そのゴミ
一先ず最低限の衣服を購入し、片隅で着替える。
所持金が無くなってなくて何よりだ。
「お騒がせいました。」
皆にペコリと頭を下げる。
一緒に買ったゼリー飲料を飲みながら視線を移す。
「で、、、、そのゴミはまだ生きてんの?」
バルザヤ達がこの部屋に入ってきた時からずっと咥えていた物を指して言う
バルザヤは咥えた物を床に置き腹部を踏み付ける
「ぐっ、グェェ、、、、ひっ!ヒャァァァァ!わ、我は美味くないのである!離すのである!グェェ、、、、」
王が見苦しく叫ぶ、踏みつける足に更に力を入れられて悶える。
「こんな汚いのに咥えて来てくれたんやね、有難う。でもこれ以上触らんでいいよ」
王を運んでくれたバルザヤに礼を言う。
「生きてた喜びとか、でっかいバルザヤとかでテンション上がってたからスルーしてたけど、意識したらあかんわ。今すぐ殺す事しか思い浮かばへん、、、、、これの事は皆に任せます、、、、、」
「とはいえ、この国の主要部は全て抑えましたわ、今更これに使い道が有るとは思えませんわ」
キャバさんが困った様に言う
「ひっ!まて!待つのである我は栄誉有るドクガ国の王であるぞ!殺して良いはずか無いである」
「うるさいわ!有るんか無いんかどっちやねん!!!」
イマイチ立場を理解できていない物言いに苛立つ、使い古されたツッコミと同時に爪先を王の脇腹にめり込ませる。
「グェッ、ゴェェ」
汚物が口から汚物を吐き出す、全く救えない。
「ベンは何処にいるの?」
小姉の言葉にハッとする、そういえばボタンさんの姿を見ていない
「ひょっ!おぉ、あ奴か!!あ奴なら大丈夫である。身体は処分したが首は何かに使えるかと、綺麗に残して居るのである。我の寛大な処置に感謝するのである!」
王は両手を広げ大きくアピールしながら立ち上がる。
「なっ、、、、、」
隊長に続きボタンさんまでも、、、、続く言葉が出て来ない。
さっきまで妙にテンションの高かった自分が情けない。
キャバさんの、いや、皆の顔を見る事が出来ない。
顔を伏せ唇を噛締める。
「ひぎゃ!、、、、、、、、、、、、、ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁああ」
王の断末魔にも近い悲鳴に思わず顔を上げる、王の左足首が消失し多量の血が流れ出ている。
その左足を抱えるように蹲り泣き叫ぶ。
「叫びすぎよ。」
声の主を追って小姉を見つける、同時に小姉の右手がヒョイと振り下ろされた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ、、、、、、、、、、、、、」
再び聞こえる王の断末魔、慌てて振り向くと今度は右腕の肘から先が無くなっていた。
少し遅れてキラキラと切断面が輝きだす、数秒で血が止まり瘡蓋が張ったような形になった。
「簡単に死ねると思わないでね、次は右足よ」
淡々とそう言いながらまた右手を振り下ろす。
パチンッと破裂する爆竹のように右足が消失した。
だがしかし、今度は王の悲鳴が聞こえない。
見ていて余り愉しい物ではないが、王の叫び声に胸がすくのも隠し様の無い事実だ、もっとも、根底の原因が私にあるので表立っては言えないが、、、、、、。
キングさんが王に近づき頭を掴み持ち上げる、そっと首に指を当て脈を取る。
「、、、、、既に事切れております、、、、、」
静かに首を振りながら頭を掴んだ手を離す、ドサリと王の肉塊が無言で横たわる。
「なんでよぉぉぉぉぉぉ!」
悲鳴のような叫びを上げながら、小姉は手を振り下ろす。
パチンと王の腹部が弾け跳ぶ、更に絶え間なく腕が振り下ろされる。
泣き叫ぶ子供のぐるぐるパンチのように両手をぐるぐると振り下ろす。
肉塊の至る所が弾け飛び、時には部屋の床を削る。
既に肉塊は影も無く、削られる床に併せて残された血が舞うだけだった。
ペースこそ落ちたがそれでもまだ小姉は止まらない。
パチン パチン と床の弾ける音だけが謁見室に響く。
私達はただ黙ってその姿を見つめていた、誰もが其々の思いを言葉に出来ず、ただ静かに涙を流しながら小姉を見つめている。
”くぅ~ん”
私の脇で心配そうに私を見つめていたピャーチが二度三度小姉と私を交互に見比べてから、小姉の元に歩いていった。
優しく小姉の足元に触れる、小姉を見つめながら何度も身体をスリ寄せる。
やがて小姉は手を止めピャーチに抱きすがり、いつまでも泣き続けた。
(ねぇ先生、大姉は、、、、、?)
泣き続ける小姉を見つめながら、言い出せなかったことを聞いてみる。
[コギー様は現在も国境付近で戦闘中だと推測されます。とは言え向うにも城が落ちた事は伝わるでしょうから、数日のうちに戦闘は終了するでしょう。]
(そっか、ありがとう、、、、)
再び暫く水曜更新になります。




