大勇者と救世者15
少女は気を失っているアイシスの服をすべて脱がすと嬉しそうに体を塗れタオルで拭き始めた
せっせせっせと綺麗にした後は、自分で縫った下着を着せていく
まるでお人形に着せるようにゆっくりと丁寧に
その後は自分で作ったドレスを取り出して着せていく
うきうきとしながらアイシスを着飾って行った
しばらくするとアイシスの魔力が回復したのか目を覚ました
「あれ? ここは? そうか、俺は魔力が切れて気を、ってなんじゃこりゃぁあああ!!!」
自分の着ているドレスを見て驚くアイシス
ご丁寧に髪の手入れにリボンまでつけられていた
どこからどう見ても立派な美少女アイシスの完成
目の前には姿見があり、自分の今の恰好を見れるようになっている
恐る恐る覗いてみた
「なんだ、これが、俺? えっと、恥ずかしいけどこれはなかなか、キーラにも負けてない、かな?」
男っぽい言動が多く、格好も鎧姿が多いアイシスだが、少女らしい格好に興味がないわけではない
むしろ幼いころは花を愛で、動物が好きな普通の女の子だった
勇者としての使命を帯びた後は戦いに身を投じ、それからは年頃の少女らしいことをしてこなかった
勇者となってからは老いることなく若い見た目のままだが、少女のころから戦い続けてきた彼女にとっておしゃれは無縁だった
そんな彼女に突如起こった奇々怪々な現象
なぜ自分がこんな格好になっているのかも、先ほどいた世界とは全く違った世界にいるのかもわかっていないが、今はそんなことを忘れて姿見の前で可愛らしいポーズの研究を始めていた
そんな彼女の後ろでその姿を嬉しそうに、満足そうに見守る仮面の少女
その気配にようやく気付いて振り返るアイシス
「なにもんだてめぇ!」
仮面の少女は慌てるようなしぐさでわたわたと手をふり、その辺りに落ちていた木の枝で地面に言葉を書き始めた
「なに? 味方、アイシス、大勇者、守る?」
コクコクうなづく仮面の少女
「そんな変な仮面してて信じれるわけないだろ」
少女はまた木の枝で文字を書いた
「仮面、外せない、顔、傷、見せれない・・・。そうか、それは悪かった」
また文字を書く
「名前、アン、ずっと、探してた。探してた? なにを?」
「あなた」
少女の名前はアンといい、ずっとアイシスを探してたそうだ
以前助けたときにアイシスを見つけ、今回助けたことで自分の探し人であったことを確信したようだ
「俺を探してたって、なんのために?」
「大勇者、従者、なる、使命。俺の従者になるのが使命ってことか?」
アンはコクンとうなづいた
「それでこの服はなんだ? お前の趣味か?」
アンはパチパチと手を叩いて喜んでいる
似合っていると表現しているのだろう
「はぁ、まあこれはこれでいい服だし、くれるなら着たい。でも戦闘では着れないな。こんなに素敵なドレスなんだ」
アンと打ち解けてきたアイシス
仮面で表情はくみ取れないが、その分ジェスチャーで様々な表現をするアン
二人はこうして大勇者と従者という関係になった




