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恐怖耐性ゼロの転生葬送師は美形達に甘やかされる※接待です。  作者: はにか えむ


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20/38

20.初デート

 先日の葬送失敗から私が落ち込んでいたせいか、ヒューバート王子がまた舞台のチケットをくれた。そういえば最近全然行けていない。

 最近は眠っていたり、仕事していたりと行く暇がなかったのだ。

 


 

 もう演目は新しいものに変わっている。何故だろう。前ほど興味を惹かれない。何だか行くのが怖いようなそんな気持ちになった。

 私がチケットを眺めているとウォーレンが、一緒に行こうと言ってくれた。

「アーリンはどの役者が好きなの?」

 パンフレットを見ながらウォーレンが聞いてくる。

「基本みんな好きなんですけど、イチオシはクリスティン様です。やっぱり女性役のホープですから……」

 話しているとだんだん饒舌になってゆく、また彼らの舞台が見たくなる。ウォーレンは相槌を打ちながら私の話を聞いてくれる。彼にはまた感謝しなければならない。落ち込んだ私に彼らを思い出させてくれたのだから。私はいつも彼らに勇気を貰っていたのに、どうしてそれを忘れていたのだろう。

 

 私はまた差し入れののど飴を作って、ボードも作った。ライナスさんが手伝ってくれたのでちょっと歪な出来になっている。

 

 いざ劇場に行かんという時、私服のウォーレンがやってきた。

 なぜに私服?と思っていると、彼は笑って言った。

「俺はデートのつもりだったんだけどな」

 私は固まってしまった。……デート!?なんの心構えもしてないんだけど!?

「とは言っても、護衛付きだけど」

 後ろには騎士服のレズリーとクレイグさんがいた。護衛付きのデートとか恥ずかしい。

 

「お姉ちゃんも兄さんも僕らのことは空気だと思って楽しみなよ」

「そうですね、少し離れて歩くことにしますから、楽しんでください」

 そんな目立つ空気があるかと突っ込みたかったが、みんなの気遣いが嬉しくもあった。きっと元気のなかった私を心配してくれていたのだろう。

 開き直って思い切り初デートを楽しむことにしよう。

 

 

 

 初デートといっても劇場では通常営業だ。ウォーレンは劇団の応援をすることを許してくれた。理解のある彼氏最高である。

 劇場に着くと、馴染みのスタッフさんたちからかなり心配されていた。何ヶ月も来なかったからな、心配かけて申し訳ない。

 

 劇が始まると私は没頭してしまった。今回の劇はシンデレラストーリーだ。ボロボロの女の子が人とのめぐり逢いで段々幸せを掴んでゆく感動ストーリーである。最後の方はもう号泣していた。

 劇が終わると、なんと楽屋に招待された。役者さんたちみんなに会えて興奮していたが、話してみるとみんなに心配されていたことが分かった。それがとても嬉しかった。今度はこまめに来るようにしよう。

 

 

 

 劇場を後にするともうすぐ日が暮れるという時間だった。ウォーレンと並んで街を歩く。そういえばデートだったと思い出して顔が熱くなる。ウォーレンが連れてきてくれたのは、小さな個室のレストランだった。二人で劇の感想を話し合いながら食事をとった。つい気分が高揚してお酒を飲みすぎてしまった。

 

 

 

 酔い醒ましにウォーレンは景色の良い丘に連れてきてくれた。王都の明かりと満天の星々が綺麗で感動した。十五年も王都で暮らしているのにこんな景色知らなかった。ウォーレンさんは昔弟と見つけた秘密の場所だと笑っていた。そんな大切な場所に私を連れてきてくれたことがどうしようもなく嬉しい。

 少し寒いなと思っていたら上着をかけてくれた。ウォーレンが寒いだろうと上着を返そうとすると、背中から抱え込まれた。

「こうしてたら寒くない」

 恥ずかしくて倒れそうだ。でも、背中から伝わるウォーレンの熱が暖かくて、何も言えなかった。

 二人でゆっくりと景色を堪能する。

 

 暗闇が怖い私を気遣ってくれたのだろう。本格的に暗くなる前に神殿に戻った。

 途中からレズリーとクレイグさんのことを忘れていたが、二人とも許してくれた。レズリーに至っては隠密ごっこを楽しんでいたらしい。道理で途中から姿が見えないと思った。クレイグさんもそれに付き合って楽しんでいたそうだ。本当に面倒見がいい人だな。

 

 

 

 今日はみんなの優しさを知ることが出来てよかったと思う。葬送師の仕事も頑張ろう。今度は倒れてしまわないように、少しづつ慣れていこう。いつかこのトラウマを克服できるように。

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