第四章:涙の雨
時期は過ぎるのが早く
季節はもう梅雨になっていた。
あの海から俺達は委員会やバイトなどですれ違いが多く 、あまり話さなくなっていた。
でも嵐のようなどしゃ降りの雨の日にそれは起きた・・・−
「・・・嘘だろ。」
俺はその日委員会があって二人に先に帰ってもらっていた。
思ったより早く終わって学校を出て家に帰っていた俺は近所の公園の前を通り過ぎようとしていた。
誰もいないはずの公園には二人の男女が1つの
傘の中で抱き合っていた。
そしてそのままキスしてお互い見つめ合っている
ただのカップルなら見て見ぬフリで通り過ぎるだろう・・・
でもそんな事できるはずもなかった。
「慶・・・?葉月・・・?」
それは俺のよく知っている人物だったから
俺は手に力も出ず傘を落としていた。
初めに気づいたのは葉月だった。
目は見開かれて動揺してるのが見てとれた。
そんな葉月の目線を追うように涼が後ろを振り向いた。
「・・・涼・・。」
口の動きでわかる。
慶は俺の名前を呼んだ。そして、俺の元に近づいてきたけど、俺はとっさに方向を換えて逃げ出していた。
早く立ち去りたかった。
「涼っ!!」
慶が呼び止めたのは知っていた。
でも俺はどうしようもなく混乱していてただ立ち去りたかった。
現実から逃げたかった・・
いつだって三人でいるのが当たり前でこれからもずっとそうだと思ってた君を見つめる目が俺と同じだったあいつ
違ったのは告げた勇気。
嘘だ!
嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ
「嘘だ!!!」
俺は通学路途中にある土手に着いて大きな声で 叫んだ。
雨ですっかり濡れた服も気になる事もなくて、
たださっきの映像が頭の中でぐるぐる回っていた
「信じたくねぇよ・・・。」
俺は泣いていた。
何も考えたくない・・・
もう笑えねぇよ・・・。
土手の所に腰掛けていた俺の周りには誰もいなかった。
雨の世界の中で俺は一人ぼっち・・・
でも今はそれがとても
心地よかったんだ・・・−




