精霊剣士の物語〜sauvenile〜其の捨伍
どうもお久しぶりです。作者の伊藤睡蓮です。
今回、かなり短めとなっております。申し訳ないです(〃・д・) -д-))ペコリン
年末、正月、さらにテスト期間に入り中々書けずに投稿ペースも落ちてしまいましたね。
次はいつ投稿できるか分かりませんが、なるべくはやく投稿します。
………それではどうぞ
其の拾伍
27,〜忠精学園・ガバナ襲撃〜
可愛い子(花蓮さん)にビルから投げ飛ばされ、宙を舞ったと思ったら、その子は私の腕に掴まって私任せの着地を要求。その瞬間に、さっきまでいたビルが光に包まれてるし。
「花蓮さん、こうなることが分かってたの?」
私の腕に掴まる少女、忠精学園の四ノ宮花蓮さんにそう尋ねると、花蓮さんは首を横に振った。
「いえ……ですが、私がビルの周りに仕掛けていた術式に嫌な魔力と、その魔力の源から発動された魔法があったので……その……強引ながら私たちだけでも出た方がいいかなと。すみません。」ペコリと頭を下げた。
あの一瞬でそんな事を考えてたのね。
「別に気にしてないわ。むしろ、あなたの判断は正しかった。私たちは忠精学園を守りましょう。」花蓮は大きく頷いた。
「天翼。」光で翼を創り、空を舞う。全速力で向かわないと、忠精学園の生徒たちが危ない。
「…….ところで花蓮さん。ここに向かってきてる人がいるみたいだったけど、誰なの?」
そう聞くと、花蓮さんは少し笑って答えた。
「急いで接近してくる魔力が2つ。このスピードと魔力で覚えがあるのはたった1人。春香しかいない。」
春香ちゃん?
「弥生春香ちゃんのこと?」
花蓮さんは頷いた。確かに春香ちゃんは1年間忠精学園にいたって聞いてる。花蓮さんと知り合っててもおかしくないわね。
「春香は強いです。だから大丈夫。」たった1年一緒にいるだけでも、あの子はみんなから信頼される。まぁ、私もそうだけど。チーム192のみんなは本当にいい子たちだから。春香ちゃんがいるってことはきっと秋翔くんたちもいるはず。だとしたら尚更、私はここにいなくても大丈夫ね。任せたわよ。秋翔くん、みんな。
ーーー忠精学園
「ここが忠精学園か。さて、お手並み拝見と言ったところか。」
忠精学園の門の前に勇ましく立つその姿は、何者近寄ろうとしない肉体を持っていた。
その前には額に汗を浮かべながら立つ複数人の警備員、そして忠精学園の教師であると思われる服装をした者が数人いた。
「我が名はガバナ。悪魔刻のレオ様に仕える悪魔だ。私の目的は一つ。我々デモンシアの敵勢力を抹殺すること。さぁ、どこからでもかかってこい。」
「お前のような奴に、忠精学園には入らせん!」
余裕の表情を見せるガバナに一斉に各々魔法を繰り出す。ガバナは躱すそぶりすら見せずに全てを受けた。
土煙が舞う。
緊張から魔法を繰り出した後にすぐに息があがる。
「なるほど。貴様たちの力は大体わかった。さて、次は私も行くぞ。」
「そんな……効いてないのか⁉︎」
その場にいた人は一瞬で勝てない相手だと判断した。
「攻撃力だけで言えば私はレオ様よりも上だ。貴様らにそれが耐えられるか?炎魔獅子。」ガバナは片手を前に出すと、黒い炎が獅子を作り出した。その大きさは学園を半壊させるほどの魔力を宿していた。
「まずい……、まだ生徒全員の避難が出来ていない。生徒を守るんだ!五属壁Ⅴ!」火、水、風、雷、土の五属性の魔法を合わせた壁を作り出し、炎魔獅子を防ぐ。
「なるほど、これは予想外だな。見事だ。」
ガバナは笑みを浮かべた。
「くそっ……。まさかこれほどまでに悪魔との力の差があるとは……。」五属壁なち亀裂が走り、次の瞬間には粉々に砕けてしまった。
雲雀学園長、申し訳ありません。
「……誰も、殺させない。術式展開、五属壁Ⅹ。」
警備員たちの前に、砕け散ったはずの壁が再び現れる。それも、前よりも強大な防御力をもって。
「ほぅ。何者だ?」ガバナが上をみあげる。
とっさに教師たちも上空を見上げる。
ガバナの頭上から光の球が降り注いだ。再びガバナは土煙で見失ってしまうが、教師たちの前に2人が舞い降りた。
「遅くなってしまい申し訳ありません。救援に来ました。」
「あなたは……確か2年の四ノ宮花蓮さん⁈あなたは学園長とイプシロンに向かったはずでは?それにこの方は?」
花蓮さんの隣に立つ女性が軽くお辞儀をする。
「私は元特務部隊所属、現在は武精学園で教師をしています。神崎零架といいます。悪魔の襲撃により学園長たちが身動き取れないため、私たちの判断でこちらに来ました。」
「なんですって⁉︎学園長たちが………。学園長たちは無事なのですね?」
「はい。あの術式は閉じ込めるだけの魔法。他は何もできません。大丈夫です。」花蓮さんが説明する。
「だそうです。」
神崎先生は2.3度わざとらしく咳きこむと、
「一先ずみなさんは安全な場所に生徒さんたちと避難してください。ここは私が時間を稼ぎますから。」
「そんな……我々も協力します!」
「お気持ちはありがたく受け取りますが……。私の魔法、かなり危なっかしいので避難してもらえると助かります。お願いします。」神崎先生が頭を下げた。
「私も残ります。雲雀学園長の伝言で、他の方は避難するように、だそうです。」花蓮さんが神崎先生の隣に立つ。
「学園長が………?わかりました。花蓮さん、神崎先生。無理をせずに危険と判断したらすぐに逃げてください。」
そう言って学園の中にいる生徒たちの避難の手助けに走っていった。
ーーー花蓮&神崎
「花蓮さんも嘘つくのね。雲雀学園長と全然話す時間なんてなかったじゃない。先生たちをうまく誘導できたわね。」
クスリと笑うと、花蓮さんもこちらを見てこう言った。
「"零架"先生も、最初にあの魔法を使ったのに危なっかしい魔法ばかりだとは思えません、むしろ、支援用魔法が得意なように見えます。」
そこまで分かるのね。なんか悔しいわ。
「……今、零架先生って言った?」
そう聞くと、花蓮さんは慌てた様子で手を前に出した。
「す、す、すみません!実は、この学園の先生の中にも神崎先生という方がいて……。」
「なるほどね。というか………そっちの方がいいわ。うん。なんか、いいわ!それなら私は花蓮ちゃんって呼ぶわ。そうしましょう!」目の前で親指を立ててグーサインを出した。
「え……、は、はい。」訳が分からない表情の花蓮ちゃんもかわいいなー。
「あなた方が私の相手ですか。正直がっかりです。」ガバナの声がする方を見ると、ゆっくりと歩いてくる人影があった。やっぱりあのぐらいじゃ倒れないわよね。
「見るからに余裕オーラ全開ね。花蓮さん、それじゃあ、あいつに見せつけてやるわよ。私たちの力!」
耳につけている月の形のイヤリングに触れる。イヤリングが光り、1つの杖となって私の手元に収まった。
「はい。」
花蓮さんはいつのまにか1冊の本を手にしていた。
人生2度目の悪魔戦。前のようにはやられない。絶対に勝つ。
人生2度目といっても、今回はおそらく「リブラ」よりも下。なんとなくだけど。それでも悪魔は悪魔だから油断ならないわね。
まずは相手の魔法を知るべき。
「術式展開、水槍Ⅴ。」
また、いつのまにか術式を組み立て発動する花蓮さん。5本の水の槍はガバナに一直線に放たれる。
急な攻撃にも慌てず、ガバナは手を前に出し、炎の壁を作って簡単に防いだ。
火か、秋翔くんと同じね。火と水じゃ相性良いはずなんだけどなー。
「あの、零架先生。一つ提案していいですか?」
「花蓮ちゃんの提案大歓迎。」
一通りの内容を聞くと、まさにそれは
「私が囮になればいいって話ね。でも、それが本当ならこっちに来た理由もさらに頷ける。」
「すみません。」
花蓮ちゃんはペコりと頭を下げる。
「もう、花蓮ちゃん!そんなにペコペコしないでよろしい!もっと堂々としなさい。あなたも忠精学園の生徒でしょ。やるからには、前向きに、全力で!まぁ、私も花蓮ちゃんに負けてられないから全力であいつを相手するわ。」花蓮さんは少し照れて下を向いて、暫くして顔を上げ、頷いた。
「光の雨Ⅲ、光の屈折。」
「光の雨か。この程度の魔法、私には効かんぞ。」ガバナは上空から放たれた無数の光を見ると、今度は手を上にあげ、炎を放った。
しかし、光は炎とぶつかる寸前で横にずれた。さらにそこから下に、左に、また右に。複雑な動きをした。寸前まで迫った光を避けきれず、ガバナは咄嗟に手をクロスして防いだ。ガバナの表情が一瞬だけど変わった。
「これが"光の屈折"の力よ。魔法を反射させて相手を翻弄することが出来るのよ。それから、まだまだ攻撃の手を緩めないから覚悟しなさい!光槍Ⅲ、光乱舞。」
本来、光で構成された矢は一直線に敵に向かっていく。けれど、光乱舞を同時に発動させることで、光槍は複雑な動きをして、敵を討ちにいく。
「なるほど。少しは楽しめそうだな。私も少々油断していたようだ。」
そう言うとガバナは手を空にかざす。
何か仕掛けてくる。
「本気を出そうか。火蜂Ⅲ。」
ガバナの数メートル頭上に赤く光る小さな球体が無数に現れる。
赤い球体は複雑に動く光の槍を正確に撃ち抜いていく。
「まだまだあるぞ。そんなところで立っている場合か?」
こちらに手をかざすと、残った球体は私をめがけて飛んでくる。
後ろには花蓮ちゃんもいるし、必ず守ってみせる!
「光壁。」目の前に大きな壁を作り、球体の行く手を阻む。
「そんな壁でどうにかなると思っているのか。火蜂・突針。」
球体はさらに赤く光り出した。
光の壁と激しくぶつかる。
「なんて魔力………!このままじゃ保たない。」
光の壁に亀裂ができている。
せめて、少しでもこの球体を減らすしかない。花蓮ちゃんには指一本触れさせないんだから!
「光槍壁Ⅲ。これで全部落とす!」光の壁から無数に放たれる光の槍は、
ガバナの火蜂とぶつかり、弾けた。
「この程度で満足できんぞ。火蜂Ⅲ。」
ガバナって限界って言葉を知らないのかしら?
「どんだけ無茶苦茶な魔力の使い方してるのよ。こんなに連続で放ってたらすぐに魔力切れするはずよ……私みたいに。」徐々に放たれる光の槍が少なくなってる。流石にここまで連続で使ったことなかったからなー。
「所詮は人間だな。せめて最後は我が主の魔法でとどめを刺してやる。炎魔獅子!」
大きな黒き獅子がガバナから放たれる。
「やば………完全に油断してた。こんなの隠してたなんて。」
「いえ、もう問題ありません。零架先生。」
その言葉の直後、私の目の前に巨大な水の壁が現れ、黒き炎の獅子をあっさりと防いだ。
「なんだとっ!?」ガバナはその光景に驚きを隠せていない。
私も何がなんだか分からず口を開けて驚いていた。まぁ、だいたいは予想がつくけどね。
「花蓮ちゃん……。すごすぎるんだけど。」
そう言って後ろを振り向くと、花蓮ちゃんは笑って答えた。
「零架先生が時間を作ってくれたので、なんとか展開できました。本当にありがとうございます。………それでは、後は私がやります。」何の躊躇いもなく私の前に出てくる花蓮ちゃん。
「お前がこれを作ったのか……面白い。次の相手はお前がしてくれるのか?」
まだまだ余裕な感じのガバナに花蓮ちゃんは顔色を変えずに頷いた。
「はい。というか、もうあなたは私たちから逃げられませんよ?絶対に。拡張術式展開、要塞学園γ(フォートルガンマ)。」
改めまして作者の伊藤睡蓮です
というわけで、次回はついに花蓮の本気が見れちゃう………かも!
神崎に関しては弱いという訳ではありませんよ!
中々個性的なキャラがいすぎて薄くなってるだけです、モブじゃないです。ちゃんと活躍の場がありますから(笑)
次回はいつ投稿できるか分かりませんが頑張って書きます!
それでは!




