表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恐怖耐性ゼロの転生葬送師は美形達に甘やかされる※接待です。  作者: はにか えむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/38

33.遊び場

 襲撃から一週間ほどたった日、私は外に出られない子供達のために神殿の庭に遊具を作っていた。

 遊具作りは前世の番組で推しのタツミくんがやっていた。彼の趣味はDIYである。児童養護施設をリノベーションする企画で、子供たちのために簡単な遊具を作っていたのだ。あの企画は良かった。感動だった。タツミくんの子供たちを思う優しさに涙が止まらなかった。

 

 今日作るのはブランコとちょっとしたジャングルジムである。私一人ではちょっと大変だったので六翼にも手伝ってもらっている。

 レズリーが何をするにも魔法を使うので、早く進んだ。魔法の天才って本当だったんだな。

 

 木造の遊具達が出来上がると子供たちを呼ぶ。最後の仕上げの塗装は一緒にやろうと思ったのだ。子供たちは大喜びで色を塗ってはしゃいでいた。

 リオくんとウォーレンとジャレット団長はなにやらハマったしまったらしく、別の遊具も作り始めている。私が雑に設計図を書いた平均台モドキと滑り台だ。

 クレイグさんとライナスさんは微笑ましげに、慎重に色を塗っている子供たちを眺めている。レズリーは色塗りに参加していたが、魔法がないと不器用らしく苦戦していた。

 ニールくんたちの六翼は楽しそうな子供たちにホッとしたようだ。最近どこに行っても空気が張りつめていたから、気にしていたのだろうな。

 

 私は彼らの分も葬送を引き受けることになって大変だが、空き時間はできるだけ子供たちと一緒にいるようにしていた。警備のために今は三人揃っていることが多く、そこに混ざっている。

 どうやら他の葬送師たちも気にかけているようで、よく会うようになった。今は葬送師同士も子供達の精神衛生のために交流を禁止されていない。

 

 お菓子を食べながらペンキをを乾かしている間に他の葬送師たちも集まってきた。未だに新しい遊具を作っている三人を見て、どんだけ作る気だとジャックさんが呆れている。スザンナさんがあれはどうやって遊ぶのかと楽しそうだ。彼らにもお茶を入れてお菓子を勧めると、交流会のようになってしまった。

 

 ちなみにマーニさんは制作の方に興味を持ったらしく、さっきからジャレット団長たちのところにいる。どんどん完成しているから少し休んだらあれにも色を塗らなきゃな。

 

「アーリンはよくこんな遊具を思いつくわね」

 スザンナさんが不思議そうにしていたので、前世の記憶があるからだと言う。みんな私の前世に興味があるらしく色々聞かれた。さすがに異世界からこちらに来たことは言えなかったのだが、娯楽に関して色々な施設があったのだと言うと、子供たちの目がキラキラ輝いていた。出来るなら遊園地に連れて行ってあげるのにな。残念ながらこちらにはそんな施設は無い。

 

 雑談していると、ほかの遊具も完成したらしい。また色塗り隊が出動して仕上げをする。レズリーはペンキが早く乾くように、ずっと魔法で乾かしてくれていた。早く遊びたいもんね。

 明日にはペンキも乾いて遊べるようになるだろう。

 

 ウォーレンとレオくん、そして団長はやりきった顔をしていた。相当楽しかったのだろう。

「あの設計図でよくこんな立派なの作れましたね」

「イメージがわかれば後は工夫するだけだからな、楽しかったよ」

 私はウォーレンの頭を撫でてやる、ドヤ顔が可愛いと感じるのは惚れた弱みだろうか。

 

「ちょっと、これ何?」

 なにか連絡事項があったのか、やってきた王子が唖然としている。

 子供たちが色を塗った遊具は実にカラフルで、庭は元の様子からかなり変わってしまっていた。

「僕、庭で子供たちが遊べるように整備するとしか聞いてないんだけど、なんでこんなに謎の建造物が出来ているのかな?」

「だから遊べるように遊具を作って整備したんですよ?」

 私が言うと王子が、そういうことかーと頭を抱えた。私嘘は吐いてません。

「まあいいか、ここは居住区だしね。それにしてもよくこんなに作れたね」

「男手が多かったので、子供たちは色塗り頑張ったんですよ!」

 私が子供たちの頑張りを報告すると、王子はみんなを褒めながら撫で始めた。

 

「さて、葬送師も全員揃っているようだし、進捗を発表するよ。みんなちゃんと聞いてね」

 私たちは背筋を伸ばして王子の言葉を待った。

 今度はいい知らせと悪い知らせ、どちらだろうか。

別連載始めました。「転生悪役令嬢は同人活動がしたい」です。

こちらの作品は最後まで書ききっているので、興味のある方は見てみてくださいね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ