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精霊剣士の物語〜Sauvenile〜  作者: 伊藤睡蓮
精霊剣士の物語〜Sauvenile〜
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精霊剣士の物語〜sauvenile〜其の弐拾壱

お久しぶりです。毎度おなじみ遅れてすみません。伊藤睡蓮です。ようやく次話投稿できる量になりました。

なるべく早めにとは思っているのですが、中々難しいものです………。


眠い中書いたりしていることもあり、誤字等多いかもしれませんが、その時は………ごめんなさい。

37,〜紅葉秋翔vs狩屋凱〜

放課後、私たちチーム192(現在3名)は、……………何をすればいいか分からない危機的状況に陥っていた。

「なぁ詩織、こういう時って武精祭に向けて特訓!ってのが始まるはずだ。」

「そうなの?うん、でも強くならなきゃいけないのはわかる。その考えは間違ってないと思うよ。ね、美希さん。」

「は、はい。多分そうだと思います。でも、具体的に何するんですか?ただ実戦形式でやるにしろ、私じゃお二人よりも精霊使いとしてまだまだ未熟ですし、全然特訓になりませんよ。」

と自分自身の力不足さを言葉にして改めて痛感する。私はチーム192の中でも最弱。


「いや、誰もそんな風に考えてないから。ただ、確かに特訓の内容は人それぞれだし、実際に赤城さんに鍛えてもらった時だって、俺に合わせて組んでもらってたようなものだしな。」


「誰かに相談して特訓内容決めてもらう?」

詩織先輩が悩みながら口にする。


「んー、まぁ確かに聞くのはいいけど、なんか目標みたいなのを無理矢理つけられた感じがして嫌だな。」

としゅう先輩が言った。まぁ、その気持ちも分からなくはない。ただこのままだと本当に何も考えつかないままよくない方向にいってしまいそうで、結局話は進まないまま時間だけが過ぎていた。


「他のチームはどんな風にしてるんだろ?武精祭まであと1ヶ月くらいしかない。時間は限られてるし、とりあえず偵察でもしてみる?」

「妥協案っぽいけど、まぁとりあえずやる事探しって感じか。いいかもな。」

「お二人がそう言うなら、私は賛成です。」

というわけで、他のチームの偵察に行くことになりました。………別に他のチームを見に行っちゃダメなんて言われてないし………いいよね?


ーーー真冬たち御一行

「俺たちとチーム組む?」

「あいつら(192)はどうすんだ?」

今井拓人くんと小田俊哉くんは不思議そうに聞いてきた。

「………ちょっと複雑な感じで、今はあのチームにいづらくなったの。もう連絡はしてあるから大丈夫。」


「大丈夫なのか、それ?」俊哉くんがよりいっそう不思議そうな顔をした。


「……真冬はそれでどうしたいんだ?喧嘩したいわけじゃないだろ?」

拓人くんも心配してくれている。

「うん、別にそんなわけじゃない。ただ、私はあの二人の力を借りずに、傍にいない状態で、夏音さんと話をしたい。武精祭なら私も逃げられない。こんなことに二人を巻き込もうとしてる。無理だったら別に断ってくれてもいい。その時は………。」


「その時は、何も考えられてないだろ。」

「こっちもお前に頼られて嬉しいし、お前なりの覚悟を聞けて良かった。だから、俺たちはお前に協力するぜ。頼りにしてるぜ、真冬。」

信じられなかった。………ちがう、信じてはいた。信じていたけど、こんなことに付き合ってくれる人が昔の私にはいなかった。チーム192に出会ってから全てが変わった。そんな192を取り戻したい。そのために必要な人がいない。だから絶対に取り戻す。友達の力を借りて。


「2人とも、本当にありがとう。」


「だから、お礼なんて言わなくていいんだよ。」

照れくさそうに拓人くんは頭を撫でている。


「ところで、夏音と戦いたいのは分かったが、その前にあいつら(192)と当たったらどうするつもりだ?あいつらだって夏音には同じような用があるだろ。」と俊哉が言った。


「…………………あ、それもそうね。」

全く考えてなかった。


「真冬、お前まじか。」拓人くんにバカにされたような気がする。

「べ、別に関係ないし。しゅうと達が相手でも容赦はしない。夏音さんと話をするのは私なんだから。」

ここで引いたら格好悪いし、しゅうと達に抜けると言った手前、尚更すぐに合流も出来ない。

ごめんみんな、私は私の道を行く。と自分を鼓舞した。


「なんか燃えてるな、真冬。」

「あぁ、こんな真冬見るのは初めてだ。」

2人がそんな風に思っていたことを、言い訳を考えるのに夢中な私は知らなかった。


ーーー春香たち御一行

放課後、私は双葉会長から生徒会室に来るように言われていた。チームのもう1人を紹介するって言ってたっけ。どんな人なんだろ?


双葉会長のお友達だったら絶対に頼りになる。真冬先輩と戦う時になっても勝てそう。(春香は絶賛真冬との対戦希望中。)


生徒会室の前まで着いてそのまま扉を開けた。


そこには双葉会長の他に1人、とても綺麗な女性が立っていた。髪は夏音先輩よりもちょっと長めで、紫色の髪色。つやつやしててとっても綺麗だった。目つきはちょっと冷たい感じがしたけど、私と目を合わせると、そんな冷たい表情はどこかへ消えてしまっていた。


「あら、ごめんなさいね。私普段から気を張っていないといつも恐い顔してるって言われるの。別に怒ってる訳じゃないから気にしないでね。」


「は、はい。双葉会長、この人が会長の言っていたもう1人の仲間ですか?」

双葉会長は頷いた。

「えぇ。私と同じクラス、真冬さんとも同じね。1組の柏木愛衣(かしわぎめい)。あなたと同じ系統の風魔法を得意とする精霊使いよ。」


「そうなんですね!私は2年の弥生春香と言います。精一杯頑張ります!よろしくお願いします。」ペコリと頭を下げる。


「春香さん。そんなに畏まらないで。双葉からも話は聞いてるわ。相当な腕だって。私の方が足でまといなんじゃない?」


「そんなことありませんよ!寧ろ私のワガママに半分付き合っていただくようなものなので、本当にすいません。」

ペコリと頭を下げ………られなかった。頭を掴まれて謝れない?!


「だから、謝らないでって言ってるでしょ?別にワガママだなんて思ってないから。みんなで力を合わせて頑張りましょ。」

余りの唐突な鷲掴みに呆然とする。


「言い忘れてた、愛衣は謝られると怒るタイプの子だから、あんまり謝らないで。こうなるよ?」

もうちょっと早く言ってください会長。鷲掴みなうです。


ーーー秋翔たち御一行

「色んなことしてるな、魔法を基礎から練習してる奴だったり、剣術研いてたり、まずは親睦深めるってことで都市の中心でパーリーしてる奴だったり………。本当自由に使ってるな。」

未だに自分たちの方向性が掴めないまま、このままだと本当に時間の無駄だ。


「さっきからお前らは何ウロウロしてんだ?」

急に後ろから話しかけられ、3人で慌てて振り返る。


見た目は20代から30代の男。身長は170ちょっと。黒い髪を所々赤く染めている。なんかムカつくな。見たことない人だ。こんなやつ教師にいたか?


「なんだ?悩んでそうだから教師っぽく悩みにでも乗ってやろうと思ったんだがな。違ったか?」男は不思議そうに顎に手を当てて考えている。


「い、いえ。間違ってはいないですよ?えーっと………。」詩織が訂正しようとするが名前が分からず困っているようだった。やっぱり詩織も知らないか。


「ん?あー、俺か?吹雪から話を聞いてなかったのか?新しくこの学園の教師に就くことになった狩屋(かりや) (がい)だ。よろしくな。」

なるほど。どうりで知らないわけだ。


「ということは、あなたが精霊使いトップの方ですか?」

美希が驚いたような口調でそう言った。そうだった。確かに吹雪先生はそんな事言ってた気がする。


「は、はじめまして!私、3年2組、上林詩織と言います。隣の彼が、同じクラスの紅葉秋翔くん、そして隣の子が2年3組の今井美希さんです。」


「「よろしくお願いします。」」

全員の名前を聞くと、狩屋先生は少し驚いたような表情をした。


「なるほど、お前が紅葉か。全く、運がいいのか悪いのか。まさか吹雪に会っておけと言われた二人にこんなに早く会えるなんてな。片方だけには会えたがもう片っぽまで…………お前まさかわざとか?」


「すいません、全く意味がわかりません。」

きっぱりとそう言った。まぁ、本当に分からないからこれしか言えない。


「そうか。まぁいいや。葉月夏音と会って、もう興味はなくなったし、俺は帰らせてもらう。」

帰ろうとする狩屋先生の前に出る。


「ちょっと待ってください。夏音と会った?それに、興味をなくしただと?どういうことか説明してくr……ださい。」

「敬語とタメ口がごちゃごちゃだよ、しゅうとくん。」


狩屋先生はしばらく考え「やれやれ。」と頭を掻きながら答える。


「精霊の加護(べラーダ)だよ、精霊の加護。お前たち二人、それが使えるって聞いたから、どんなもんか見せてもらったわけさ。それで大したことねぇから、帰るってだけ。簡単だろ?」

勝手に現れて好き勝手に言われて、それで帰るだと?


「分かりました。そこまで言うなら俺と勝負してください。俺が勝ったら夏音の力を馬鹿にしたこと、訂正してください。」


「やれやれ、お前みたいなタイプは言ってももう聞かないだろ。いいぜ、どっからでもかかってこい。お前の勝利条件は俺に少しでも傷をつけることだ。もちろん全力で斬りかかってきてもいいぞ。魔法も遠慮なく使え。俺が何とかする。それと、そこの2人、お前らも別に混ざってもいいんだぞ。むしろそっちのがまだ面白い。」

詩織と美希はまさか自分たちまで巻き込まれるとは思ってもいなかったらしく、「いやいやいや」と手を振って拒否した。


「仲間が殺される場面でも、お前たちはそうやって躊躇して戦わないのか?戦ってこなかったのか?何をびびってる?何のためにここにいる?その意味をお前らはもっかい考えるんだな。答えはもう知ってるはずだぜ。…………というわけで、今回はお前1人だ。いつでもかかってこい。」


よく分からないが詩織と美希の心の迷い(?)に問いかけた?今のはどちらかというとアドバイスっぽい気も…………分からん。ただ、夏音を馬鹿にしたことは許せない。だから、あいつを見返してやる。


「これが俺の精霊の加護だ。精霊の加護・炎舞(べラーダ・えんぶ)。」全身を紅き炎が優しく包む。


「なるほどな。やっぱりあいつと同じか。まだまだ未完成にも程がある。」

呆れたように狩屋先生は首を横に振った。


「未完成かどうかは俺に傷つけられなかった時に言いやがれ。炎纏(フィアーラップ)紅蓮閃(ぐれんせん)!」

刀に炎を纏わせ、連続で突き刺す。狩屋先生は表情1つ変えずにそれを全て躱し、手刀で俺の手元を叩く。刀が地面に落ちる。咄嗟に掴もうと手を伸ばしたが狩屋先生は俺の頭を鷲掴みにし、体を持ち上げ投げ飛ばされた。


「まじかっ?!」なんとか空中でバランスを取り、上手く着地できた。けど、俺の刀は狩屋先生の目の前に落ちている。


「どうした?拾わなくていいのか?お前の大事な精霊の宿る武器だろ。さっさと取り戻せ。」


「そんなの言われなくたって最初からそのつもりだ!!紅翼(アーラ)。」背中に炎の翼を創り、刀めがけて加速する。落ちている刀を拾い、狩屋先生の目の前で刀を振り上げる。狩屋先生は笑みを浮かべながらこちらを見ている。


「おせぇよ。それじゃあせいぜい中級悪魔1匹倒すのがいいとこだな。」

刀を振上げたとき、狩屋先生は軽く横に逸れ、あっさりと攻撃を避けた。そのまま何の前動作もなく回し蹴りされ、さっきまで自分がいた位置にピッタリと蹴り飛ばされた。


「くそっ、何で当たんないんだ?レオの時はもっと上手く動けてたし、スピードだって出てた。それなのに今の俺はあの時の半分くらいしか全力が出せてねぇ。イグニ、理由わかるか?」

(唐突に聞いてくるな。んー、確かにイマイチ力が出せてる感じがしないんだよな。相手が生身の人間だから本能的に手加減しちまってる…………てのは違うな。俺たちは全力で戦おうとしてる。けど、出せていない。あの時と何かが違うんだ。それさえ分かればなー。)

とイグニが久しぶりに長々と話しているのをしばらく聞いていると、いつの間にか狩屋先生が自分たちの前に来ていることに気がついた。


「戦ってる最中にボーッと突っ立ってんじゃねえ!」右手で拳をつくり、全力で振るった拳を間一髪で躱す。そのままの勢いで拳は地面に激突する。地面は抉れ、大地が震える。


「あぶねっ!まじで殺す気か?今の結構やばかったぞ?!」


「次は外さねぇ。お前の仲間に向かって今のをやってもいいんだぜ。それなら避けれないだろ。」

その言葉を聞いて、狩屋に対する敵意が本格的に顔を出した。


その瞬間、身体中から魔力が駆け巡るのを感じる。


「これだ、この感じだ。いや、あの時よりもずっとすげぇ。これならあいつに勝てるぞ、イグニ!」

(あぁ、行けるぜ。シュウ!)


「まずは第1段階ってとこか。ようやく、あいつ(葉月)と同じとこまで来たか。さて、お手並み拝見とするか。」


「俺の仲間を傷つけるやつは俺が許さない。火焔破斬(フレアスター)Ⅱ。」刀がより一層激しさを増した。


「からの新技、火焔破斬・激烈(げきれつ)。」

刀を振り下ろすと、激しく燃えていた炎を狩屋に向かって放つ。炎の斬撃は狩屋を逃がさないように、目の前で複数に分裂する。


「なるほど、そう来たか。無駄だ、…………力を貸せ。」そう言うと、狩屋の右手が赤く光る。」そのまま手を横に振ると、一瞬で炎がかき消された。


「なっ?!だったら!焔狐の……(ヴォルクナテ)。」技を唱えようとした瞬間に、目の前に狩屋が移動していた。


「それはこんな場所で使うようなもんじゃねぇ。不合格だ。」狩屋の右手の拳は、俺が反応するよりも速く、俺の腹に直撃した。そして、そのまま俺は気を失ってしまった。


ーーー暖かい風が通り抜ける、そんな感じがした。ここは一体どこだろう?目を瞑ったままの自分に問いかける。さっきまでの怒りもどこかへ飛んでいってしまったようで、今は不思議な感情に自分自身が混乱していた。

ゆっくりと目を開ける。

そこは、さっきまで自分がいた場所とは全く似ても似つかないような空間だった。

どこまでも続く大地に草原がただただ広がっている。どこを見渡しても、見えてくるのは同じ景色だけだった。

「ここどこだ?なぁ、イグニ。」


………………。返事が返ってこない。こういう状況の時は必ずイグニが何か言ってくるはずなのに。


「イグニはここにはいないよ。ここは秋翔とワタシだけの世界だもん。」

そして、数秒間の静寂の後に返ってきた声は全く聞き覚えのない少女の声だった。


振り向くとそこにはさっきまでそこには誰もいなかった筈のところに、黒い髪で頭の左右から2本の小さな黒い角を生やした少女?が立っていた。

「君はいったい…………それに、ここがどこか分かるのか?」

少女は頷いた。


「私の名前はアモン。ここはね、さっきも言ったけど秋翔とワタシだけの世界。夢 のような世界。それに、まだ私と秋翔の世界は不安定。だから、この夢の時間もすぐ終わる。」にっこりと微笑む少女は草原を駆けながら話す。


「どういう意味だ?」

そう問いかけた途端、強い眠気が襲ってきた。


「お前は………いったい………なに、ものなん………」


「またね、秋翔。今度はたくさん一緒に遊べるといいな。」

その言葉を最後に、俺はまた意識を失った。



ーーー目が覚めると、心配そうに見つめる詩織と美希の姿があった。

「秋翔くん、大丈夫?」


「あ、あぁ。なんとか大丈夫だ。………俺、負けたんだな。」あんなクソ野郎に負けるなんて。でも、実力は確かだった。俺の攻撃は1度も奴に当たってない。動きを完全に読まれてた。悔しさがこみ上げる。


「悔しいよね。私たちも悔しい。あそこで全く動けなかったし、あんなこと言われて反論もできなかった。まぁ、事実を言われてたから反論も何もないんだけどね。」

「そうですね。でも、それでもやっぱり悔しいです。」

詩織も美希も、同じような気持ちらしい。

「だったらここで立ち止まってるわけにはいかないね。3人とも。」

美希のバッグが青く光り、中から1冊の魔導書が飛び出す。


「アクアさん!」


「美希、しゅうと、詩織。今のままだと武精祭は1回戦敗退が目に見えるわ。イグニもさっきの戦いでよく分かったでしょ。」

今度は俺の刀が紅く光り、1匹の狐が飛び出す。


「あぁ。よーく分かっちまったよ。あいつの言ってる事は腹立つけど、嘘はついてねぇ。強さは本物だ。」

アクアもイグニも認める強さ。このままだと本当に1回戦敗退しかねない。


「でも、やっぱり何をすればいいか分からないんです。私たちどうすればいいんでしょうか?」美希がアクアに助言を求める。


するとアクアが口を開く。

「美希と詩織はアイツに言われたでしょ。あの時あなたたち2人がしゅうとと一緒に戦わなかった理由。まずはそれを自分たちがしっかりと自覚すること。そこから始めればいいんじゃない?そうすれば次にやることも見つかるかもしれない。しゅうとは…………そうね、精霊の加護に頼るのをやめてみたら?」


「精霊の加護を使わない?あの魔法は俺の父さんから教わった唯一の魔法だ。それに、自分でも分かる。あの魔法は俺たちが戦う上で必ず必要になってくる。」


「二度と使うなって言ってるわけじゃないわ。今日から武精祭までの特訓期間の間、もしくは武精祭が終わるまで、よ。実際に頼りすぎてて数分後にすぐにぶっ倒れてちゃ2人のお荷物でしかないし、まずはあんな【疲労ガン溜りストレス蓄積強化魔法】(精霊の加護)を使わなくてもまともに戦えるようになれって言ってるの。」

精霊の加護がアクアの口撃によってメッタメタに叩き潰された。でも、アクアの言うことも確かだ。俺は悪魔と戦う時、必ず精霊の加護を使っている。いや、正確には精霊の加護を使える吹雪先生や、あいつ………凱先生も悪魔と戦う時には使うはずだ。ただ、俺の使う燃費ゴリゴリ消費魔法とは違う。何十分も保った状態でいられるってことだ。今の俺だと5分も保てればマシだ。その上、精霊の加護以外にも魔法を発動する。


「さらには焔狐の尻尾(ヴォルクナテイル)なんて大技かました時点で風前の灯になっちゃう、そうでしょ?」アクアはなんでもお見通しだな。


「それならしゅうとのやる事は1つ、技の精度を磨いて、魔力をコントロール出来るようになる。じゃないかな?」


「なるほど、魔力のコントロールか。よし、イグニ。こうしちゃいられねぇ。これから魔力をコントロールする練習するぞ!」刀を握って走り出す。


「ちょっと待ちなさい!どうやって特訓するか分かって……………行っちゃった。まぁ、あの二人なら適当に答えみつけそうだし、いっか。」


ーーー秋翔先輩が走り去ってから、私たちも私たちなりの特訓…………を始めるために詩織先輩と河原を歩きながら考えていた。


「どうしてあの時、戦えなかったのか…………かぁ。恐かった?んー、それなら悪魔の時はもっともっと恐かったし、なんなら痛かったし。」

「そうだよね、凱先生なら私たちを殺そうとなんて欠片も思ってなかっただろうから、やっぱり殺気は悪魔よりなかったはずだしね。」

詩織先輩の言う通り。全てにおいて今まで見てきた悪魔よりも全て凱先生は劣っていた。もちろん、本気を出してないことも分かってる。


「ねぇ、アクアさん。ヒント。」

と、カバンの中を覗く。カバンから再び1冊の本がゆっくりと出てくる。


「ヒントならさんざん出したし、凱先生にも言われてたでしょ。あなたたちはもう知ってるって。…………じゃあ最後のヒント。チーム192の中で1番強いと思う子は誰?」

アクアがヒント、というよりは質問を投げかけてきた。


「1番強い………それだったら秋翔くんじゃないかな?あ、でも真冬さんだって負けてないよね。パワーは負けてるかもだけど、戦略とか戦い方を考えたら真冬さんも強いよね。」と詩織先輩が答える。


「春だって負けてませんよ。スピードならチームの中でピカイチですし、3年生と一緒に肩を並べて戦える。春も強いです。」

詩織も頷いて、「そうだね。春ちゃんも強いね。」と答えた。


「それじゃあ、あなたたちは?」

アクアが私と詩織先輩の2人にまた、質問した。


「私なんて…………、全然ダメだよ。」

「私も、足を引っ張ってばかりです。」


「「あ。」」2人の声が重なった。アクアも私たちが答えに辿り着いたことが分かると、カバンの中にそっと戻っていった。


「そっか、詩織ちゃん。私たち、自信がなかったんだ。悪魔の時はとにかく少しでも役に立ちたいってばっかり思ってた。だから体が動いた。」


「はい、でもさっきは秋翔先輩と一緒に戦うことで足でまといになる自分たちが嫌だった。命をかけない戦いだから、逃げたんだ。」


「私たちに足りないのって、自信だよ。」

「はい、でも………。どうやったら自信がつくんでしょう?」

2人で色々と考えを巡らせる。こうしてる間にも秋翔先輩は、他のみんなは強くなっている。



暫くの間、沈黙が辺りを包み込んでいた。そして、その沈黙を破ったのは、詩織先輩だった。


「あ、そうだ!ねぇ、美希ちゃん。私たちの強み、見つけよう。」


「強み?ですか?」詩織先輩は大きく頷いた。


「秋翔くんは、火系統の魔法を使ってガンガン斬り込んでくし、真冬さんは氷系統の魔法を使いって、相手の動きを封じたり、戦況を把握できるし、春ちゃんはスピードで相手を翻弄して相手を追いつめる。ほら、みんなどこか突出してるというか、強みがあるでしょ?」

確かに詩織先輩の言う通りかもしれない。私たちが使えるのは授業で習ったごく一般的な魔法のみ。詩織先輩は本当にそれだけなのか、ちょっと怪しいけど。

「そう言われてみれば、そうですね。私の回復魔法も真冬先輩や春だって、魔力を回せば回復できるはずだし。ただ、そんなタイミングが戦闘中に中々ないからこそ、チームの中にサポート役として、強化魔法を使える人だったり、回復魔法を使える人が1人くらいいますよね。」

私の魔法もどちらかというとサポート系統。これまでの戦いでもそれが多かった。ただ、それだけじゃ足りない。もっと魔法の質を上げていかないと、他のチームの子たちと同じじゃいられない。


「私、もっとサポート系の魔法を使えるようになりたいです。それから、今覚えている魔法はより精度を上げて皆さんの助けになります。」

これが私なりの戦い方なんだ。


「うん、とってもいいと思う。私も少しは回復魔法を使えるけど、周りの子達と同じくらいのレベルだし。それに私の精霊、チーさんはサポートというよりは中距離で力を活かせる。私も過去に囚われ続けてなんていられない。」

詩織さん、やっぱり精霊使いだったんだ。何か理由があって使いたくなかったみたいだけど。深くは聞かない。今は詩織先輩が覚悟を決めたんだ。そんな気持ちを折ってはいけない。


「美希ちゃん、ありがとね。また今度、みんなにはちゃんと話すよ。それよりも今は特訓だね。もし良かったら一緒に特訓しない?やっぱり1人だと不安で。」


「もちろんです。私もサポート系統の魔法、もっと試してみたかったんです。ぜひお願いします。」

「それって私、実験台にされてない?」

2人は顔を見つめあって、クスッと、抑えていた笑みがこぼれた。


ーーー学園長室のドアが勢いよく開かれる。


「吹雪、いるか。」入ってきたのは言うまでもなく、凱。


「いるわよ。というか、今副学園長と大事な話をしていたから、ノックはして欲しかったのだけれど。…………その感じからして、もう2人に会った感じね。」

凱は暫く黙って私を見ていた。


「あいつら、本当に学生か?確かに精霊の加護の使い方はこれっぽっちもなっちゃいなかった。だが…………完全に習得するまで時間はかからねぇだろうな。」

その言葉を聞いて思わずにやけてしまった。


「やっぱり、凱もそう思うのね。それなら私の間違いじゃなかったわけね。本当はもっと合わせたい子達がいるんだけど、せっかくだから武精祭でその力を見てもらった方がいいかもね。」


「あんた、ましでどうやってこんな奴ら集めた?精霊の加護が使えるやつがいると思えば、もっと得体の知れない力を眠らせている奴もいる。」意図的に集めない限りこんなことにはならないはず、みたいな事を考えてるわね。


「まぁ、近からず遠からずって感じね。元々この学園を含めた4学園は精霊使いを育成する場所であり、未来への可能性を秘めた子たちを集めているのだから。」


「…………まぁ、今はそういう事にしておいてやる。それからもう1つ、たった今アメリカから連絡があった。紅葉優姫(くれはゆうき)についてだ。」

紅葉優姫、秋翔くんの母親。場の空気が一変する。

「彼女に、何かあったの?」

凱は黙って頷いた。


「目を覚ました、だとよ。」

改めまして、作者の伊藤睡蓮です。

次回を投稿するのが少し楽しみです。(未定ですけど)

今後は武精祭も始まるので、戦闘シーンが多くなるかも?しれませんが…………どうなんでしょうね?


とりあえず、息をしているか曖昧なTwitterでも一応告知はしているのでチェックしてみてください。


それでは!

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