38.エピローグ
私が囮になった事で、教団は本当に壊滅した。
まだ少人数の残党は残っているだろうが、これ以上は何も出来ないだろう。
真実を知った子供たちには泣かれてしまった。これは全面的に私が悪い。シェイリーンが王子に、どうして止めなかったのかと殴りかかって大騒ぎになった。王子は完全にとばっちりだ。
葬送師の先輩方にも叱られた。そしてなぜ若い子の無謀をとめなかったのかと、王子も叱られていた。本当にごめんヒューバート王子。
慌てる私にレズリーがいい笑顔で言った。
「お姉ちゃんは一度、自分がどれだけ大事にされているのか思い知った方がいいと思ってたよ!」
私は弟分にそう言われて、どう受け止めたらいいのか分からなかったが、嫌な気分ではなかった。
六翼には改めて一人一人にお説教された。どうして決行前は何も言わなかったのかと言ったら、だって止めてもやるだろうと返ってきた。完全に性格が読まれている。だから全て終わった今、お説教されているらしい。何かがおかしい気がする。
この騒動以来、私はみんなの言葉をそのまま受け止められるようになった気がする。以前はきっと、どこか曲げて解釈してしまっていた。
私はトラウマ持ちの欠陥品で、みんなに迷惑をかけるだけの存在だとどこかで常に思っていたのだ。
でもきっと違った。私は自分の価値を自分で落してしまっていただけなのだ。そっちの方が楽だったから。
この世界で葬送師になって、色んな感情に触れて、やっと自分で自分を受け入れられるようになった。
私が大切に思っている分、周りの皆も私を大切に思ってくれているんだって信じられるようになった。
私はこれからもこの世界で葬送師として生きてゆく。
今度は皆に接待されるんじゃなくて、ちゃんと仲間として一緒に頑張ろう。
完結まで読んでくださってありがとうございます。




