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悪意を植え付けられた者達9

 ブラックが狙うは異放の力を持ったルニア

 現在彼らの行方は分からない

 ブラックは探知向きの力を持っていないため、ウルの探知が使えるものを何人か奴隷のように連れていた

「我の役に立てるのだ、光栄に思え」

 ブラックが探知の道具として扱うのは、ウルに囚われた探知能力者達

 彼らはみなプロフェッサーの手によって逆らえないよう様々な処置を施されていた

 ある者は脳をいじられ、ある者は爆弾を埋め込まれ、またある者は人質を取られている

「早く見つけろ。我は気が短いのだ」

 もともと領民に慕われていた貴族のブラックだったが、今はもうその領民も自分の手で殺した

 偽る必要がなくなったため、素の自分が出ていた

「休むな」

 連続で探知能力を使っていたためか、何人かが倒れる

 それを彼の影のようなものが覆った

 すると倒れた者達の首が勝手に閉まり、苦しみもがく

 中には魔力切れで動けなくなっても探知を使わされたせいで死ぬものまで出てきた

 だが彼に取ってただ道具が壊れた程度の感情しか抱かない

 壊れたら補充すればいい。なにせウルにはそう言った者がたくさんいるのだから

「まだ見つからぬのか」

「も、申し訳、ありま、せん」

 報告に来た奴隷がまた一人、そう言い残して倒れこと切れた

「ふん、汚らしいな」

 転がった死体を蹴り上げて影に放り込む

 すると死体はまるでブラックホールに飲み込まれたかのように塵となって消えた

 ブラックの能力は星ですら飲み込む影

 これは際限なく何もかも喰らいつくすある意味生き物のような能力だ

 もともと抑えられていた力だったが、アウルの悪意を体に移植されてからは歯止めが効かなくなってきている

 今はまだ意識的に抑え込めてはいるが、このままいけば自分もこのかげに飲み込まれると分かっていた

 だがブラックはそれでいいと考える

 むしろ自分とこの影が一つになることで得られる力がどれほどのものなのか知りたいと思った

「っち、進まん、遅々として進んでおらん!」

 次から次へと死んでいく奴隷たち

 その度にウルから補充要員として新しい奴隷が送られてくる

 そしてその中には・・・

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