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自由だ

キャバさんを捕まえて泣き付く事2時間、最終的には「他国に亡命します」とまで言ってようやく私の訴えを聞いて貰えた。


最終的には、市民から農工商の代表者数名を議会に加え、協議した結果に私が可否を下すという形で落ち着いた。

じつはこれ、私の権限の度合いとしては何も変わっていないということに後になって気づいたのだが、後の祭りだった。

でもまぁ、見かたを変えれば皆が協議した結果に判子押すだけだと言えるので、随分気が楽には成った。


[それは余りにも無責任すぎます、、、。]


(んなこというてもしゃーないやん!!そもそも先生が、、、、、、、、)

醜い言い争いが4時間ほど続けられた。






今思うと先生と下らない言い争いを4時間も出来た頃が懐かしい、、、、


「シズちゃん、、、、、おねがい、、、、休みを、、、、、ください、、、、、」


「まぁ、先ほど休憩されたばかりじゃないですか。もう少し頑張りましょうトーコ様♪」

エドラドからも多くの人が新しい国興しのために駆けつけてくれている、シズちゃんもその一人で私の身の回りを見てくれている。


「いや、そうやなくて、、、休暇を、、、、、」


「大丈夫ですトーコ様、議会の方もあらかた草案が纏ったと聞いておりますし、もう一頑張りです♪」

あれから4ヶ月、私は執務室に篭り来る日も来る日も判を押し続けていた。

一体どれだけ有るのだと、叫びかけてしまったが


[国一つ作り直すので当たり前です、これらを草案までまとめている人達の前でそれが言えますか?] 

と、先生に低いトーンで窘められた。


判を押し続けるといっても、本当に判を押すだけなんて事が出来るほどの勇気は私には無く、可能な限りは理解しようと慣れない文章と格闘している為何倍もの時間がかかる。

見当も付かない単語なんかは先生に意味を調べて貰う、専門用語という奴は説明文にまで専門用語が使われており、更にそれを調べて、、、、、、なんてやってると初めに何を調べていたのか分からなくなる。

そんな時はシズちゃんにお願いし、噛み砕いて解説して貰う。

いくらキャバさんの従妹とはいえ、末恐ろしい12歳だ、、、、、。



今日もまたペタリと判を押し、新に入れてもらったコーヒーにミルクを入れる、その傍ら反対の手で次の書類をまさぐる。


「あれ?」

手ごたえの無い左手に目をやると、次の書類が用意されていない。


「シズちゃん、次の書類まだないの~、それやったらチョット仮眠するねぇ、、、、」

机に伏せ目を瞑る。


「お疲れ様でしたトーコ様、今ので最後です」


「ん?もうそんな時間かぁ、食欲無いけど食べんと明日しんどいしなぁ、、、、」

夕食を食べるため、よっこいしょっと机から身体を引き剥がす。



「あえ?まだ明るいやん、、、、?昼ごはん??食べたよな、、、、?」

酷使しすぎた私の脳がどうにも怪しいことになってるようだ、、、、。


「フフフッ、御夕食はまだですが一通りの急ぎの書類は全て終わりました、食事の準備が整いましたらお呼びしますのでゆっくりお休みください」


「あーそうなん?んじゃぁ、おねがい、、、、、、、、、、、、、、え?、、、、、、、、、、おわったん?」


「ハイ♪」


「全部?」


「今後も断続的には出てきますが、まとまった作業は以上です」


「休めんの?」


「ハイ。ごゆっくりと♪」


「休暇やで?」


「少なくとも明日から三日間はお休みいただける予定です」

シズちゃんの笑顔が眩しい、さっきまで悪鬼のように見えていた笑顔がトテモ愛しい。


「じゆうやぁぁぁぁぁぁ」

先生を掴み執務室を駆け出る、自室に立ち寄りポシェットを腰に巻く。


「ピャーチ行くよ!」

窓際でまどろむピャーチを呼んで、外を目指す。

城から出た所で、改めて買ってもらっておいたバイクを取り出しアクセルを開ける。

途中なにやら叫ぶ衛兵達を無視して城の外を目指す。

けたたましくホーンを鳴らし、「どいてどいて」と兵を掻き分ける。

城門を抜ける、同じ空のはずなのに城の中と外では全く違う。

青い日差しが目に沁みる。


「自由や!自由や!じ・ゆ・う・やぁぁぁぁ!!」

意味も無く立ち上がり、左手を上げて力いっぱい叫ぶ。

叫びながら街を周り、下界を堪能する。

道中無数の兵士が私の自由を阻もうと立ちふさがる。

ホーンで蹴散らし、脇道に反れ街を回る。

必死で何かを訴えるキングさんが視界に入ったが、ごめん今は見えない。

ストリタの街を三週目に入ろうとしたところでついに兵に囲まれた、停車してゆっくりと辺りを見回す。

アクセルを煽り隙を探す。

仁王立ちする大姉が目に入る、、、、、。


「うわ、、、、めっちゃ怒ってる、、、、、、」

そっとバイクを降り、エンジンを切る。


ガシャンガシャンと苛立つように開け閉めされる鉄扇の音に身がよだつ。


文字通り襟首を掴まれて城内に連行された。



「「「いくら安定し始めたといっても、一人で出歩くなんて!!!!!!!」」」

キャバさんとシズちゃんと大姉に山盛り怒られた、、、、。

大姉には治安・警備を含む全ての兵の最高責任者になってもらってる、その甲斐もあって私への説教にもひときわ力が入る。

大姉が発する殺気に当てられて膝が抜ける、散々死にそうな目にあってきたがこれほどの恐怖は経験がない。

年甲斐も無く、本気で号泣してしまった、、、、、、。







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