表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

牡丹雪

作者: 森田 マオ

ちらちらと白い牡丹が天から降る。

ああ、天よどうしてか貴方は救わん。

病院の一室に難病に掛り今尚、苦しみを我がまなこに見せてくれる気配がない者よ。どうして、君は気丈なのか。

「何か必要なものは要らないかな」


万が一、君が言葉を発するのなら、私は何でもいたします。


「オニギリを一つ頂けませんか」


ああ、天よどうしてか貴方は救わん。

私はなりふり構わず、君が私のために、死を覚悟して発したその言葉。 それに必死に応えるために、私は心地よい風のように外に出た。

白い牡丹が降りしきる天への贈り物に今は感涙の情を忘れて、私は惨めにも手を真っ赤にさせながら綺麗な白を掬ったのだ。

「はい。すまないが、二つの事が邪魔をし、これになってしまっんだ」

「すみません。そして、ありがとうございます」

君は一滴の雪溶け水を零し、無理をした。

口の周りをチアノーゼ色に染めあげながら、無理をしたのだ。

こんな私の為だけに。なんとも健気な君よ。


ああ、天よどうしてか貴方は救わん。


君の隣に申し訳なく私が置いた不格好なオニギリは、徐々に徐々に溶けて地面ベッドに潜るのだった。


――――― ああ、天よどうしてか貴方はドチラモ救わん。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ