表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Record  作者: 皐月うさぎ
プロローグ
2/3

遺品整理

先日、祖父が死んだ。心筋梗塞とかいうのを引き起こしてしまったらしい。正直あまり祖父が死んだという実感は沸かない。多分、祖母が亡くなってから1度も来ていなかったというのもあるだろう。祖父のことをあまり覚えていない。それは、悲しいことだと思うし、ひどく寂しいことだとも思った。

まあ、そんなこんなで今日は祖父の遺品整理に来たのだ。さっきも言ったが、祖母は既に亡くなっているから、こんなことをするのも自分くらいしかいない。

母もあまり来たがってはいなかった。その理由が理由なんだが、母と父は駆け落ちしていたらしいのだ。理由は結婚を反対されたからだそうだ。が、実際どうなのかは知らない。なにせ、見栄っ張りの母のことだ。少し大袈裟に話をしていたかもしれない。まあこんな感じの理由で母は祖父から離れていたのだそうだ。遺品整理をしている今でも渋々といった様子をみてあまりやる気ではないのが伝わってくる。

「母さん。嫌なら残りは全部やるよ。他にもやることがあるんでしょ?」

「あら、ごめんなさいね。うん、お願いできる?」

「うん。後はじいちゃんの部屋だけだよね?なら、1人でも出来るって!」

そう言って母は外に出て行った。

「さて、じいちゃんの部屋か」


祖父の部屋の前まで来てふと、思い出す。


『この部屋に入ってはいけない』


そう、祖母に言われたことだった。自分は祖母に懐いていたから祖母のいうことはとにかく聴いていた。

祖母無き今この部屋に入ってもいいのか、少し考えてしまった。

この部屋に何があったのだろう。ゆっくりと戸に手をかけ、少しずつ開けていく。


部屋には、あまり物は置いていなかった。あったものは布団とか、寝室に置いてあるものぐらいだ。

気を張っていて損したような気分になりながら祖父の遺品を片付けていく。中には、祖母との思い出の品らしきものもあった。本当に祖母のことが、好きだったのだろう。ポッと火が灯るように心が温かくなった。

片付けも半ば終わり、残すは押し入れだけとなった。

「あとは、ここだけか。」

予想通り押し入れにもあまり物はなかった。祖父は物を持たない人だったのかもしれない。

そう思いながら押し入れも片付け終わり押し入れの戸を閉めようとした時だ。


ガタリ


押し入れから、箱が落ちてきた。

「片付け忘れかな。」


箱にはメモでこう書いてあった。


『私の生きたことを忘れないでください』と…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ