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第一村人

丁度視線を塞ぐようにでっかい流木が横たわっている、

ピカピカお姉さんの姿はもう見えない

巻き込んでしまった。

逃げてと叫びたいが、もう、声もでない

再び体を起こそうとするが、両手が辛うじて、頼りなく持ち上がるだけだ。

崖を見る、30m 位はありそうだ、

もしかしたら、、、

この高さならあの犬も無事では済んでいないのかも知れない?


そんな期待も虚しく「ギョボォーーー」と、犬の咆哮らしきものが聴こえる。

負けじとお姉さんも何かを叫んでいる、

いつのまにか野太い声が増えている。

阿鼻叫喚ってやつだろうか、、、、、、。

この浜でバーベキューでもしてたのだろうか?どれだけの人を捲き込んでしまったのだろう、、、、

皆様ご免なさい、、、、、、、、

ただ、謝ることしか出来ない、

今となっては自分が喰われて他の人が助かるなら、是非そうしたい。


再び体を起こそうとするがやはり動けない、

どうにも、胸から下の感覚がない。

下半身取れてるよ。

そう言われても納得の感覚だ。

脊髄でも痛めたのだろうか?


スマホのカメラを思い出す、カメラ越しならなんとか見えるんじゃないだろうか?

辛うじて動く腕を身体の下にねじ込み、ウエストポーチからスマホを取り出すことに成功する。


思い返せば4メートルほどの高さから落ちた、ウエストポーチは腰につけるものだ、

いくら下が砂地でも体重プラス落下速度4メートル分には耐えられなかったようだ、

スマホはもう、言うことを聞いてくれなかった、背中を丸めてグレていた、、、。

尽く何も出来ない自分の無力さにもう、笑うしかなかった。


仕方がない、せめてもと耳を澄ます、怒号と共に金属のぶつかるような音や、何かが爆発するような音が聴こえる、それにしてもどこの言葉なんだろう?

13歳の頃から親に連れられて世界中の山を巡ってきた、会話が出来る程となると英語だけだが、聴くだけなら世界中の様々な国の言葉を耳にして育ってきた、

いくつかの単語を拾えばどこの国の言葉か判別出来る、結構自信を持っていた、、、。


思い起こせば今日はことごとく自信をへし折られてきた、其なりの努力と経験を積み上げて築いたつもりだったのだが、、、、、


ハァ、、、、


自己嫌悪を満喫しているうちに、辺りが静かになった、

「お姉さんほんまに悪い事した、向こうでなんてあやまろか、、。」

そっと覚悟を決めて眼を閉じる。


サクサクと砂を踏む音が近づいてくる、

お姉さん食べて満足した犬が自分を置いて去っていく、

なんて最低のパターンが一番怖かったが、、、、

変な話だがホッとした。

頭の方から近づいてきた気配の主の影が顔を覆う


ボソボソボソと人の話し声


恐る恐る目を開ける。


「お姉さん!!何で生きてんの!!!」

蚊の鳴くような声にしかなっていないが、手だけはしっかり突っ込みのジェスチャーをとる、

勢い、角度、タイミング。全てにおいて結構完璧だったのだが、お姉さんスルー

文化が違うと、慰める。


顔を覗き込んでいたお姉さんの視線が外れる、その視線を追うように向き直すと、そこには隊長がいた!

いや、別に知り合いではない、キャンプでエクササイズしてそうな風貌の男性だ、顔と腹部以外を鉄で覆われた鎧?を着ている、八つに割れた腹筋が「俺はハリボテじゃないぜ」と語りかけてくる。

アスリートの端くれとして、これ程実用的で美しい腹筋があったのかと、感動を覚える。

隊長(仮)の腹筋と精神的会話を堪能しているとお姉さんに動きがあった、両手を私の上で交差させ光り出す?

なにが?


お姉さんが。



人って光るの?


頭がなら見たことある。



どういうこと?


知らんがな、、、、、。



良く分らないままに、光は私を包み込む

同時に、微かな痛みと安らぎが身体を包む

雪の中露天風呂に浸かったときの

「アチッアチッアチッ、、、、フゥ、、、、」

って感じだ。

更には未練がましく握り締めていた猫背のスマホ迄もがパキパキと音を立てながら背筋を伸ばしていく。

本気で訳が分かんない、、、、、。







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