白黒鬼姉妹の冒険1
精霊様、かっこよかったなぁ
今思い返しても、あのジュオンという危険な魔物をあっという間に倒した手腕はほれぼれする
私、白鬼のハクラはあの時のことを思い出してうっとりとしていた
あんなふうに強くなれれば、守られるだけじゃなくて皆を守れる
お姉ちゃんは過保護だし、三獣鬼や他の幹部たちも私を守ろうと無茶をするときがある
そこで思いついたのですよ! 修行の旅に出るのです!
世界中を回って強い者と戦い、自分を鍛え上げればいいのですよ
我ながらなんと素晴らしい思い付きなのでしょうか
「というわけで、お姉ちゃん。私は修行の旅に出ます!」
「却下です」
「えー! 何で!?」
「お前は私が守るんだから強くならなくていいの。お前のその美しい肌に傷でもついたらどうするの!」
出た、過保護。傷ついたっていいじゃない。私だって強くなりたいもの
「じゃ、じゃぁ三獣鬼連れて行くから!」
「ダメ。おとなしく屋敷にいなさい。旅行くらいならまた連れてってあげるから」
「それじゃダメなの! 私が強くならなくちゃ、皆を守れない」
「ダメだって言ってるでしょ」
ぐ、頑固
こうなったお姉ちゃんはこっちの話を一切聞いてくれないもんなぁ
よし、こっそり出よう
「こっそり行こうと思ってるでしょ?」
「そ、ソンナコトナイヨー」
「お前のことはよくわかってるつもり・・・。ハァ、しょうがない。私も行くわ」
「え?」
「お前ひとりで行かせるのは心配。でも、強くなりたいんでしょ?」
「許してくれるの?」
「止めたって行くことくらいわかってる。それに、私自身修行したかったし」
「ありがとうお姉ちゃん!」
お姉ちゃんに抱き着いた
「フワワワワ、ハクラ、急に抱き着いちゃダメ」
なぜかお姉ちゃんが顔を真っ赤にして慌てている
「それじゃぁ用意してくるね!」
「うん、出発は明日。三獣鬼にもついてきてもらうから言っておいてね。国の守りはコクウに任せればいい」
コクウなら大丈夫か
あのおじさん、強いし頭もいいもんね
翌日、私達五人は旅立った
コクウは何とも言えない複雑な顔をしてたし、ネネコには泣かれ、なだめるのに時間がかかったけど、いよいよ修行の旅に発つ
「じゃぁ、行ってくるね!」
「グスッ、行ってらっしゃいですハクラ様ぁ。無事に帰ってきてくださいですぅ」
ぐずりながらもネネコは見送ってくれた
頭を撫でてあげると少し落ち着いたみたい
必ず強くなって帰ってくるからね!
「まずは妖怪族の国に行きましょう。お姉ちゃん、場所ってわかる?」
「わかる。でも遠いよ?」
「そうなの? じゃぁ修行をしながらそこを目指そう」
「あたしらも強くなりたいと思ってたっすよ。ハクラ様、クロハ様、頑張ろうっす!」
アカネもやる気満々だね~
私たちはそれぞれの愛刀を腰に下げて(ソウカのは大きいから背中に背負ってる)出立した
まずは港のあるリザードマンの国に行くことに
獣人の国とは反対方向だね。武人が多いから修行になるかも!
船に乗り込んでこれから船旅はちょっと楽しみ
今まであまり島から出たことないもん
旅行としても目いっぱい楽しもう
そんなこんなで私たちの旅が始まったわけなのです




