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開花4

 実はプリシラ以外にもエーテたちもこの世界に残っていた

 プリシラの急成長に驚くその場にいた者達

 特に解析の能力を持っているエーテは目を見開いた

 プリシラの力は明らかに神の領域を超えている

 これがなんなのかエーテは知らない

「プリシラ!」

 母であるメシアが声をかけると、光っていたプリシラが光りから姿を現す

 小さな少女だった彼女の体は、リディエラと同じくらいの十七歳ほどの見た目に成長し、その力は解析や探知ができない者でも恐れるほどの強さやすごみがあった

「お母さんたちは下がってて!」

 そう叫んだとたん最後の結界が破壊され、アイトラスとワフルカの壁も崩された

 そこにいるのは黒より黒い悪意に染まり切った、まるでバーサーカーのようにただ殺すことしか考えていないような少年

 彼はグチャァと口を開いて笑い、プリシラに襲い掛かった

「はっ!」

 結界や壁をあっさりと崩した全てを砕く攻撃

 それを素手で止めてしまうプリシラ

 なんとその攻撃を同じ性質の攻撃を創造し、ぶつけて相殺したのだ

「グルルル」

 砕けなかったプリシラに警戒したのか、少年は低く唸って後ろに下がる

 そして今度は真っ黒な悪意をさらに手の中に込めて再び攻撃を繰り出す

 この攻撃は世界そのものを狙って放たれた為、範囲がとんでもなく広い

 だがそれすらプリシラは防いでみせた

 砕き壊す悪意の塊に癒し治す善意の塊をぶつけたのだ

「もうあなたの攻撃は何も届きません。おとなしくその力を捨てなさい」

「く、ぐらあああ! ごろず!! ごろぉおおおおず!!」

 聞く耳を持たず、少年が咆哮した

 耳をつんざくような衝撃に後ろにいたメシアやエーテたちは耳を抑える

 プリシラがその方向の衝撃をとっさに打ち消したため、音だけとなったが、それでも少しダメージが残るような攻撃

 首を横に振るプリシラ

「すぐにその悪意から解放してあげます」

 体を覆いつくす巨大な悪意

 もはや少年には制御できず、悪意に引っ張られる形で動いていた

 その少年に手を翳すと、その手から巨大な善の力を創造し、少年を包み込んだ

「そう、あなたはそういう人なのね。罪すら罪とも思えない心。悲しい。ならばあなたの魂を清めましょう」

 なんとプリシラは少年を新たに創造しなおし始めた

 罪を思えないならば、人を思える人物に

 記憶を消し、新しい人間として魂ごと創造したのだ

 そして、悪意が全て善意へと創造しなおされた少年は、ドサリとその場に倒れた

 もはや何の力も持たず、ただの少年になった

 その少年にさらに新しい力を創造して与え、抱き上げる

「う、うう、あれ、ここは? 僕は、あれ? 何も、分からない」

「あなたは今生まれたばかりですから当然です。名前は、そうですね。再誕・・・、リバスと名付けましょう」

「リバス? それが僕の名前?」

 リバスと名付けられた少年はメシアに預けられる

「お母さん、この子をよろしくお願いします」

「ええ、プリシラ、すごいわ貴方!」

 新たな女神、空想の女神から創造の女神と進化したプリシラを誇らしく思うメシアだった

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