プロローグ
作者の始めたの作品で処女作です!
文章が拙いところやおかしいところがありますが温かい目で見ていただけるとありがたいです
また不定期更新です。
春先を漂わせる風がかすがに開かれた窓から窓際においてある花を揺らし、部屋の中へ吹き込み消える。
「ふむ、もう春になったんだね。」
ぽつりと一人の少年がつぶやくが、しかし誰からの返事もない。
それもそうだろう。なんせ部屋の中にはただ一人、窓際に寄せてある白いベットの上で本を読んでいた少年しかいないのだから。
しかし、少年はそれを気にするそぶりもなくついさっきまで読んでいた本に再び目線を落とし読み進めていく。
いくばか時間が過ぎ少年がいる部屋の外側から少しずつ足音が聞こえてくる。
足音はどんどん大きくなり部屋の前でぴたりと止み部屋のドアが開かれる。
入ってきたのは右手にカルテらしきものを持った白衣を着た女性、いわゆる看護婦である。
「やぁ、少年くん調子はどうかな?」
砕けた口調で少年に声を掛けながら近づいていく。
「うん。最近はずっと調子がいいよ、体が軽いんだ。」
少年は少し体を動かして元気だよというアピールをしながら看護婦の質問に答える。
看護婦はそんな少年の姿を微笑ましい気持ちで見る。
しばらくそんな光景が続いていくが、看護婦が表情を戻し仕事としての顔で先ほど彼女の上司から伝えられた内容を伝えようと少年を見る。
「それでね、少年伝えたいことがあるんだよ。」
そんな看護婦の変化に少年は先ほどの元気な顔を真剣な顔に戻し看護婦がいうことに耳を傾ける
看護婦は続く内容をできるだけ平凡にそして感情を出さずに続ける。まるで自分の感情を少年に伝わらないようにと。
「この前、少年くん定期検査を受けたでしょ?
それでねその結果が出たんだ・・・
結果はね、少年くん君の体はもう残り僅かな時間しか残されてないの・・・」
告げられた言葉に少年は最初こそ驚いたもののやがて納得する
ああやっぱりか・・・と。
「・・・・もうそこまで進んだんだね。でもなぜだろうお姉さん、僕は不思議と自分の体が死んでいくのに恐怖は感じないんだ。」
どこか達観した少年のつぶやきに看護婦は申し訳なさそうに
「ごめんね少年くん、私たち大人がもっと頑張っていれば君の命を助けることができたかもしれないのに・・・ッ!」
言葉の最後で看護婦はついに自分が押さえていた感情を止めきれず目から涙かこぼれだした。
少年は泣きだした看護婦を驚きながら見つめる。なぜなら看護婦はこれまで少年の前ではいつも笑顔で天真爛漫のような振る舞いをしていたからだ。初めて見る看護婦の姿に少年はああ、この人は本気で僕の心配をしてくれたんだと分かった。
しばらく彼女の好きにさせた後、やがてポケットからハンカチを取り出し涙をふき取る。
看護婦は少年が自分が泣き止むまで待っててくれたことに礼を言いながら少年の部屋から出て行こうとする。
そして出ていく際に見た自分に向って笑顔で手を振っている少年の姿を脳裏に焼き付けながら。
――――三週間後
東京都六本木の原田総合病院の事務室でくつろいでいる二人の医師がいた。
医師たちはそれぞれリラックスしながら最近の状況について語り合っていた
やれ患者のカルテがよかったのだのやれ昨日の夜に緊急搬送された患者は飲食店で食いすぎたため持病が発作して運ばれたのだの・・・
そんな談笑中に突如特別治療室のプレートがかけられたランプが急にアラームと共に光りだした。
それを見た医師たちは慌てて準備をし集中治療室に急いで向かった。
なぜ医師たちがこんなに慌てながら向かったかというとこのアラームは対象の患者の心拍、脳波が停止した時にしかならない仕組みになっている。
つまりこのランプがなった時点で対象となる患者が死亡したことになるのだ。
果たして医師たちが集中治療室についてみたのは、白いベットの上で目を閉じ眠っているように死んだ少年とその隣で少年の手を取り泣きくずれている看護婦の姿だった・・・
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