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テレパスホン

コソコソと歩みを進める、右だ左だと、分岐の度に少量のデータを送りwi-mcの位置を先生が探る、私はレーダーを見つめ敵の動きに注視する、

既に8時間程歩いているが、敵をやり過ごすため迂回したり、引き返したりと距離は稼げていない。


時計は既に3時だ、十字路の片隅に腰掛けて小休止する、先生に監視をお願いして30分だけ仮眠を取る。




目が覚める、時計を見ると4時半だ


「うぅ~わ ごめん先生超寝過ごした」


[敵性反応に異常有りませんでしたので問題ありません]


ザックから水筒を取り出し水を少し口に含ませる、1リットルの小さな水筒だが水の補充をしておいて良かった。

地図とレーダーを交互に見る、5km近辺に3つほど赤い印があるだけで今は平和だ、


(はぐ)れて10時間ほどだが、随分長い間(はぐ)れているような感じだ。

それも仕方が無い、8時間の移動の間に何度か敵をやり過ごしたが、前後の分岐点を挟まれた時は生きた心地がしなかった、一度そういった経験をすると分岐と分岐の間が非常に長く感じた。

時間的には8時間だが、精神的には3日経ったといわれても疑問に思わない、それほどに神経をすり減らす移動だった。


携帯食の6本入りのカロリーバーのうち一本を取り出す、何日彷徨うことになるかわからない、

水と食料の消費は可能な限り抑える必要があった。


モソモソとカロリーバーを頬張りながら、スマホのアドレス帳を触る、グループ”第一村人”を開き4人の顔写真を眺める、

目頭が少し熱くなるのを感じ取り、グッとこらえる。

タブン今、少しでもネガティブな発想をしたらもう立ち直ることは出来ない、直感的にそう感じた。


未来のことを考える、小姉さんの写真を拡大し、一人話しかける。

この国はどんな所?

街はどんな所?

食事は何時もおいしい心配ないね、

職見つけなきゃいけないな、登山家の仕事は流石にないよね?

住むところも探さないとな、

やっぱお金残しとかないと、

アプリ高すぎだよ、エジメイ草採ってなかったらとっくに詰んでたよね、

それともまだデスワームさんに出会えずあの洞窟を彷徨ってただろうか?



それはそれでありだったなぁ、、、、、





あかん、やっぱり暗くなりそうだ、、、、


拡大を解除する、 スッとアイコンの写真を指でなで電話帳を閉じようとする、


プップップップップップップップッ


、、、、?


プップップップップップップップッ


呼び出しを押してしまったようだ、

「番号も登録していないのにどこに電話かけてんの先生」


クスッと笑みがこぼれる、さりげないボケがにくい演出だ。


プルルルルル  プルルルルル


「もぉええて先生」 マナー良く軽快に突っ込む


『キャッ、やに? ちっまちやんよとも?』


スマホから声が聞こえた


「え?小姉さん?!!」


どういうこと?四角い箱の中から小姉さんの声が聞こえる、


どこだ?

どこに入ってる?


いくら小さい言うても、入れるか???



駄目だ、発想がタイムスリップした江戸時代の人みたいになってる、、、。

『その声トーコちゃん? どこにいるの? 私からは見えないんだけど近くにいるの?』


先生の翻訳が入る。


「小姉、、じゃ無かった ウェルシュさん今一人ですか?どここにいますか?目印はありますか??」

『え?え?え?どういう事トーコちゃん?

頭の中に直接声が聞こえるような気がするんだけど、どういう事?トーコちゃん魔法使えたの?????』



二人とも質問に質問で返してる、話が進まない、、、、、



[トーコ、ウェルッシュ様との交信により位置情報が拾得されました、ナビゲート可能です追跡しますか?]

「さすが先生!」


小姉さんに危険がない限り移動を控えて貰うようお願いし、移動を開始する。


通話は切りたくなかったが、通話のための対価が不明なまま長時間の利用は危険だと先生が言うので一度切ることにした。


ナビを確認する、

近い、6km程だ。


ナビは音声案内に切り替え、レーダーを確認しながら走る、

赤い点が小姉の近くで点滅している、嫌な感じだ。






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