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白黒 童子姉妹の冒険10

 劣化ファフニール、劣化フェンリル、劣化ニーズヘッグ、劣化クラーケン、劣化リヴァイアサン、劣化エキドナなどなど、本来なら今の私たちじゃ絶対に勝てないであろう劣化神話級の魔物?たちとの連戦に注ぐ連戦

 それぞれの対処法も違ってて、修行としてはかなりハード

 でも私たちはやり遂げた

 体中傷だらけで、身も心もボロボロ。正直、疲れ切って何もやる気が起きないよ

「よくやったなお前たち。どうじゃ? 息を吐くように童子の力を制御できるようになったじゃろう?」

 そういわれると確かに、この力が体の中で巡って隅々にまでいきわたっているのを感じる

 それどころか体内の力を意識し続けていると、傷や疲労が異常に速く回復していくのが分かった

「ふむ、その力の流れをよく覚えておくといい。それを常時維持できるようになれば完璧じゃぞ。それはそうと、お前たちもだいぶ汚れたのぉ。風呂でも入るかの?」

「え? いいんですか?」

「当たり前じゃ。そんな汚い臭い体で屋敷を歩かれてはかなわんからな」

 それもそうだ。お姉ちゃんも私も汗と血、その他もろもろの汚れでドロドロ

 お風呂に入ってすっきりしたいよ

「ついてこい。我も共に入るぞ。ここは熱いからの。我も汗をかいたからな」

 アンミツ姫に案内されてきたのは大浴場!

 アンミツ姫が龍になっても入れるくらいの大きな湯船で、まるで牛乳のように白いカルシウム温泉!

 肌の潤いを保ってくれる成分も入ってるみたいで、アンミツ姫のすべすべお肌はこれで保たれているらしい

「ここでまず体を洗うのじゃ。ちゃんと綺麗に洗うのだぞ?」

 言われた通りに手拭いを石鹸で泡立てて体を洗い始める

 この石鹸も花の香りがして、さらには体の疲れを取ってくれるという効能があるみたい

 なんだかトロンと眠くなってくる

 体を綺麗に清めていざ湯船へ

 足先からゆっくりと浸かっていくと、気持ち良すぎて思わず声が出ちゃう

「はふぅ、この湯、すごく気持ちいいですね。なんというか粘り気があるような」

「ほぉ、よく気づいたの。この湯にはスライムが溶け込んでおってな。それらが体の老廃物も食べてくれるのじゃ。おすすめは尻から」

「ちょっと待ってください! ス、スライムって、あの危険生物ですか!? そんなものに浸かってたらとけちゃうじゃないですか!」

 スライムと言えば物理攻撃が効かず、エレメントによっては魔法も無効化する個体もいるらしい

 弱いのは生まれたばかりの個体だけで、歴戦の個体になるとSクラスもざらにいる

 その強敵スライムのお風呂

「大丈夫じゃて、ここのスライムはもともと風呂用に改良された個体での。老廃物を喰う以外に害はない。それとおススメは尻から」

「あ、これは確かに気持ちいいですね。ねっとりと絡みついてくるようですが、湯船から上がるとさらさらと流れていくようです」

「そうじゃろうそうじゃろう。この子は我が可愛がって育てておるから人懐っこいんじゃ。この子は排泄物なんかも食べるからの。餌代がかからぬから楽でよい」

 スライムの溶け込んだカルシウム風呂から上がると肌はすべすべ、体の疲れもすっかり取れてた

 それにしてもあえて反応しなかったアンミツ姫の言葉の意味が分かった

 まぁそれは置いておいて、すごく気持ちよかったです

 その日はゆっくり休むがよいと言われたので、用意されたベッドでぐっすり!

 明日からは劣化神話級をアンミツ姫が少し強化した個体たちと対戦することになった

 昨日までの私たちじゃ倒せないくらいに強いらしいのよね

 でも今は負ける気がしない!


 さかのぼること数時間前のアカネたち

 彼女らは雷王龍ジランと戦っていた

「君たち、いい感じに力が高まってきているな。私達も本気でかかろうではないか」

 ジランは体にまとう雷を手に集約し、剣の形に変化させた

「神剣、雷烏蒼明らいうそうめい

 まるで鳥の鳴き声のように電撃がバチバチと火花を鳴らす大きな剣

 振り上げ、一気にたたき降ろすと雷鳴がとどろき蒼雷が三獣鬼を襲った

「妖仙術、空間加速!」

 キキは四足歩行のように手を地面につけ、体を縮めるとばねのように伸ばした

 その衝撃で空間に穴をあけて異次元に入り込み、視界から消える

 しかもその速度が尋常ではなく、消えては現れを繰り返すことで多数の分身をしているように見えた

 当然蒼雷に触れることなく避けきった

 アカネは刀で蒼雷をはじき返し、ソウカは飛んで避けた

「妖術、天岩戸あまのいわと!」

 一瞬でジランの後ろに回り込んだキキは妖術で地面の土を操作して岩の壁を二つ作り、ジランを押しつぶした

「くっ」

 ギリギリで抜けだしていたジランに間合いを詰め、キキは一瞬で数十発蹴り込むことに成功した

「ぐぁああ」

 たまらずジランはのけ反ってその衝撃を和らげたが、数発がまともに入り体勢をくずす

 その隙を見逃さず、空間加速でまた死角へと潜り込み、強烈な後ろ回し蹴りを頭に見舞った

「がっ!」

 ジランはそのまま脳震盪を起こして気絶してしまった

「あのジランがこれほど短時間で・・・。恐ろしい成長率ですね、あの子たちは」

「やっぱうちらより強いって。うちもすぐやられちまったしよ。残すはお前とロダルだけじゃん?」

「問題ない。俺は俺のやるべきことをやるだけだ」

 三獣鬼の修行相手は残り二龍となっていた

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