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石像だって怒る

「とろよつ!」


この国の言葉でおはようだ。

もう三日目なんだやからコレくらいね。


今日はいよいよ、ボス戦だ。

心の中ではボスってなんだよ! なんて突っ込みで一杯だけど、


先に誓ったとおり、今は深く考えない。

今はとにかくこの4人に付いていく。


人里に入れれば何か判るかもしれない、変わるかもしれない。


門をくぐる前に隊長に薬草を預かってもらう。

思わず手に入った資産だが、これからの私には簡単には無くすわけにはいけないものだ。


[「昨日今日出会った奴にこんなの預けていいのか?」]と聞かれたが、

隊長が信用できないなら私は何を信じていいのかわからない。

見たいな事を言うと、

[「命に代えてその信用に答えよう」]とやさしく抱擁された。

隊長、、、たらし系の素質まであるなんて、いろいろ詰め込みすぎじゃないですか・・・・・・?




いよいよ門に入る。今更受付の人がいない事に落ち込みはしない。


近づくにつれ、門の巨大さがわかる、見上げる首が痛い。


昨日上った崖がたぶんこの門のノブの辺りだろう、推定50メートルだ。


どうやって開けるのだろう? やっぱり大姉さんと隊長が左右を押して ゴゴゴゴゴゴ、、、、、



とは成らなかったようで、、、、門の隅に勝手口があった、、、。




そんな話を大姉さんに言うと、「あんな扉ここのボスでも開けられないよ」と 爆笑頂いた。

(じゃあ、なんであんねん、、、、、このファンタジーめ、、、、、)



勝手口をくぐる、明かりのない暗闇だ。

ピシャッと水を踏む、足元にはうっすらと水が溜まっているようだ。

少し奥に進む。



勝手口が勝手に閉まる。


ギャグじゃない、ホラーだ、、、。


完全な闇って言うのはどこか自分の存在感すらも奪われる。

重力は感じているのに、上がどこか下がどこかわからなくなる、

コレはだめだ、軽くパニックになれる。


数秒後、背後で明かりが灯る。

だれか、懐中電灯でも、点けたのだろうか、明かりは徐々に強さを増して

私たちの周囲20メートル程を照らす。

凄い光だ、どんなランタン使っているんだろう? 


光源に振り向くと、小姉さん、神々しく超光ってた、、。

全身くまなく光ってた。

でも、直接見てもまぶしいわけではない、

光源の光の強さと照らし出す範囲に少し納得いかないが、そういうものだと諦める。


四人はスタスタと足を進める、ところどころ鍾乳石の様な物が見える、天井の高さは光が届かないのか見えないが、入り口の巨大な門より低いことはないだろう、だってそれじゃぁ、あまりにもあの門が、、、、、、、。



ぴしゃぴしゃと水を踏む4人の足音だけが響く、何事も起こらないまま15分ほど歩いた頃だろうか、



グアァングアァンと、大きな音が鳴り響く、何の音だろう、例えが出ない聞いたことのない音だ。

続いて、パキパキパキと少し控えめな音がする

「ベン、もっつみま?」

隊長がボタンさんに何かを尋ねる

スッと11時の方向に指を刺す。

「かなっまちぬぼ!」

頷く隊長の右手に火が灯る、人魂?を思わせる青白い炎の玉だ。

今度は小姉さんが私を含めた皆に光を分け与えた、

自然発光始める私、

(ついに人類を卒業するときが来たか、、、、、)


少し中二に帰ってみたりする。


光に包まれた体には力が湧き上がってくる。

なんだこの無敵感、、、、


隊長は湧き上がる力を確認するようにニギニギと手を結んで開く、そして人魂をボタンさんが指した方向に投げつけた、すごい遠投力だ、人魂が暗闇に吸い込まれていく、


20秒ほどすると人魂を投げた辺りが明るくなってきた。青白い炎が薄く張った水の上に広がっていく。

かなりの広範囲を青白く照らすが、そこに何があるわけでもなく、私は皆の意図が掴めずに困惑していた。



青白い炎は今度はタテに伸びていく、二本の柱を駆け上がるように燃え広がっていく、

やがて二本の柱は一本に繋がり、、、、、、、、人の形に見える、、、、


全身を青白い炎に包まれて姿を現したそれは、二本の足と胴体と二本の腕と頭。


何かの石像だったのだろうか。頭部に迄回った炎に照らされて天井がうっすらと見える、表の門を基準とするなら。40メートル以上ありそうな巨大な石像だ。

造形としてはそれほど複雑では無さそうでただ、切り出した石を人型にしただけの様に見えるがそれでも、作った人の労力は計り知れない。

きっと宗教的な何かなんだろう。


(そんなの燃やしたらバチ当たりますよ隊長、、、、、。)



ほら、石像様右手を挙げて コラー ってポーズしてるやないですか、、、、


仏像様動けたんですね、でも今回は戸惑わない、だってこれはファンタジーじゃなくて、天罰だ。


そんな、プンプンにお怒りの石像様に向けて皆が走っていく、正確には私と小さいお姉さん以外だ、


先頭はボタンさん、足めっちゃ速い、走った後に土煙の幻が見える。

後に続く大姉さんと比べると倍は速そうだ、100メートル位有りそうに見える距離を5秒程で走っていった。

そのボタンさん目掛けて石像様の天罰パンチ、目にも留まらぬ速さのボタンさんと、戦闘素人の私が見ても早いとはいえない天罰パンチ、、、、


あの巨体でなんて動きしやがる!!

 とか聞いてみたかった、、、。



天罰パンチは当然何もない地面を殴りつける。

「むんつちひめ」   

”注意して” という意味だ、今朝習った。


100メートル以上先で空振りしてる石像様に何の注意が必要なのか?

そんな疑問を考えるまでもなく、答えがわかった。

ズンッッ

という重い音と共に地面が揺れる、亀裂広がる。

一本のひび割れが足元まで来た、その亀裂から地面が裂けて右足と左足が離れていく、

そんな姿が一瞬よぎったので慌てて飛びのいた。


「らわぬ~のっみとちめ~」  


らわぬ  らわぬ  らわぬ  って習ってないよ、、、、?


のっみとちめ、は何やったっけ、、、、えっと、、、


ピロン♪

[コッチオイデです]


おぉ、有難う先生。





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