表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

858/1023

芽吹き15

(どうにかしなくちゃ、皆何か幻覚を見てる。エーテさんも、アモンさんも、アーキアさんも、みんな、皆が、何かに襲われている。突然みんな動かなくなって、白目をむいて痙攣している。私だけ、なんで無事なの?!)

 りえは震え、ただ佇んでいた

 何が起こっているのかは全く分からないが、全員がすでに戦闘できるような状態ではない

 自分だけがなぜかその攻撃を回避できている

 いや、もしかしたら自分だけがかかっているのかもしれないが、りえはともかく冷静になろうと呼吸を整える

 バードから変化した化け物はその場から動いていない

 りえに何かをしてくる気配はなかった

「これなら」

 ともかく何か精神的な攻撃をされているみんなを目覚めさせなければと思い、近くにいたアモンの手を掴み、呼びかけてみる

「アモンさん! しっかりしてください!」

 手をゆすってみるが、何の反応もない

 他の仲間も天女たちも同様だった

 ただ幾人かの天女は既にこと切れており、事態は一刻を争うことは理解できた

「どうにか、しなくちゃ、私が、なんとかしなくちゃ」

 泣きながらもりえは意思を強く持ち、自分のできることをとにかくやってみた

 その間もまた天女が数人死んでいく

 りえはともかく自分の力をフルに発揮して、精神攻撃をなんとか防ごうとしたが無駄だった

「ああ、私に力がないから、私じゃみんなを助けられない。みんな私を助けてくれたのに・・・」

 りえはそれでもあきらめない

 自分にできることを最大限に、そして限界を超えて

 力の使い過ぎで頭痛がし、ふらふらで立っていられないほどの疲労感が襲ってくるが、それでも彼女は皆を助けるために力を使い続けた

「ハァハァ、お願い皆、元に、戻って!」

 そしてりえの中に何かが芽生えた

 りえには理解できた

 力が意思を持っているかのように精神攻撃を受けている者達の間を吹き抜ける

「これは・・・」

 りえはできると思った

 そして手を翳し、そこから力が溢れ出る

 バーンと音が響き、力が全員に突き抜けるようにして使われた

 すると彼らは気絶したようにその場にバタバタと倒れる

「ハァハァ、やった、の?」

 精神攻撃は解かれたらしく、それに気づいた化け物がりえの方へ向いた

 恐ろしい形相に少したじろいだが、りえは心を強く持って見返す

 手と触手を伸ばしてくる化け物

「もう、だれもやらせません!」

 りえは手を翳し、化け物に向けて力を放った

 またバーンと音がし、化け物に命中

 化け物は一瞬目を見開いたかと思うとその場に膝をついた

「まだまだ!」

 なんども力を放つ

 それにより化け物の姿は・・・

「バード!」

 どうやらエーテが目を覚ましたようだ

 化け物の姿は元のバードの姿に戻っている

「あれ? ここは? 僕は一体・・・」

 そこには奇跡が起きていた

「バード! 私が分かる?」

「君は、エーテリア・・・。エーテリアなのか?」

「ああそうだよバード。私よ。エーテリア、あなたの、婚約者」

 涙を流しバードを抱きしめるエーテ

 バードは何が何やら分からないと言った表情をしていたが、そのままそっとエーテを抱きしめ返した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ