表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊剣士の物語〜Sauvenile〜  作者: 伊藤睡蓮
精霊剣士の物語〜Sauvenile〜
5/23

精霊剣士の物語〜Sauvenile〜其の伍

どうも作者の伊藤睡蓮です。お久しぶりです。

テストが無事に終了したので投稿再開です。

それでは早速どうぞ。

8,〜3人の真意?〜

どうしよう。目の前には吹雪学園長から学園へ連れ戻すようにと言われていた3人組が立っている。


でも、しゅう先輩は魔力を極端に消費しすぎて気絶してるし、私や真冬先輩も魔力切れで立ち上がれない。


もしこの人たちが私たちに何かしかけてきたら、抵抗ができない。


「あの〜、大丈夫ですか?手を貸しましょうか?」


やっぱり私たちを……って、あれ?


「私たちを助けにきてくれたの?」

と聞くと、男子、山崎炎真(やまざきえんま)くんは頷いた。


「はい。とある人からの依頼で先輩方をフォローするようにと。」


「とある人って誰かしら?もしかして夏音さんのいる組織じゃないでしょうね。」

真冬先輩がそう言うと、炎真くんの横にいた薄い水色の髪をした女の子、児玉氷架(こだまひょうか)さんが言った。


「いいえ。違います。私たちに依頼したのは元武精学園の生徒会長、神崎零架(かんざきれいか)さんです。」

神崎零架先輩⁉︎どうして。


「まぁ正確には現生徒会長の叶瀬双葉(かなせふたば)生徒会長から言われて来たのですが。」と今度は薄緑色の髪の女の子、天津風音(あまつかざね)さんが答えた。この子は会ったことがある。会ったと言ってもトイレの前でぶつかっただけだけど。


「まぁ詳しい話は学園に戻ってから話しましょう。学園長にも変な誤解をされていると思いますし。」

学園長が3人を警戒していたのがバレてる?

もうわけが分からない。けど、敵じゃないんだってなんとなくわかった。


「……分かった。それなら先にしゅう先輩と真冬先輩を学園まで連れて行ってあげて。私は最後でいいから。」


「いえ、3人同時に転送するので問題ありません。風音、氷架。複合魔法で転送するよ。」炎真くんがそう言うと、


「うん。」と氷架さんは小さく頷いた。

「はい。」と風音さんは聞こえるか聞こえないかのような小さな声でそう言った。


空間転送(ラオード)。」


一瞬にして学園の校門に辿り着いた。


「あなたたちは一体……。」


「その話はまた後で。」と炎真はにこりと笑った。


「真冬、春香さん。それにあなたたち!」吹雪学園長が校舎から飛び出して来た。多分私たちの僅かな魔力を感知したんだと思った。


「この方たちの手当てをお願いします。お話はその後でします。それでいいですか?」


「……分かりました。2人とも、それに秋翔くんも、お疲れ様。よく無事に帰って来てくれたわね。」いつもの優しい笑顔で私たちを見てくれた。


「母さ……学園長、悪魔を2匹逃してしまいました。1匹はどうにか倒せたものの、すみません。」と真冬先輩は頭を下げた。真冬先輩と吹雪学園長は実の親子で、いつも学園内では真冬先輩は吹雪学園長の事を学園長と呼んでいる。


「そんな事ないわ。一体倒せただけでも誇っていいわよ。精霊と人の力を合わせれば、悪魔にだって勝てるということを証明してくれたのだから。本当によく頑張ったわね。」


その後、私たちは保健室に連れて行かれ、小林(こばやし) 神奈(かんな)先生に手当てを受けた。幸い大きな怪我もなく、本当に悪魔と戦って勝ったのかというくらい軽い傷だった。


「本当にあなたたち悪魔と戦ったのよね?」


「は、はい。相手も油断していたというか、ブチ切れて思考停止してたんじゃないかっていうか。」

口にしてみたものの、確かにそれだけでこの傷はやっぱりおかしい。


「あ、それ僕たちの強化魔法のせいかもしれません。」


炎真くんはそう言った。


「それってどういうことか説明してもらえる?」

真冬先輩が手当をされながら炎真くんに聞いた。


「そうね、私もその話には興味があるわ。」

保健室の椅子に座っていた吹雪学園長が言う。


「あの〜、学園長。本来そこは私が座る場所なんですが……まぁいいです。」小林先生は半分諦めた口調で言った。


「はい。僕たち3名はあの場に、相手には(マイナス)の効果、味方には(プラス)の効果をもたらす魔法をかけました。」


「私たち何も気づきませんでしたよ?それに、私たちだけじゃなくてあの悪魔、レオも気づかないなんて考えられません。」


「それは私の魔法、風紛匂(コスモス)で魔法をかけている事を感じさせませんでした。相手に気づかれると慎重になって逆に戦いづらくなるかと考えました。」


そんな魔法もあるなんて。


「そうか、つまりお前たちが俺たちを助けてくれたんだな、ありがとう。」

ベッドで寝ていたはずの秋翔先輩はいつの間にか起き上がっていた。


「しゅう先輩!だめですよ、まだ寝てて下さい。」


「魔力切れしただけだ。もう大丈夫。」


炎真くんはにっこりと笑って、

「いえいえ、みなさん無事でなによりです。」と言った。私はこの笑顔に違和感を少し抱いた。ただ、今の時点では言葉に表せない"違和感"だった。


「それじゃあ全員揃ったところで、あなたたちの事を聞いてもいいかしら?」吹雪学園長がそう言うと、保健室の扉が開いた。


「その話に、私たちも混ぜてもらっていいかしら?」


「か、神崎先輩、それに叶瀬生徒会長⁉︎」


元生徒会長に現生徒会長。


ーーーなんかすごいことになってるな。


学園長が俺に調べて欲しいと頼んだ3人がいて、真冬も春香もいて。学園長に小林先生もいると思ったら、この3人が俺たちを助けてくれてたなんて。


それに驚いてたら、零架先輩に叶瀬まで。


「みんな久しぶりね。学園長に小林先生も、お久しぶりです。」零架先輩は2人にお辞儀した。


「さて、私から話をした方が早そうだし、炎真くんたちもそれでいい?」


「もちろんです。」

「問題ありません。」

「はい。」

この3人と零架先輩はどんな関係なんだ?


「簡単に言うと、この子たちは私がここの生徒会長の頃から親しくしていた後輩です。実はこの3人と何度かイプシロンに行ってたのよね、晃一も一緒に。この子たちと会ったのは本当に偶然で、それぞれが特殊な力を持っていたので、予めこの学園に来るように勧誘してました。」


「私に一声かけてくれればよかったのに。」と吹雪先生が言った。


「すみません。どうしても表には出さずに進めておきたくて。武精祭の時に悪魔が襲撃してからより慎重になってしまって話そびれました。まぁ双葉には伝えていたので任せてましたけど、こんなに早く悪魔と戦うとは思ってなくて咄嗟の判断でこの子たちを夏音さんのところへ一足先に向かわせました。」


「そっか、あの時3人が学園内からいなくなったのはもうあそこに向かってたからなんだね。」

ひとつ疑問が浮かんだ。


「零架先輩はどうして夏音の居場所を知ってたんですか?」


「あぁ、それは私が特務部隊の情報科に所属してるからよ。というか悪魔の居場所を突き止めたの私だし。」


「なるほど……。って、マジですか⁉︎」

光明先輩や暗闇先輩だけでなく、零架先輩まで特務部隊に入っていたなんて。


「それじゃあ晃一先輩も特務部隊に?」

そう言うと零架先輩は首を横に振った。

水瀬(みなせ) 晃一(こういち)先輩、元生徒会副会長で零架先輩と一緒に活動していた。その頃は叶瀬(かなせ) 双葉(ふたば)は生徒会書記だったな。

この3人の連携っぷりは精武祭でよく分かっている。


「晃一はね、精霊使いになったくせに呑気に電車の整備会社に就職したわ。あいつ本当にバカよね。」

と頭に手を当てて首を振った。


そういえば晃一先輩、電車好き(オタク)だったな。


「ま、まぁ人それぞれですしいいんじゃないですか。」

春香、ビミョー過ぎるフォローだぞ。この場に晃一先輩がいたら……。


「話が逸れちゃったわね。零架さん、3人に特殊な力があるって言ってたけど、そこについては説明できる?」


「あぁ、はい。あなたたちも大丈夫よね?」


「もちろんです。」

「問題ありません。」

「はい。」

なんなんだこの3人は?


「まずは天津風音ちゃん。この子には嘘は通じない。そんな能力を持ってます。」

嘘が通じない?


「この子が言うには相手が言っていることがなんとなく嘘って分かるらしいわ。ただ、嘘ってわかるだけで本当の事を知ることはできないみたい。」


テレビの番組でよくあるやつか?でもそれって大抵やらせだろ。

……でも確かに世の中には魔法もあるからそういう類のものなのか?


「あ、そうだ。なんでこの3人にそんな能力があるかっていうのを説明してなかったわ。遺伝とかではなく、おそらく精霊との契約の際に生じてしまったものと思われます。」


ますます訳がわからん。


「どういうこと?」

吹雪先生は顔色を変えた。


「はい、風音ちゃんが精霊との契約内容は“人の心の真実を知りたい”です。他の2人もその能力が発現するであろう内容です。これもかなり偶然でしたね。」


「ちょっと待って、この子たちが精霊と契約したのはこの学園に入る1ヶ月くらい前よ。いくらなんでもあなたと偶然知り合った3人が偶然能力が現れるなんて考えられないわ。」

吹雪先生が言いたいのはおそらく、


「私が故意に彼らに能力を発現させた……と言いたいんですね?」


「ええ。その通りよ。」

迷わずに吹雪先生は言った。


「……はい。確かにその通りです。確証はありませんでしたが可能性として考えていました。ですから、尚更この子たちを表に出せなかった。前々から素質があると思っていましたがここまでとは私も思っていなくて。」


確かに、契約した内容で能力が現れるかもしれないとなると、それを悪用するやつも出てくるかもしれない。そうなれば大きな事件に使われる可能性もある。


「なるほど、確かに表沙汰には出来ないわね。ごめんなさいね、零架さん。疑っていたつもりはないのだけれど少し気になったのよ。」


「いえ、私も学園長には伝えておくべきだったと思います。……そして少し学園長に提案がありまして。」

と急に低姿勢になり、右手を少し上げた。


「なんでしょう?」


「私をここで働かせてください。」


急に何を言ってるんだこの先輩は。


「えぇ、もちろんいいですよ。」


何を言ってるんだこの学園長は。


「新井龍磨先生が……って先生はもういらないか。が抜けてから理科、化学と生物の担当がいなかったのよ。悪魔との戦闘も考えられなくわないし、近くに特務部隊がいてくれるととても助かるわ。」

まぁ分からなくもないが。


新井(あらい) 龍磨(りょうま)、1年前までは俺たちに化学を教えてくれていた先生。しかし、夏音と同じ組織の1人で、夏音がいなくなると同時に奴も姿を消した。


「ありがとうございます。というわけでこれからもよろしく、みんな。」


「会長がいてくれればとても心強いです。」


「今の生徒会長はあんたよ双葉。」

と叶瀬の頭をポンポンと叩いた。


「いえ、私は適任ではありません。」

と下を向いた。


すると零架先輩は何か気づいたらしく、

「学園長、もしかしてこの子まだ……。」


「そうなのよ、私もちょうどどうしようか迷っていたところで。」


「双葉、あんた副会長と書記、まだ空けてるの?しっかり出来る子たくさんいるわよ?」


これは……この場にいたらまた面倒な事になるな、と勘付いた俺と真冬は物音を立てずにその場を立ち去ろうとした。


「あれ?しゅう先輩に真冬先輩、どこ行くんですか?」

春香……お前。

零架先輩と学園長はこちらを見る。


「いや、その……ちょっとトイレに。」

すると真冬は、

「しゅう、あんたバカね、と言った。」言葉の意味がわからなかった。


「嘘の、匂いがする。」

あ、真冬の言いたかった事が分かってしまった。


風音の嘘を見抜く能力。


「いや、違う。えーっと面倒な事になるなと。」


「………。」風音は何も言わなかった。


これはこれで問題ありだ。


「秋翔くん。ちょっと頼みがあるんだけど。」


「もしかして俺に生徒会に入れと?」


「それではここで!生徒会副会長、書記その他諸々に入っていただくために会議を行います。場所はここ、保健室です。」


「零架さん、それは流石に無理ね。怪我をした生徒が来たらもうスペースがないわ。別のところでお願い。」

と小林先生にど正論をかまされ、会議室へと移動した。


9,〜生徒会副会長、書記は誰に?〜


会議室に集まったのは、俺と真冬、春香、炎真、風音、氷架、学園長と零架先輩だった。

「俺たちだけがここに集められたのがよく分かんないんですけど。普通これ全校生徒とかで決められるもんじゃねぇのか?」


「双葉はかなり人見知りでね、おそらく全校生徒の中であなたたち以外に双葉を支えてあげられる人が思い当たらないのよ。生徒会長権限で多分除名しちゃうから。」

それって俺たちも除名の可能性ありなんじゃ?


双葉がさっきからこちらをじっと見ている。


「会長、その必要はありません。私は1人で大丈夫です。会長がいてくれるならなんの心配もありません。」


「だ〜か〜ら〜、私は生徒会長じゃなく、あくまでも先生としてここに来るの。それに、あんた1人で全部できるわけないじゃない。書類とかは副会長、書記に押し付ければ少しは楽になるわよ。」


この人サラッととんでもねぇ事言ってるぞ。


すると隣に座っていた真冬が、

「これはおちゃらけ回ね。」とわけのわからないことを口にした。


「というわけで、なるべくここにいる人たちの中から選びたいのよ。もちろん1年生でも関係なし、あんたたちも呼んだのもそれが理由。」


「零架先輩、知ってると思いますが僕以外のこの2人は無理な気がしますよ。」風音は黙って前を向き、氷架は黙って下を向いていた。


「う〜ん、まぁ仕方ないわね。春香さんなんか副会長どう?」


「わ、私ですか⁉︎む、無理ですよ。副会長だなんて。」

首をぶんふんと横に振る。


「ちなみに今の3年生が卒業したら2年生の中の誰かが生徒会長になるわけだけど、一応仕事とか知っておいた方がいいし、副会長か書記をしてもらいたいのよ。」


「春、無理にとは言わないけど、私はいいと思うわよ。実力も充分だし、生徒からも嫌いな人なんていないと思うから。」

と真冬が言う。


「そうだな、俺もそう思う。なんか文句あるやつがいたら俺がぶん殴ってやる。」そのぐらい春香を信用してる。


「真冬先輩、しゅう先輩……叶瀬生徒会長、私でよければ副会長を任せてくれませんか?みなさんの期待に出来るだけ応えられるように頑張りますから。」


「どう?双葉、任せてもいいんじゃないかしら?」

双葉は暫く考え、


「分かりました。弥生春香さん、あなたを生徒会副会長に任命します。」


「はい。ありがとうございます。」


零架先輩は「うんうん」と頷いた。


「それじゃあ後大きな役割と言えば書記ね。まぁそんなに大した仕事はないから。」

あなたさっき仕事押し付けるとか言ってましたよね?


「それって2人でやっても問題ないんですか?」

と真冬が零架先輩に尋ねた。


「えーっと、確か問題はなかった気がするわ。双葉は全部1人でやるって言って書記してたから。」

意外と双葉って仕事熱心なのか?それともただ単に零架先輩を尊敬してるからなのかは分からない。


「だとしたら2人の方がいいかもね。同じクラスだから分かるけど、双葉は成績かなりいいし。」


「なるほど、となると俺たち2人でやるのか?」

「いやよ。」


「即答⁉︎なんでだよ!」

理由は分かっていたがなぜか聞いてしまった。


「あなた2年生最後のテストの数学の点数は?」


「……40点。」


「嘘のにお……」

「分かった分かった!分かったから!俺以外で頼む。」

慌てて風音の口を塞いだ。

こいつ、俺にとってかなり厄介な相手だ。


「真冬、あなたが書記に入ってくれるの?」

と双葉が聞いた。


「今の状況考えても、1年生、2年生だけだと不安になったのよ。だから書記の2枠のうち1枠に、私が入る。」


「真冬さん、そんな事まで考えてくれてたのね。流石は学園長の娘。」


「零架先輩、お世辞はいいですから残りの1人を決めましょう。と言っても、秋翔は私がダメだと判断して、残りはこの子たちだけだけれど。」


ぐさぐさくるな。


「それなら僕の能力が役立つかと。」

炎真がそう言った。


「そう言えば聞いてなかったわね、あなたの能力。それに氷架さんも。」

と学園長が言う。


「僕が精霊と契約した内容は“人の限界を知りたい”です。これに関連して現れた能力は、“自分の出来る限りの全力を出す”という能力です。」


つまりどういう事だ?


「簡単に言えば、そうね書記として務めると考えてみたときに、私が生徒会長だったら部費やその他諸々の会計費の計算を書記に命ずる。その時に炎真くんが“自分の今ある計算能力”を持ってして頑張ってくれるのよ。」


いつでも全力、みたいなものか。それって誰でも考えれば出来るような……。


「氷架、本当にあなた能力を言っても大丈夫なのよね?」

と零架先輩は聞いた。


「問題ありません。」


「そう、分かった。この子が契約した内容は“世界の終わりを見る”よ。」

世界の終わりを?どんな能力になるんだ?


「そしてこの子に現れた能力……それは、“死なない”能力。」

その言葉を聞いただけだとすごい能力だと思う。けど、零架先輩はためらった。つまり、何かしらのデメリットがある。


「なるほどね、この子の能力は確かに表沙汰には出来るはずがないわ。」


「学園長、流石です。この能力は確かに不死に近いです。しかし、老いはします。これがなにを意味するか分かりますか?」


それってつまり……。


「死にたくても死ねない?100歳で寿命を迎えたとしても?」


「推測だけれど、おそらくそう。」


「どうしてそんな事を彼女に言わせたんですか、零架先輩。」

零架先輩は顔を下に向けた。


「私が自らの意思でそう契約しました。零架先輩に悪意は全くありません。」と氷架が言った。

仮に不死だとしても寿命が近くなれば契約を放棄して精霊と離れれば。


「契約を破棄するつもりも私にはありません。私は世界の終わりを見るためだけに生きていますから。」


この子は一体……。




空気が完全に暗く、重くなり誰も言葉を発せなくなってしまった。

世界の終わり……か。子供の頃によくそんなテレビ番組を何度も見ていたけれど、結局どれもはずれていたし気にもしていなかった。


突然誰かが両手をパンッ!と合わせ、俺の心を外へと解き放った。


零架先輩だった。


「みんな、これそういう回じゃないから。書記を決めるのよ。少しでも双葉を楽にしてあげるための話し合いなんだから。また後でこの話をすればいいでしょ?それに、私こういうジメジメする話はあんまり聞きたくないのよ。」


ジメジメの原因を持ち込んだのはあなたですよ、零架先輩。とは言えなかったものの、周りのみんなも少しだけ明るくなってきた気がした。


「そうですね。炎真くん、私と一緒に書記として勤めてもらえないかしら?」



「僕でよければお力になりましょう。生徒会長、副会長を全力でサポートします。」

なんかいい感じになってきた。


「それでは書記に、時雨真冬、山崎炎真の2名を任命します。」


「はい。」

「はい。」


これで決まりだな。


「決まったみたいね。みんなご苦労様。ちなみにたけど3人の能力については他言しないこと。私も四学園会議でもまだ話さないことにするわ。」


「学園長、お心遣い感謝します。」

零架先輩は頭を深く下げた。


「3人に能力…、契約…、ん……?契約内容によっては俺たちも能力が知らぬ間に身についてる可能性は?」

誰に問うわけでもなかったが口にしてしまった。


すると零架先輩はこちらを向き、

「ありえなくはないわ。気づくのが遅かっただけでもしかしたらその人が知らぬ間に能力を手にしているかもしれない。まぁ、それなりの素質がなければ能力は発現しないみたいだけれど。あなたたちにもその可能性はあるわね。」


やっぱりそうなのか。

ふと自分の手に目を向けた。


『父さんのように、みんなを守るために戦いたい。友達を守るための力を僕にくれ、ください。精霊さん。』


能力なんて現れそうにもない至ってシンプルな契約をしたな。


けど、後悔なんてしてない。俺はこの力でみんなを守る。

改めまして、作者の伊藤睡蓮です。お久しぶりです。

本当にかなり休んで自分でも見返して思い出していた部分があります。(・ω・)


次回の投稿はいつも通りの投稿ができそうなのでぜひ見てください。

それでは!(あっさり)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ