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守り人26

 ココエエはアンデッドたちが腐るほどいる(比喩ではなく)街へとやってきた

 ここにいるアンデッドたちはまったく危険性はなく、それぞれがちゃんと理性を持って平和に生活していた

 そしてこの街、この国を治めている者がいた

 リッチプリンセスアリサ

 王女にして数千年を生きる伝説級のリッチ

 その魔力は神にも匹敵すると言われており、強いのはもちろんのこと、優しく美しいらしい

 彼女の見た目はリッチとは思えないほど生気に満ちている

「綺麗な街っさね。もう皆怖くな・・・、やっぱり怖いっさ」

 まわりにいるアンデッドたち

 サダやジョージ達で見慣れたと思ったが、やはりアンデッドらしいおどろおどろしい見た目にココエエは少し震えた

 だが勇気を振り絞って街を歩いていく

 向かっているのは酒場

 だいたいこういう街では酒場に情報が集まることを知っていたココエエ

 フンスと鼻息を荒くして心を振るい建て、酒場の扉を開けた

 聞こえてくる陽気な歌声

 奥でスケルトンたちが楽器を弾き、ゴーストの女性が肌が震えるほど美しい歌声で歌っている

「引き込まれそうな歌っさね」

「お、お嬢ちゃんよくわかってるね。テレサの歌は正に魂を震わせる歌なんだ」

 丁度横で聞き入っていたゾンビの男性がそう説明してくれた

 突然目玉の飛び出した顔を向けてきたのでビクッとなったが、我慢して話を聞いた

 そして歌が終わると盛大な拍手とスタンディングオベーション

 彼女はこの国の歌姫だった

 それなら情報を持っているかもしれないとココエエは歌終わりの彼女に近づいて話を聞いてみることにした

「あの」

「あら可愛いお嬢ちゃん、私のファンかしら?」

 ニコリと微笑むテレサ

 優しい笑顔だ

「すごくきれいな歌だったっさ! それで少し聞きたいことがあるんさ」

「あら何かしら?」

「あちしの主様を見てないっさ?」

「主様?」

 ココエエはテレサにその特徴を伝える

「そう、大好きな主ちゃんを探しているのね? 小さいのに偉いわね」

 テレサはココエエの頭を撫でる

「あちし子供じゃないっさ! こう見えて何万年も生きてるっさよ!」

 冗談だと思ったのか、テレサは笑う

「でもごめんなさいね、あなたの主ちゃんは見てないわね」

「そうっさか・・・。しかたないっさ! 次に行くっさ!」

「もう行くのね? じゃあ頑張ってるお嬢ちゃんにこれを上げるわ」

 テレサはポーチから飴玉の袋を丸々取り出してココエエにあげた

「わ! 飴っさ! あちしこれ大好きっさ!」

「あら、それは主様より?」

「主様の方が好きっさ」

「フフ」

 テレサにお礼を言ってココエエは次なる世界に行くことにした

 この世界に国は一つしかない

 その国随一の歌姫が知らなかったのだ

 この世界にはいないと見て間違いないだろう

 飴玉を一つ口に頬張ってココエエはバチュンという音とともにこの世界から消えた

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