で見る真冬が立っていた。


「春香、大丈夫か?」


「だ、大丈夫です。ちょっと疲れただけですから。」


「ただでさえ魔力少なかったのにあんなに飛ばすからよ。秋翔、どこかに座るか寝かせてあげて。」


「それならリビングにあるソファで横になっとけ。ちょうど掃除し終えたとこだ。」

春香をソファまで連れて行き、そのまま寝かせた。


「すいません、いきなり迷惑かけてしまって。」


「春、もう少しあんたは考えて行動した方がいいわね。」


「気にすんなって。ゆっくり休んどけ。飯作り終えたら起こすからそれまで寝てろ。」


「はい。」

そういうと、よほど疲れていたのかすぐに寝てしまった。


「これなら部屋に連れて行ってベッドで寝かせた方がよかったかな。」


「今寝たんだから起こすのも悪いしソファで寝かせておいてあげなさい。それと、毛布あるならかけてあげて。」


「お、おう。今とってくる。」

あいつも春香にはあんなこと言っておいて、やっぱり心配してたんだな。


二階に上がり、毛布を取ってくると真冬は台所に立ち、制服を脱ぎ、Yシャツの袖をまくった。


「なにしてるの?毛布かけたならあんたもこっち来て。私も少しは手伝うわ。ただ泊めてもらうだけなんてあんたに優しくされてるみたいで嫌だから。」


いつも一言余計なんだよな。真冬のやつ。あいつも疲れてるはずなのにな。


「無理だけはすんなよ。休みたくなったらすぐ休んでいいからな。」


「………。」真冬は後ろを向いたまま、黙って頷いた。


「それじゃあ真冬、野菜切ってくれ。そこの袋に入ってるから……ってもう切ってる⁈早いな……何作るか分かってんのか?」


「分からないけどなにか問題ある?」そうだろうな。


「考えるのもめんどくさくてカレーを作るつもりだったけど。」


「それならそうと早く言いなさい。カレーに合わせて具材を切るから。」

俺が言う前に切り始めたのはお前だろ。

真冬は野菜を切っていた手をふと止めた。

「そういえば、夏音さんのパパさんとママさん、たまにはみんなで遊びに来なさいだって。今度時間が空いたら3人で行かない?」


「そっか。そりゃ行かないとな。真冬から誘われたなら尚更。」


「仕方ないでしょ。私が伝えるしかないんだから。別に私と春だけでもいいけど、おまけよおまけ。」

おまけって。


「まぁでも、教えてくれてありがとな。」


「別に感謝されることは言ってないわ。」と真冬は俺から目をそらすように下を向いた。


「それ、付けててくれてたのね。」

急に真冬がそう言った。俺のズボンに付けていた真紅の精霊石だった。


「あー、これか。だってお前と夏音が選んで買ってくれたやつだろ。いつも身につけてるぜ。多分春香もつけてると思うぜ。またみんなで遊びに行こうな。」


「あんたっていちいちむかつくわね。」


………俺なんか変なこと言ったか⁉︎


ーーーどこからか漂ういい匂いで目が覚めた。

身体は寒くなく、むしろ暖かかった。


この毛布のおかげだ。寝るときはなかったということは、しゅう先輩か真冬先輩がかけてくれたんだ。


どのくらい寝てたんだろう?


ゆっくりと身体を起こし、背伸びをした。


「お、起きたか。ちょうどいいタイミングだな、春香。」

私に気づいたしゅう先輩が大きな鍋をテーブルに置いて言った。


「春、気分はどう?」


「真冬先輩。おかげさまで元気になりました。ありがとうございます。しゅう先輩もありがとうございます。」

まだ少し身体が痛むところはあるけど、寝る前と比べれば遥かに楽になってる。


「そりゃ良かった。冷めちまう前に早く食べようぜ。カレー作ったからよ。」


「はい、いただきます。結局何もお手伝いできずにすいません。」


「いいんだって。今日1番頑張ったのはあなたなんだから。気にすることねぇよ。」

そうは言われてもやっぱり申し訳ないな。


「それなら明日の朝食、春あなたが作ってくれる?それならいいでしょ?」

真冬先輩はカレーを一口食べて言った。

「は、はい。わかりました。」


「春香、無理しなくていいぞ。」


「いえ、先輩たちにばかり作らせるわけにはいきませんし、私の気持ち的にも。」


「まぁ、お前がいいならいいけど。」


真冬先輩、ありがとうございます。


夏音さん、絶対に私たちの元に帰って来てもらいますからね。


しゅう先輩、真冬先輩も同じ気持ちです。


ーーー「夏音、悪魔との戦いご苦労だった。」老人は私にそう言った。


「なんてことないわ。悪魔にもあんな強いやついたのね。少し考え直す必要があるわね。まだ儀式まで時間があるからそれまでに5体ぐらいは消しておきたいわね。」


「そんなに焦ることはない。それにお前に万が一のことがあっても困る。」

私が今死ねば確かに私にとってもあまりいい事ではない。


「そうね。心配してくれてありがとうレイク。」


「ねぇ夏音、ま〜た1人で楽しんできたの?私も誘ってくれたってよかったんじゃないの〜。」テーブルの上に腰をかけ、自分のツインテールをくるくると触りながら話しかけてきた少女はわざとらしく寂しそうな声で言った。


「イヴ。別に呼んでも良かったけど、場所が場所なだけにあなたを呼ぶわけにはいかなかったのよ。あなたはしゅうを殺しかねないじゃない。」


「そんなの分かんないじゃ〜ん。まぁ〜好みじゃなかったら確かにどうなるかはわかんないけど〜。」とニッコリと笑った。


「イヴ、夏音が我々を呼ばなかったのなら、その必要はないくらいの任務だっただけだ。あまり詮索してやるな。」


「カイ、そう言ってくれると助かるわ。」

カイは優しく微笑んだ。イヴはそんなカイを見てむすっとした顔をした。


イヴ=スマリクス、私の小隊メンバーの1人。普段はこんな感じで明るく話すが、私はあんまり関わりたくない。それに、しゅうにも近づけたくはない。


カイ=シン、メガネをかけていて長髪で、私やイヴと同い年だなんて思わせないような見た目の彼だけど……。私の小隊には欠かせないチームをまとめてくれる力がある。私よりもリーダーに向いていそうなのになんで私がリーダーなんだろう。


そんな事を考えているとレイクは私たちを見た。

「イヴ、カイ。次の任務には是非君達にも参加してもらいたい。」


「よっしゃー!きたきたこれを待ってましたー!」イヴは飛び跳ねて喜んだ。


「3人で、ですか。久しぶりに3人での任務。それほど重要という事でしょうか?」


「あぁ。だが、無理はしなくていい。危険だと思ったらすぐに撤退してくれ。」


「あなたがそこまでいうほどの任務の内容はなに?レイク。」

私がそういうと、レイクはニヤリと笑った。


「西のベータ都市、磨精(ベータ)学園を襲撃し、そこに保管されてある魔導書の略奪だ。」

どうも改めまして、作者の伊藤睡蓮です。

ここまで長い期間投稿しないと自分でも忘れちゃいますねー。本当に遅くなってしまってすいません。次回はすぐに投稿予定ですので暫しお待ちいただけるとありがたいです。twitterでも告知していますので、良ければフォローよろしくお願いします。


それでは!

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