開花9
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
突如響き渡るアモンの悲鳴
「アモン!」
すぐにアーキアが入るが、その後ろ姿が突然消え
「嘘だろ、なんだよ、なんでお前が!」
アーキアの声が響く
声は聞こえるが、姿が見えなくなってしまった
そしてすぐにその声も聞こえなくなる
「どうやら試練ってのが始まったみたいだねぇ。それも、一人一人に与えられ、たった一人でクリアしなきゃならない。これはそういうタイプの試練だと思うよ」
エーテは冷静に分析する
その分析は間違っておらず、次にエーテとりえが同時に入っても同じように別々の場所へと飛ばされた
残るレノンナもゆっくりと、恐る恐る目をつぶりながら入った
そして目を開けると、そこには故郷の光景が振りがっていた
「え?え? ここって、私の世界・・・? それにここは、この辺り一面に広がる畑に、果樹園。間違いない。あの時、全部無くなった。燃えた。ああ、懐かしい。教会、神父様がすごく優しくて、よく行ってたっけ。あそこはターナーさんの家だわ。私を助けて、魔物に・・・。それに、それに、あそこは、幼馴染のレダの家だわ。あの頃子供は私とレダだけだった。将来結婚しようって、彼は言ってくれた。でも、みんなみんな、あの魔物襲撃事件で」
かつてのトラウマを思い出す
レノンナは十二歳のころ、両親と共にこの村から逃げた
村が魔物の群れにおそわれ、壊滅したからだ
その際村人のほとんどは死んでしまった
幼馴染や親しかった隣人も、全てが
「あれは・・・」
目に映ったのは一人の少年
それは、大好きだった幼馴染のレダこと、レダルド
その彼がこっちに向かって手を振りながらかけてきている
「ああ、レダ!」
気が付くと、自らもあの頃の姿になっていた
そしてレダと抱き合う
「レダ! レダ! 会いたかった」
「僕もだよレノンナ!」
何が起こっているのかは分からないが、レノンナは幸せだった




