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先生は中二脳

秘境二日目 現在7:00 



昨晩は自分の荷物が帰ってきたので自前のテントで休むことができた。

ザックの中身はほとんど無事だったが、一箇所ポケットが破れていた、

衛星携帯を入れてるポケットだった、、、、、、。

スマホの電波じゃ頼りなさ過ぎるが、無くしたのが逆だったら、今はもっと困っていただろう、

不幸中の幸いと心を切り替える。


昔ながらの芯棒とロープで形を保つ自立式テントを組む4人の傍、

クルッと捻るだけで出来上がる私の簡易式のテントを見てみんなが目を丸くした。

なかでも隊長のテンションは急上昇、「もう一回見せてくれ」と閉じて開いてを10回ほど繰り返させられた。

挙句、俺にもやらせてくれと目で訴えるので渡したところ、夕食が出来上がる迄の2時間程の間ずっと繰り返していた。

途中壊れないかとハラハラしたが思ってた以上に頑丈だったようだ。

次もこのメーカーの物を買おう。


夕食はご馳走になった。

当然簡単なものであったが、肉やサラダにスープまで付いてた、私の携帯食よりは比べるまでもない素晴しい夕食だった。


お礼に私もとっておきの焼酎を振る舞う、

もちろん自慢のコーヒー割りを薦める。

珈琲を始めて見たようで、黒々した液体を飲むことに皆始めは少し躊躇っていたが

一度口をつけると皆大絶賛してくれた。

この国の人はどうやら違いのわかる人たちらしい。


隊長から集合の合図がかかる。

[今日は6階のボス部屋の前まで行きたいと、

途中、昼食を挟むが私がいるから強行突破するつもりだ]と、訳された。

確かに昨日一日私のせいで予定が遅れたのだ、お昼抜くぐらい平気です。

前半、先生の意訳(誤訳?)が混じっていたので混乱しないよう翻訳情報を修正しておく。

6階→第六地区

ボス部屋→県境

こんなところだろう。

この国の言葉も覚えていく上で、こういった細かい修正作業は大切だ。


ザックを背負い、スマホにUSBを差し込む。

このザックにはソーラーパネルが取り付けられている、後付けのパネルは最近メジャーになってきたが私のザックは初めから一体化した特別品だ、スポンサーの会社が作ってくれた。

少しの会話でもゴーゴロ先生に頼らなければいけない現在、このザックだけは無くせない、、、、。







一番に無くしてたやんけ、、、、



脳内の突っ込み担当の私がいちいち五月蝿い。











いよいよ出発だ。


テントやらテーブルやら食材やら、いろいろとあった荷物はどこに行った、、、、、?


荷物らしきものは隊長の腰に付く皮袋と各自の小さなリュックしか見当たらない、、、、


隊長の皮袋からなにやら青狸適な気配がするが、そこを追求するとタブン、

私の望まない事実が突き付けられそうなので、やっぱりそっとしておく。





望む望まないは別にしてやっぱり知らない土地というのはイイ♪

未開とか秘境とか冒険家魂がはち切れそうだ。


隊列を組んで進行する。

ボタンさん→大姉さん→私→小姉さん→隊長の順番だ、

皆真剣な面持ちで歩いている。

こんな平野部で緊張しすぎではないかと、疑問に思うがコレがこのチームのスタイルなんだろう

新参物が口を挟む事ではない、脳内では始めてみる景色にワクワクしながら、真剣な表情を取り繕う。



移動は順調だ、

砂浜から少し坂を上り右手に海を見ながら草原を歩く、初めに見た草原だろうか?

青々晴れ渡る空は清々しく、エメラルドグリーンに輝く海は息を飲むほどに美しいが、、、、

流石に2時間も同じ景色を歩いていると流石に少々飽きてきた、、、、、

それでも、ほかの皆は緊張感を維持し続けている様は、一流の冒険家なのだろうと感心するばかりだ。

永遠に続くかと思われる景色に目持ち無沙汰?になり、何気ない習慣でスマホを取り出し、地図を開いた。

そういえばGPSは復旧したのだろうか?

画面は黄緑色に埋め尽くされている。


見渡す限り草原だ、道も目印も何もない、だから一瞬わかり辛かったがよく見れば画面の端が僅かに青い、

通常なら海や川などの水場を表す色だ、

そして事実、右側には海がある。

500M表示から3Km表示に画面を引いてみる、

現在地を示す三角あたりは黄緑色、右手は青い、左下のあたりの濃い緑は昨日の森だろうか?

6キロほど先は茶色く塗られている。

まだ確定ではない、でも今見る限り位置情報は正しそうだ、




少し涙がこぼれる。





怖かった、


出来る限り逃避していたが、

本当はとても怖かった、、、、


見知らぬ場所に飛ばされた。


ありえない姿の犬に追いかけられた。


浮いた。


人が光った。


私も光って、怪我が治った。


スマホも直った。


小さい皮袋からいろいろなものが出てきた。


認めたくはなかった、


でも、これらの経験をつなぎ合わせると、どう考えても私の知っている世界の理屈じゃなかった。


異世界、異次元、平行世界、天国、地獄、、、、、、、

様々な異なる理屈で成り立つ世界が頭に浮かんでいた、

それらに共通することは一つ、元の世界に帰ることが出来ない、、、、、。


私は神隠しに遭ったのだろう、それは認めなきゃいけない、


でも、


一瞬にして別の場所に飛ばされると、

一瞬にして別の世界に飛ばされるでは全く違う。



GPSを拾っているということは、私の知っている宇宙とここの宇宙は同じということだ。


(帰れるんや!!!)


いつの間にかボロボロと泣いていた、ヒックヒックと声も漏れていた様だ。


「もつひもよ?」

「ものなちまちよ?」


大小お姉さんズが私の顔を覗き込み話しかけてきた。


心配そうな目、突如泣き出した私を気遣ってくれてるのだろう。


涙をぬぐい笑顔を見せて先生に伝えてもらう。

「驚かせてごめんなさい、少し目にゴミが入っただけです」

「もう取れたので先に進みましょう!」


肩の荷がとれた気がした、

勿論ザックは背負ってる。

足し取りが軽い、さっきまで見飽きていたはずの景色がいっそう輝いて見える。


更に一時間半程進んだ、

草原は終わり岩場になった、

大小様々な岩が点在している。


地図を開く、現在地を示す三角は丁度、黄緑と茶色の境目にあった。


頭の中でファンファーレが鳴り響く、

勝った!!


何と争っていたのかは知らないがとにかく勝った!


GPSがこんなに愛おしいものだったとは、知らなかった。


GPS衛星がどれだけあるかは知らないが、帰ったら絶対

全ての衛星管理者に有り難うと伝えようと、決意した。























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