星を冷ます雨と生命の終わり
その星は熱い。
今までは熱くなかったけれど、何かがあって熱くなってしまった。
だからどうにかして、冷まさなければならない。
けれど、これといった原因は分からない。
おそらく、とっても危ない武器で、ごうごういろんなところを燃やしてしまったから、とその星に生きる者達は結論付けた。
そんな熱は、長い間ずっと冷めなくなってしまっている。
星はもう、大変だった。
このままでは病気になってしまうかもしれない。
星が弱ると、あらゆる生命が住めなくなってしまう。
だから、何とかしなければならなかった。
それを知った雨の神様は、熱を冷ますために、ずっと地上に雨を降らす事にした。
水がなくなるまでずっと、その星の熱を冷まし続ける事にした。
雨がなくなったら、蒸発した水が上に登ってくるのを待って、また雨を降らし続けた。
それを何十回、何百回、何千回くりかえした。
雨の神様が必死に看病したからか、やがて星は元気を取り戻す事ができた。
ありがとう。
そう言って。
雨の神様も。
どういたしまして。
そう言った。
めでたし、めでたし。
でも。
だけども。
星が熱くなっている間はとても長くて、星の上で生きている者達は結局は、滅んでしまったのだった。
けれど。
だけれども。
その星で生きていた者達は、熱の時代の終わりを見ることはできた。
自分達が死んだとしても、星が無事なら、またきっと命は生まれてくるから。
命の神様が命をつくってくださるから。
代わりの命ですぐにあふれるから。
歴史の続きは綴られるから。
だから生きられなかった生命たちは、安らかな思いで滅んでいった。