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恐怖耐性ゼロの転生葬送師は美形達に甘やかされる※接待です。  作者: はにか えむ


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25.その後の顛末

 次の日の朝、昨日はニールくんが目覚めるのを待っていて寝不足だった。未だニールくん達は起きない。

 昨日ヒューバート王子が慌ただしく状況確認に来て、そのまま現場を指揮しに行ってしまったから、私が子供たちのそばにいても誰も咎めなかった。六翼も私に付き合ってくれている。

 いつ目が覚めるか分からないので、交代で休みを取っていた。クレイグさんだけはずっと起きていたようだが、きっとニールくんが起きるまでは眠れないのだろう。

 リオくんは魔力が回復する度に直接治癒魔法をかけていた。お陰で外傷はだいぶマシになっている。

 レズリーが治癒の結界を張ってくれたのでそこで休ませていた。

 

 私が目を覚まして数分、すぐそばで眠っていたウォーレンが目を覚ました。

 彼は私を抱き寄せると顔色を確認している。もう少し寝た方がいいと言われたが、眠る気になれなかった。

 ため息をついたウォーレンが、子供たちを見ていたレズリーに交代すると申し出ると、レズリーは素直に従った。何かあった時のために魔力を回復したいのだろう。

 クレイグさんは頑として交代しようとしなかった。


 ヒューバート王子と共に現場に戻ったジャレット団長とダイヤモンド騎士団の団員は未だ戻らない。

 見つけた教団の実験施設は他の葬送師が葬送に向かっているということだ。まだ新しい施設であったから、亡者の数も多くないようだ。

 

 

 

 一番最初に目を覚ましたのは七歳くらいの女の子だった。起きるなり悲鳴をあげて震えていたので、私が話しかけて色々な話を聞いた。

 お母さんとお父さんに会いたいと言うので、家の場所を聞いて騎士団の人に呼びに行ってもらうことになった。

 どうやらニールくんと同じ日に攫われたそうだからきっと今頃とても心配しているだろう。

 

 

 

 次にようやくニールくんが目を覚ました。クレイグさんは泣きながらニールくんを抱きしめていた。ニールくんは安心したのか、クレイグさんと一緒に泣いていた。私も涙が止まらなかった。

 ウォーレンさんが孤児院に連絡鳥を飛ばしてくれていたようで、みんなも一安心出来るだろう。

 

 ニールくんは落ち着いたら、また眠ってしまった。

 最後の子もようやく目を覚まして、家の場所を聞くことが出来た。

 急いで騎士を向かわせる。

 

 これで私はようやく安心できた。ずっと眠れずにいたクレイグさんを無理やり寝かせて、また眠ってしまった子供たちを見る。

 この子達は葬送師として神殿に保護されて生きることになるだろう。私が葬送師になったのは十五歳で、それでも寂しかった。

 この子達の今後を思うと胸が痛い。

 

 

 

 その日の午後になって、ヒューバート王子が戻ってきた。戻ってくるなり呼び出される。

「まずはお手柄だったと褒めようか。君たちのお陰で実験施設を潰すことができたし、教団の人間の一部を捕まえることが出来た。子供たちも救出できたし、こんなに嬉しいことは無い」

 あの後施設から逃げた研究者の一部は捕まえることが出来たらしい。研究者を捕まえるのは初めてだそうだ。それは僥倖だ。

 

「子供たちのことは……今はまだどうなるか分からない。保護することは決まっているが、馬鹿な連中もいてね。三人の新しい若い葬送師の誕生を祝う準備を進めようとしていたよ。アーリンの時とは状況が違うのにね」

 みんな顔を顰めている。そもそも葬送師の誕生は祝うものでは無い。葬送師の殆どは九死に一生を得たばかりの人間だからだ。私の時は例外だ。本来は叙爵ももっと質素に行われる。公に祝うなどとんでもない話だ。

 

「今は捕まえた研究者達を審問している。分かっているのは背後に貴族か膨大な資金を持った資産家が居るということ、そして研究者の数はそう多くはないということ、それくらいかな」

 王子は大きなため息を吐くと紅茶を飲んだ。

「あ、そうだ、研究所の葬送は済んだから安心してね。後は……子供たちには親御さんも一緒に泊まれる部屋を用意したから。暫くはここにいるよ。アーリンはたまに様子を見てやってくれるかな。本当なら葬送師同士が会うのは良くないんだけど、特別ね」

 心配だからそれはとても嬉しい。王子にお礼を言うと、お菓子を食べながら笑って返してくれた。

「まったく、葬送だけでも忙しいのに、教団が絡むと眠れやしない。いい加減諦めてほしいものだよ」

 一通り愚痴をこぼして王子は去っていった。大変だろうけど頑張って欲しい。


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