ファインプレー?
トーコさん初めてのファインプレーじゃないやろか?!
皆、慌ててペルーさんを上の部屋に運び込む
仲間を炙り出すために生かして置いたなら、隠した方が言い逃れ出来ない、
私達と村の関係を暴露しているようなものだ。
「ところで、ペルーさん治るんですよね、、、?」
私の常識では、正直生きているのが不思議なくらいで、どれ程の最先端技術を費やしても元に戻ることは無いと思える有様だ。
だけどこの世界はファンタジー、私の脊髄もミンチになった脚も瞬く間に修復された実績がある、
生きてさえいれば何とでも成りそうだ。
「高度な回復魔法を掛け続ければひと月程で元通りになるでと思われます、しかしそれ程の回復魔法士のツテはありません、、、、」
チャルさんが俯きながら答える、
キャバさんを見ても小さく首を振っている。
「回復魔法使える人やったら知ってますよ、小姉、、、、ちゃうわ、ウエルッシュさん、ベンさんの仲間の一人なんです」
小姉なら完璧だろう、世界でも有数の実力者だ、どこに居るか探さなあかんけど、、、、。
「ウエルッシュ様の事ならば存じ上げておりますわ、、、、」
存じ上げているにしては反応が鈍い、小姉でも力不足なんやろうか???
「生命維持の魔法は自動的にペルーの脳に常に実行命令が出されている状況です、それは常に脳がフル回転していると言う意味となり、、、、、1週間持てば良い方でしょう、、、、」
「それって、、、、、何か他に無いんです?ファンタジーなんだから薬で回復とか」
「無いわけではありません、エジメイ草の薬なら二日程で回復出来る筈です、しかし1瓶が数千万もする薬です、とても用意できる額ではありません。
お金の事を解決したとしても常に出回っている物ではありませんので、正直この村に偶然回復魔法士が立ち寄る可能性に掛けたほうが現実的です、、、、」
なんだその絶望感、、、、
エジメイ草、単なる金のなる木としか思ってなかったがそう言えば、万能薬だったと思い出した。
こんな事なら売らなきゃ良かったなと思ったが、あの状況で売らない選択肢はなかった。
「種じゃ駄目ですよね、、、、?」
ダメもとで聞いてみる。
「種をお持ちなのですか!流石はトーコ様。
ですが、残念ながら種から薬は作れません」
「時間的にも状況的にも現実的では有りませんが、、、、」
そう前置きしてエジメイ草の群生地の話をする
「ドクガ国内のダンジョンにその様な場所が、、、、しかしあの場所はドクガ国の生命線とも言える場所、王宮以上の警備が引かれているはずですわ、、、、」
救える手段が有るのに救えない、なんの為のファンタジーなんだと憤る、、、、
「ペルーの為に御心を痛めて頂いて有難うございます、一般の回復魔法士を見つける事ができれば命だけは救うことが出来ますわ」
笑顔を取り繕っているが眼は真っ赤に充血している、其れでも涙を零さないキャバさんは流石だ。
だからこそ余計に何とかしてあげたい。
困った時の間先生頼みだ。
(先生お願いします!)
[用心棒みたいに言わないで下さい]
「ぶっぇふっ」
危うく噴き出しかけた声を抑えたら変な声になった、、、、ゴホンゴホンと咳で誤魔化す
(この状況でその返しは反則や先生、、、、)
[、、、、、、、検索の結果30キロ程先にあるようです。]
(流石先生♪)
画面上の地図を見せながらエジメイ草を採取しに行くと皆に伝える
「なんとそんな所にエジメイ草が!しかしその方向と距離では、、、、、、、」
村長さんが、ゴソゴソと戸棚を漁り、取り出した地図を並べて見比べて難しい顔だ。
確かなことは分からないと前置きしながら、表示されている位置は非常に険しい山岳地帯に当るという、切立った崖が広範囲に広がりとても人の踏み込める場所では無いそうだ。
険し過ぎて魔物の類も近寄らないと言われて安心出来た。
馬でも1時間程の距離だ、駄目元で見に行こうと先生に情報を補足して貰い準備を進める
麓からの距離は1キロ程度、高低差で500メートルとの事なので確かに崖なんだろう。
通販が利用出来るチャンスを生かしてクライミング用品を買い漁る、革袋のお陰でどんな場所にもフル装備どころか過剰装備で挑戦出来る。
元の世界に持って帰れたらk2山頂でバーベキューも夢じゃない、、、、、ロマンやわ。
久しぶりのクライミングに胸が踊るが太陽は沈み始めている、明日の日の出と共にアタックを開始すると打ち合わせて、村の片隅にテントを建てた。




