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プロローグ
もう、10年も前のこと。
中央大陸の西部に位置する大国・カジム王国で、第一王女が姿を消した。
その代わりに残されたのは、父親である国王宛の一通の手紙。
そこに何が書かれていたのかは分からないが、第一王女の消息は完全に途絶えていた。
何度か国王宛には手紙が届いたようだが、今となってはもう確かめる術もない。その国王も3年も前に死去してしまった。
第一王女は病気療養中だと国民には伝えられ、そしていつしかその生死も疑われるようになっていた。
その国で反乱が起こったという。
人と人との刃を交えた戦いとなる前の、静かな反乱が。