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守り人35

 目を覚ました女性

 混乱しているのか辺りをしきりにキョロキョロと見渡していた

「もう大丈夫っさ?」

「あ、ああ、君のおかげで・・・。しかし私は、罪のない人々をこの手で・・・。やはり死んでお詫びするしか!」

「まぁ待つっさ、あなたが何で暴走していたのか分からないっさ。でも事情があるなら話して欲しいっさ。力になれるかもしれないっさよ」

「私は、ティシア。ヌース王国の騎士だった。これでも騎士団長だ。若くして騎士団長になれたのも、師匠のおかげだったんだ。しかし、ある日のことだ、その師匠が突然私に魔法をかけ、操って、そして・・・。師匠は復讐のためだと言っていた。私に涙を流しながら許せとも・・・。王国は滅んだ。それもそのはずだ。私の力は、一刻を滅ぼすだけの力があったのだから・・・」

「ふむふむ、辛かったっさね。だったらまずその師匠のとこへ行って理由を聞くっさ。そうすればあなたも前に進める?」

「私は・・・。分からない。だが、師匠がなぜあのような凶行に及んだのか、それは知りたい」

「なら行くっさ!」

 ココエエはティシアの手を引っ張り、王国へ歩き出した


 王国へ到着すると、すでに火はくすぶり、燃え尽きた街並みが悲劇を物語っていた

 街の人間の大半は非難したのか、今は人っ子一人いない

「ああ、ああ、我が王、申し訳ございません」

 フラフラと王城跡地へ向かうティシア

 王城は跡形もなく崩れ燃えきり、もはや瓦礫以外何もない

「ああああ、私が! 私が滅ぼした! 私の、せいで、あの優しき王が・・・」

「これ、勝手に殺すでない」

 そこに声をかけるものがいた

「その声は、我が、王?」

「まったく、あなたはすぐに早とちりするのですから、でも、無事でよかったですわ」

「姫! よかった、生きておられて・・・。私は・・・。この責任、わが命を持ってして!」

 首に短剣を突きつけ、貫こうとするのを慌てて止める王族二人

「やめんかバカ者! お主のせいではないのは分かっておる。それに、住人は誰も死んでおらんぞ」

「しかし、私は、幾人もあの槍で貫いて」

「わしの魔法じゃ。ほれ、幻惑じゃよ」

 王が指をパチンと鳴らすと、人間の幻影が出来上がった

「どう見ても操られておったからなお主。幻影でも叩けばそっちにそれてくれるじゃろうとな。思った通りじゃったわい」

 どうやら王は全てを見越し、幻影で操られていたティシアを誘導、人のいない場所へ追いやったようだ

 その後は気を見て彼女を探し、正気に戻させるつもりだったらしい

「まぁなんじゃ、そこの少女、我が騎士を助けてくれて感謝するぞ」

「いいっさいいっさ。でも町が酷い有様っさね」

「こんなもの、いくらでも建て直せばよい。国は民じゃ」

 いい王だ

 ココエエはニコリと微笑んでそう思った

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