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読者への挑戦状

「……以上が古城連続殺人事件の概要です。聡明な諸君は既に事件の全容を理解していると思いますが、あたしも諸君を審査せねばなりません。そう、テストです。テストの問題は全三問です。騎士ジールの言った通り、残った謎の解明を問題としましょう。すなわち、


『密室はどのような方法で作り出され、それをどう証明するのか? 四十点』


『消えた凶器は何で、それをどう証明するのか? 四十点』


『異端審問官は誰か? 何故そう考えたのか? 二十点』


 この三点をお考えください。今までの話をよく聞いていれば、解ける謎の筈です。そうですね……。他の多くのテスト同様、六十点を合格点としましょうか。赤点とならないよう、頑張ってください。……ああ、最後に、諸君が混乱を招かないように幾つかのヒントを出しましょう。ジールが使ったシャルウィルのメモと、その他の注意点を配布します。よく読んで、考えてください」


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 ・死亡推定時刻

 ダンカン班長、ケイト副班長、いずれも午後六時から七時の間


 ・死因

 ダンカン班長は刺殺。

 ケイト副班長は斬殺。


 ・アリバイの有無

 イヴァン班長夫妻はアリバイがありそう。ただし、夫婦が共謀している場合は不鮮明。

 ユルゲン医師、エリス夫人、ハンナ嬢はアリバイ無し。


 ・ダンカン班長を恨んでいた人間

 ユルゲン医師、ハンナ嬢? イヴァン班長


 ・ケイト副班長を恨んでいた人間

 カール副班長?

 どうやらケイト副班長には不特定多数のボーイフレンドがいたらしい。


 ・犯人の姿について

 容姿は男?

『異端審問官』の面を付けて行動していた。


 ・ケイト副班長の鎧について

 ある程度熟練した『身体強化魔法』が使える人間ならば破壊し殺害できる。

 該当者はダンカン班長、イヴァン班長、フィンレー、アレクシア様。


 ・ダンカン班長とケイト副班長の共通点

 ケイト副班長の鎧が実用性に乏しい事を知っている。

 第三騎士団の資金を横抜きしていた?


 ・ダンカン班長の殺人について

 発見場所は本人の部屋の浴室。

 発見時はエリス夫人の悲鳴で東側に割り振られた人間の全員が集まった。

 イヴァン班長の連絡で、ジールを除く全員がダンカン班長の部屋に集合した。

 既に扉の鍵は開けられており、密室ではなかった。

 部屋の中は荒らされていなかった。

 ダンカン班長は下着一枚で殺されていた。

 傷は首筋と心臓の二つ。

 首も心臓も背中側から刺されていた。


 ――気配を消す事の出来る人物、あるいはダンカン班長と親しい人間の犯行?


 凶器は背中に残された短剣と思われる。

 短剣は一般的な物で、街の雑貨屋等でごく普通に取引されている物だった。

 犯行声明として、異端審問官から羊皮紙が残されていた。


『その『強欲』なる男は確かに断罪した。我が審問にかかる人間は未だ潰えず。異端審問官』


 ・ケイト副班長の殺人について

 発見場所は本人の自室。

 発見時はジールを除く全員が行動を共にしていた。

 部屋の入り口には鍵がかけられていて、その鍵はケイト副班長の死体の傍らにあった。


 ――部屋に入る為に扉を抉じ開けた。


 ――『転移魔法』の痕跡はなく、扉から出入りしている物と思われる。


 ――部屋は元々幽閉部屋で、鉄格子から中の様子を伺う事ができた。


 ――鉄格子の間から鍵を中に投げ入れる事は不可能。


 部屋中に無数の傷が付けられていた。


 ――どうやら偽装のようだ。何のために?


 ケイト副班長の死体は傷だらけで頭部は原型を留めていなかった。


 ――装備品から死体がケイト副班長である事はまず間違いないようだ。


 ――直接の死因は前側から斬りつけられた事。凶器はまだ見つかっていない。


 死体の左手には死体を傷だらけにした物と思われる『異端者のフォーク』が刺さっていた。

 ダンカン班長の時と同じく、犯行声明として異端審問官から羊皮紙が残されていた。


『その『色欲』に狂った女は確かに断罪した。我が審問はこれで果たされり。異端審問官』



 以下に推理をする際の前提条件を示します。


 ・犯人は告発する場に現れている人物です。


 ・この話において、犯人以外は意図的に嘘をついていません。


 ・この話で使用されている魔法あるいは魔術には、描写や言及のないものは含まれません。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


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