精霊剣士の物語〜sauvenile〜其の拾
どうも、作者の伊藤睡蓮です。
なんだかんだで続いてる連続投稿ですが、来週はちょっと投稿できるか分からないので来週からはまた月1本投稿に戻るかもです。
今回はチーム192のあの2人が一緒に戦います。新しく加わった詩織や美希もこれからどんどん活躍していきますよー。
それではどうぞ!
18,〜4学園襲撃・チーム192編〜
4学園会議ビル・会議室前
何かするとしたら、目の前にある壁のかわりに大きな窓から、外の景色を眺めることぐらい。いやいや、仮にも私は教師。先生よ。こんな暇な時間でも、耐えるのよ。
そういえば、私と一緒に警備してる彼女、四ノ宮花蓮さんのこと、まだほとんど何も知れてないなー。
「花蓮さん、ちょっと聞いていい?」
体育座りで会議室の前にいる花蓮さんはこちらを見ると、小さくコクリと頷いた。
「まぁ、別に無理に答えてとは言わないんだけど。どうして花蓮さんは雲雀学園長とここに来たの?」仲良くなるついでにすごく気になってたこと。雲雀学園長は人見知りって言ってたけど、そんな子をここに連れてきて何を考えてたのかが気になった。
「私は、ただ、学園長に頼まれた、だけです。最初は断ったんです、けど、あなたが適任だからって。」
そうなんだ。でも、それなら尚更不思議。適任ってどういうことだろう?何か彼女の魔法が関係してるとか?
「ねぇ、花蓮さんの得意な魔法は何?」
「えっと、術式。ですかね。他の人たちより、少しは早く描けると、思います。」
術式魔法か。あれって結構難しいのよねー。実戦で使ってる人はほとんどいないし。メリットとしては防御にも攻撃にも使えるし、トラップとしても使えたりもする事。けど、デメリットは術式を書くまでの時間。複雑な術式ほど時間がかかるし、簡易の術式では高威力は見込めない。
すごいなー、そんな魔法を得意って言えるなんて。
「術式魔法かー。すごいね、私なんて先生なんて立場だけど、全然だよ。あ、今日学校で勉強するって言ってたあの子達なら出来るかな?」炎真くんたちならワンチャンいけるかも。って言ってもまだ1年生だし、流石に無理よねー。
「そんな事、無いです。ちょっと術式が描けたり、"感じたり"するだけです。」
感じる?術式を感じるってどうゆう事?
「えっと、感じるって何?」
そう答えると、花蓮さんは私の質問が不思議だと言わんばかりに顔を横に傾けた。
「近くに術式が張られればある程度どんな魔法か分かりますよね?その事です。」
なるほど、そういうことね。それなら納得……。
「いやいやいや、普通の人じゃ無理だよ⁉︎花蓮さんもしかして本当に天才なんじゃないの。いや、天才ね。間違いないわ。」
「そ、そんなこと。えっ……⁉︎」
花蓮さんは、勢いよく立ち上がって窓の方へと走り、"窓に触れた"。そしてすぐに会議室の扉を見て、私を見た。急にどうしたんだろう?
花蓮さんは窓から数歩離れた。
「そのままじっとしていてください。神崎先生。術式発動、千針・三重奏。術式発動、溶毒Ⅱ。術式展開、魔導手紙。」
数え切れないほどの針が、窓に刺さっていく。丸く円を描くと、窓には綺麗に穴が開き、くり抜かれた部分の窓は、ドロドロと空中で溶けてなくなった。魔導手紙って確か考えるだけで文字浮かび上がるやつ?なんでそんなの必要なの?
「術式を3つも、それに今の短時間で……。」
溶毒で溶かしたのはくり抜いたところのガラスを下に落とさないため。一瞬であんな高度の術式を描くなんて。
呆気にとられている私の腕を花蓮さんは掴む。
「術式発動。超腕力強化。すみません、時間がないので。」
その言葉を聞いた次の瞬間には私の体は窓の外、高層ビルが並ぶ中、同じぐらいの高さで飛んでいた。花蓮さんは私を投げると同時に私の手に掴まっていた。
「着地よろしくお願いします。流石に描けないので。それから、武精学園に戦える方は今日何人いますか?」
「ど、どういうこと?さっきから意味が分からな……。」答えはすぐ目の前に現れた。三角形の大きな光の壁。これって……術式?
光の壁はみるみると倒れていくかと思いきや、3方向にあるようで、それぞれがくっつき、大きな三角錐となって、4学園会議の行われているビルを中心に囲んだ。
「もしかして、悪魔?」
「おそらくそうかと。」なるほど、それでさっきの質問につながるわけ。
「えぇ。戦える子ならたくさんいるわよ。少なくとも4人はまともに戦えると思う人がいるわ。そして、刻精学園は確か優秀な生徒が多かったはず。それに今日は確か"あいつ"が自分の弟を見に行ってるから、多分大丈夫。鈍ってなければいいけど。」
花蓮さんは一通り聞くと、忠精学園の方に向かった。
「磨精学園には第4位がいるのでなんとかなることを祈りましょう。忠誠学園には今は部活動中で、みんな武器は手元にないと思います。」
なかなかやるわね、この子。結界に見向きもしないとこを考えると、"誰か来てるのね"。
「おっけー。私たちで絶対阻止しましょ。悪魔の企みを!」
ーーー秋翔、チーム192一行
「どこも混んでるな。まぁ昼時だから仕方ないか。」
「それじゃあ、あそこのベンチで話をしましょう。ご飯は人が空いてきてからで。みんな、それでいい?」
公園の方を指差す真冬は、みんなに確認を取った。相当気になるらしいな。
「私は構いませんよ。」
「大丈夫だよ。」
「私も大丈夫です。」
春香、詩織に美希。3人とも頷いた。
いいのかよ。
(おい、シュウ。ちょっといいか?)
イグニは機嫌が悪そうな声で俺の頭の中に語りかけてきた。
(なんだよ。早く言えよ。)
(真冬との対戦で"あの魔法"使おうとしただろ。)
(な、なんのことかさっぱり分からん。)
(嘘つけ!あの炎は間違いないだろ!使うときは俺とシュウ、2人でなきゃだめだって赤城も言ってただろ?)
約1年間、赤城さんとの修行でかなりの力が身についた。新しい魔法も覚え、真冬との対戦で使おうとした魔法は新しく覚えた中でも特殊な魔法。使った後の反動も大きいから、ジェミニのときは使えなかった。魔力も少なかったし。
(あれはバーチャルだし。あの魔法発動させても大丈夫だと思ってよ。それに結局不具合で発動できなかったし。いいじゃねぇか。)
イグニはため息をつくと、
(まぁ、そうだな。今回は特別に許すけど、次は本当に怒るからな。)
はいはい。
公園にあるベンチに着いた。レオの事について。話す決意を心半ばですると、詩織がキョロキョロと辺りを見まして、何か気づいたようだった。
「どうした、詩織?」
「おかしくない?どこも飲食店はいっぱいなのに、この公園に誰もいないなんて。おやすみだし散歩してるカップルとか居てもおかしくないくらいのお天気なのに。……ってごめんね、変なこと言っちゃって。」
いや、詩織の言う通り、たしかに変だ。なぜか公園には誰一人としていなかった。
嫌な予感がする。
「勘が鋭い子がいるみたいねー。でも、この間はいなかったよね?」
この声は……まさか。声のした方向を向くと、そこにはジェミニの姿があった。それに、知らない奴も1人いる。
「ジェミニ!」
「はいはーい。紅葉秋翔くん、まさかこんなに早く会えるなんて思ってなかったよー。」
咄嗟に腰につけてある狐のストラップを手に取り、魔力を込める。ストラップは形を変え、刀へと変化する。
「この間、夏音さんと秋翔が戦ってた悪魔よね?」
真冬も覚えてたか。詩織と美希はその場に立ちすくんでいた。覚悟があるとはいえ、初めて目の前に悪魔がいるとなると、こうなるが自然だろうな。
ジェミニはそんな俺たちを見てくすりと笑った。
「紅葉秋翔くん、また私と遊びましょ。ステラ、残りの子たちをよろしくねー。双天世界。」
目の前に光が満ち、その場にいた全員は目を閉じた。次に目を開けた時には、四方八方が光の壁で囲まれている場所に俺とジェミニだけがいた。
「ここはどこだ?みんなはどうした!」
「そんなに慌てなくても……。ここは私の魔法で作り出した空間よ。あなたの仲間ならさっきの公園にいるんじゃないかしら?」
(シュウ、前回は夏音と一緒だったから五分五分くらいに持ち込めてたけど、今は俺たちだけだ。慎重に行くぞ。)
そんなこと言われなくてもわかってる。ん?そういえば……。
(おい、イグニ。アクアはどこだ?)本も見当たらない。
(あぁ、アクアなら大丈夫だぜ。まさかこんなことになるとは思ってなかったけどな。)
「さっきからずっと黙ったまま。精霊との作戦会議は終わった?」
ジェミニは退屈そうに言った。
アクアのことはひとまず後にしよう。
「ジェミニ、待たせて悪かったな。」
「あなた、外にいる仲間の心配をしないのね。案外冷たい男の子?」
「冷たい男の子かはよく知らないが、心配する必要がないから心配しないだけだ。俺はあいつらを信じてる。」
ーーー秋翔を除くチーム192
「しゅう先輩!どこですか?返事してください!」
目の前が光で覆われて、次に目を開けた時には、しゅう先輩の姿がどこにもなかった。
「ここにさっきの男の子はいないわよ。ジェミニ様が連れてっちゃったから。」
さっきジェミニからステラと呼ばれた悪魔が答えた。
「率直に聞くけど、あなたたち悪魔がこんな大都市に来た目的を教えてくれない?さっきからいいところで邪魔されていらついて仕方ないから。疑問を1つでも消しときたいわ。」
真冬先輩、きっとしゅう先輩の事考えてるんだ。
「すぐに分かると思うわよ。」
すぐに分かる?どういう意味だろう?
そう思った瞬間、地面が大きく揺れた。辺りを見回してみると、今私たちがいるところから少し離れた所に、大きな3角形の光の壁が建物を囲んでいた。
「あれは……結界?」
「あの結界は、三角錐の形をしていて、内側からだと絶対に解けない仕組みになってるの。誰が中に居ると思う?」
あの結界の中にある真ん中のビルって、よくテレビに映ってた気がする。なんだっけ?
「……4学園会議、……の会議室。」真冬先輩が答えた。
「大正解。4学園の学園長を見事に閉じ込めることが出来ましたー!」
「そんな、吹雪学園長……。」助けないと。でも、ここから離れるわけにもいかない。美希や詩織先輩もいるし。
「春、あなたのスピードならあそこまで5分あれば辿り着けるわよね?」
真冬先輩?
「どういう意味ですか?まさか真冬先輩1人で悪魔と……危険です!みんなで倒した方が。」
真冬先輩は私の方を向いた。焦ってる風に見えてしまった。なんだかよくない事でも考えついたみたいに。
「4学園の学園長があの場所に捕まってる。つまり、今、学園が狙われたら?休みとは言っても、部活とかしてる子たちも大勢いる。このままだと、学園のみんなが危険。でも、ここから戻るにはあなたでも時間がかかるし、仮に辿り着けても、魔力が足りなくて、ろくな戦闘が出来ない。だったらあの結界壊して、学園長たちに向かってもらった方が効率的なの。わかった?」
今の一瞬でそんな事まで考えてたなんて。
「学園が狙われるってことまで考えつくなんて。あなたがジェミニ様から聞いてる第3位の娘なのかしら?」
パキッ!
何かが固まるような音がした。
「なにこれ?動けない。」
ステラの足元は氷が張り巡らされ、足から太ももの辺りまで氷漬けにされていた。
「私、そう言われるの嫌なのよね。悪魔となれば尚更。詩織さん、サポートお願いできる?」
詩織先輩は急に呼びかけられ、動揺していた。
「えっ、私⁉︎……….うん。やってみる!」
いつのまにか、詩織先輩の足の震えは止まっていた。その目には、さっき真冬先輩に問われた時の覚悟の目をしていて、とってもかっこよかった。
「春、任せたわよ。」真冬先輩……。
「任されました!絶対になんとかしてみせます!」
「待って!春、私もいく!」
美希……、足がまだ震えてる。まだ怖いはずなのに。今にも目から涙が溢れ落ちそうだった。
「いいの?多分、私の行くところにも悪魔がいる。結界を守るためにね。」
「大丈夫。私も少しでもみんなの役に立ちたいから。」
美希の覚悟の気持ちも分かってる。
「美希。私の腕にしっかり掴まっててね。超加速。天神の目。天駆羽。」右足で地面を思いっきり蹴って一瞬で跳躍し、そのまま空を駆ける。
真冬先輩、詩織先輩、しゅう先輩。美希も。みんなが頑張ってるんだ。私もみんなを信じて頑張る!
ーーー4学園会議の行われていたビル
「なによ、これ?」大きな振動がしたかと思ったら、周囲に強力な結界が張られている。私も含め、その場にいた4人の学園長は驚きを隠せなかった。
「結界か……それもこれほどまでに強力な。中から破壊することは難しいな。外側で結界を張っている者を倒さない限り、私たちはなにも対応できないだろう。」
神谷晴明は深刻そうな顔つきで言った。
「まぁ、それなら私たちが焦っても仕方ないですね。ここで大人しく外から開けてもらえるのを待ちましょう。」
霧崎千は先ほどの動揺をなくし、自分がさっきまで座っていた椅子に腰かけた。
雲雀真純はそんな千を見た。
「あなたの学園に侵入者がいて、そしてこの結界。関係がないとは言い切れないと思うけど。それに、この状態がこのまま続いたらどうなるか……。」
バン!と、扉が再び勢いよく開き、真純の言葉を遮った。そこには、先ほどと同じく、磨精学園が襲撃されたと報告していた男が、先ほどのツイートがよりも息を切らしてそこに立っていた。
「た、た、たいへん、で……す!」まだ呼吸も整えていない状態で話すのでなにを言っているか聞き取れない。
「落ち着いて。一度深呼吸して、ゆっくり説明してください。」私がそう言うと、彼は大きく深呼吸して、私たちに一礼した。
「す、すみません。失礼しました。……現在、この結界が張られたと思われる時間の同時刻に、それぞれの都市、学園に悪魔と思われる魔力反応を確認しました。」
全員の顔つきが変わる。
「確認したところ、イプシロンに計5体。武精学園に2体、忠精学園と刻精、そして磨精学園にそれぞれ1体。……そして、磨精学園にはレオの反応、イプシロンにはジェミニと思われる魔力反応も確認できました。」
デモンシア……12星座の2人が!
「まずいな………レオが来ることは計算外だ。」千の額からも汗が滲む。早くこの状況をなんとかしないと被害が拡大する。
「やはり、雲雀学園長の言う通り今回の磨精学園に魔導書を盗みに入った者とこのタイミングでデモンシアのレオ。これは偶然とは思えないな。何か関係があるのかもしれない。」私も神谷さんの意見には賛成だった。関係がゼロだとは思えない。
「ねぇ、真純。あなたはどう思う?って、あれ?」さっきまで椅子の近くにいた真純は、そこにはいなかった。
いた。扉の前にいる。慌てて雲雀のところに駆け寄る。
「どうしたの?何か分かったことが……って、何これ?」私が見て一瞬で変だと感じたのは、扉を開けて廊下を挟んだ向こうに大きな窓が並んである、その一枚。人が通れるくらいの大きな穴が開いていた。それも綺麗に
。
「ねぇ、吹雪。案外早くこの結界解けるかもしれないわよ。」真純の言葉にさっきまでの焦りはなくなっていた。
そして、私もすぐに真純の思っていることが分かった。床に浮かび上がっている文字。魔導手紙ね。
"こちらに向かう春香さんの魔力確認。私たちは神崎先生と忠精学園へ向かいます。理由は、学園長ならお分かりですよね?"
「えぇ。そう見たいね。」
結界が張られる寸前でこの窓から飛び降りた。私たちに声をかけなかったのは、かけられないぐらい時間がギリギリだったってところ。気づいたのはおそらく、花蓮さん。真純の安心感からしてそうでしょうね。
19,〜真冬&詩織ペアvsステラ〜
「あーぁ。残ったのはたったの2人だけか。それに1人はいかにも戦闘経験ナッシング。こんなの一方的ないじめでつまらないのよねー。」
ステラは余裕の表情を浮かべてこちらを見ていた。
「詩織さん。私が前線で戦うから、さっきも言ったとおりサポートをお願いできる?魔力は出来るだけ温存しておいて。」
「うん。分かった。」詩織はそう言って頷いた。
「ちょっとちょっと。温存出来る余裕なんてかましてくれちゃってー。……死ぬわよ?」
最後の一言にただならない恐怖を感じ、額から汗が流れる。
「そうみたいね。……詩織さん、前に出る必要はないけど出来る限りのサポートお願い。」
「はい。」詩織さんもステラの殺気を感じ取ったみたいね。
「それじゃあそろそろ始めましょうか。」
ステラが前に手をかざすと、そこから光が溢れ、白い剣が現れた。
「腕力強化Ⅱ。耐久力強化Ⅱ。脚力強化Ⅱ。強化魔法かけたよ、真冬さん。」
力がみなぎってくる。
「ありがと。」
腰につけていた氷の犬のストラップに触れる。ストラップは一瞬にして刀になって、両手で握る。
ステラは剣を片手で持つと、空高く舞い上がり、私の方へ飛んできた。
上から振りかざされた剣を刀で受ける。
「くっ…、あなた1人だけならなんとかなりそうだわ。」
刀と剣がぶつかり合い、金属音が響く。
「あら、そう?全然そんな風には見えないけど!」ステラの力に押し負けて、身体が後方へ転がる。
「氷飛斬Ⅲ。」
刀を振り、氷の斬撃をステラの方へ向かって飛ばす。
「そんな攻撃避けるまでもないわ。」
ステラが剣を構える。
「攻撃強化Ⅲ(パワーエンチャント)。」
剣とぶつかる直前に、詩織が氷飛斬の威力を底上げした。
剣で防がれた氷飛斬は砕けることなくぶつかり合ってる。
「あんたがいること忘れてたわ。中々やるじゃない。」ステラは詩織の方を見て、左手を詩織さんの方へとかざした。
「あんたの相手は私でしょ?絶対凍結斬。」氷飛斬を防いでいる間、相手は剣を使えない。側方に回り込んでのこの攻撃は、回避できないはず。刀をステラの方に突き出す。刀の先から氷の塊が飛び出す。
「ここまで出来るなんて想定外。双光爆斬Ⅲ。」
白い剣は光を帯び、ステラは軽々と氷飛斬を防ぎきると絶対凍結斬をも簡単に振り払った。
振り払ったところには無数の光の球が散乱する。
これは?
「だめ、真冬さん!そこから離れて!」
詩織が慌てて私に声をかける。ステラの顔を向くと……笑っていた。
「バイバイ。」光の球はその光を増し、大きな音を立てると同時に爆発した。1つ爆発すると続けて爆発し、連鎖が巻き起こった。この距離じゃ避けることができない。
「真冬さん!」
ドドドドドッッッ!
爆発の連鎖がおさまったが、砂埃が舞い上がっている。
「はい、1人目。次はあなたの番ね。安心して、すぐに一緒になれるから。」
「………勝手に人を殺してんじゃないわよ。」
「へー、今の爆発の中で生きてたんだ。これまたちょっと以外ね。あれ?空気が……冷たい?」
「流石に今のは危なかったわ。詩織さんの耐久力強化がなかったら本当にヤバかったわ。氷衣。」ボロボロになった服を、氷の羽衣が優しく包んでいく。傷口は氷が塞いである。これでちょっとは痛みもなくなるし、止血作用もあるから一石二鳥。
(ライム、この姿。後どれぐらい保つ?)
(魔力を抑えて戦ってたから、3分はいけるはずだzei。)
3分か。いけるわね。
「なに、その姿?それに魔力も跳ね上がってるじゃない!そんなの隠してたなんて、もったいぶらずに出せばよかったのに!双光爆斬Ⅲ。」ステラは剣を振ると、再び光の球が無数に現れた。
さっきの比じゃないわね。けれど……。
「そんな攻撃、もう私には通用しない。」
刀を一振りする。
爆発寸前の光の球は一瞬にして凍った。
「なによそれっ⁉︎一振りで凍るって反則でしょ!」
ステラの動揺からして、かなり追い込んでるとみていいみたいね。
「双光剣舞。」
ステラは剣に光を纏わせ、斬りかかってきた。刀でその攻撃を防ぐ。剣と刀がぶつかった瞬間、爆発が起こった。
「なるほどね……その剣に触れると爆発が起きるのね。」口から流れる血を拭う。
流石にこの状態(氷衣)でもダメージがあるわね。
「ジェミニ様、待っていてください。必ず勝ってあなたの元に参ります。」
ステラ自身も爆発を至近距離で喰らってるはずなのに、とてもそんな風には見えなかった。いや、感じさせないようにしてるのかも。
(真冬、そろそろ決めないとやばいzei!)
(………分かった。)
「詩織さん、決めるわ。」
詩織さんを見る。
「うん!攻撃強化Ⅴ!」
今撃てる最大の力で、あなたを倒す。
「絶対零斬。」
渾身の一振りがステラに直撃する。
「くっ……。勝てると思ったんだけどな。"私の"負けを認めるわ。」
ステラはそう残して氷に体を包まれた。
全身から力が抜ける。咄嗟に刀で姿勢を保ち、膝立ちになった。
「真冬さん!大丈夫⁉︎」慌てて詩織さんが駆けつける。
「大丈夫よ……。詩織さんこそ、怪我はない?」
詩織さんは何度も頷いた。
「ありがとね。詩織さんがいなかったらかなり危なかったわ。」
「そんな事ないよ。それに、私、恐くてあの場所から一歩も動けなかった。真冬さん、やっぱりすごいよ。」
恐くて当然よ。私も仲間がいるからここまで戦うことが出来るんだから。前の私にはこんなこと絶対にできなかったわよ。
ステラ……、確か"ジェミニ様"って言ってたわよね?でもあの強さは間違いなくあの時戦ったレオと同等の、いいえ。それ以上にも感じた。もしかして……。
(やっぱり真冬は勘が鋭いZEI。)ライムは私の考えを聞いていたらしい。
(ライム、勝手に私の心を読むなって言ってるでしょ。)
(悪いと思ってるzei……。)
(まぁいいわ。もしかして秋翔の話と関係あるの?)
(そうだzei。実は……。)ライムが口を開きかける。
(言わなくていいわよ。"あいつ"から直接聞くから。)そう言うとライムは暫く黙って考えると、
(そうだな、それがいいZEI!)といつもの調子の声で言った。
まったく……うるさいんだから。
次回 春香&美希ペアvs中級悪魔のラーナ
改めまして、作者の伊藤睡蓮です。
無事にステラを倒すことに成功。真冬が前線で戦いつつ、詩織の強化魔法で後方支援での勝利。真冬の氷衣、あれが現在真冬の使える最大の力を発揮するための必須条件の氷を身に纏う魔法です。さて、次回は……。同級生ペアです!お楽しみに!
Twitterでも告知をしているのでチェックしていただけるとありがたいです
それではまた!




