表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恐怖耐性ゼロの転生葬送師は美形達に甘やかされる※接待です。  作者: はにか えむ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/38

12.救い

 今日は邪教団体の実験施設の葬送をする日だ。

 あの後、ジャレット団長に葬送のことを話したらかなり揉めた。しかし、私には何故か死にはしないという確信めいたものがあったのだ。魂が天上と繋がっているせいかもしれない。何とか納得してもらった。

 他の六翼にも大変心配されて、今も飲み物を用意してくれたり肩を揉んでくれたりしている。

 

 ウォーレンさんには、ありがとうと言われて泣かれてしまった。涙を流していても綺麗な人だなと思った。彼の弟さんの苦しみを終わらせようと強く思う。

 

 

 

 実験施設にたどり着くと、かなり厳重に結界で囲まれていた。

 亡者の声が耳につく。ここがこの国で最も亡者の多い場所らしい。

 施設内の窓から無数の亡者が見えた。途端呼吸が苦しくなる。体が震えて、亡者の声に引きずられそうになる。

 

 ウォーレンさんがまた後ろから耳を塞いでくれた。少し落ち着く。

 私が落ち着いたことに気づいた彼が耳から手を離し、私の手を取った。

 

「どうかアレンを救ってやってくれ」

 彼は祈るように言った。

 

 共に結界の中に入ると、そこはこの世の地獄そのものだった。私はまた体が震え出した。

 それに気づいたウォーレンさんは後ろから優しく私を抱きしめる。

「大丈夫だ、ちゃんと守るから」

 耳元で囁かれて、勇気が出た。私は大きく、深く息を吸う。

 

「迷える亡者のため、天上の扉を開け」

 

 すると前回の比ではないほどの暴風が吹き荒れた。前が全く見えない。ウォーレンさんが支えてくれていなかったら、飛ばされていたかもしれない。

 風が、光の扉に吸い込まれてゆく。同時に私の中からも何かが急速に失われてゆく感覚があった。まだ大丈夫。もう少しだけ。


 亡霊が扉に飲み込まれてゆく。扉が閉まる最後の瞬間、彼によく似た子供が笑っていたように見えた。

 

「ありがとう、アーリン」

 意識を失う瞬間、彼の声を聞いた気がした。

 

 

 

 次に目が覚めた時には、あれから三ヶ月も経っていた。

 目覚めるやいなやみんな部屋に集まってきて、私の無事を喜んでくれた。ジャレット団長など心配しすぎて痩せ細っていた。

 レズリーは号泣していたし、リオくんは私に全力の治癒魔法をかけるし、収拾がつかなくて大変だった。

 


 

 そんな中、ウォーレンさんが歩み寄ってくる。

「アーリン、本当にありがとう。これでアレンは救われた」

 彼はまた泣きそうな顔をしていた。

「君には感謝してもし足りない。今後俺の全てをかけて、この恩を返そうと思う」

 彼は私の手を取ると、その指先に口付けた。

 私は突然の事態に真っ赤になってしまう。

 

 彼は私の手を取ったままベッドの脇に跪いて、こう言った。

「私ウォーレン・ウッドはアーリン・ダイヤモンドを唯一の姫とし、生涯守り抜くことをこの剣にかけて誓います」

 騎士の誓いと言うやつだろうかと思い、頷いて返事をする。

「ありがとうございます」


 すると周りがザワついた。

「アーリンお姉ちゃん!今の、聖騎士のプロポーズだよ!」

 レズリーが叫ぶ。

 私は何を言っているのか分からなかった。

 ウォーレンさんを見ると、彼は晴れやかに笑って言った。


 「結婚式はいつにする?」

 

 それを聞いた瞬間、私の頭は許容量を超え意識がフェードアウトした。

 誰か状況を説明して欲しい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ