表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1023/1023

新しい旅

 頭がさえたのはあれから三年経ったときだって気づいた

 その時には僕は花のつぼみの中にいて、体がちゃんと出来上がるのを待ってたんだ

 あの時の力はもうないけれどそれでいい

 だって僕は平和に暮らすのが幸せだから

 だんだんと体が魔力や自然の力で構成されていくのが分かる

 これは転生した時とはまた違う感覚

 あの時は、死んだと思ったらいきなり生まれて、目の前に母さんがいたって感じかな

 僕は三年前確かに死んだ

 悪意のボクに核を砕かれたんだ

 核ってのは砕かれるともはや再生もかなわないし、魂自体が消滅しちゃうから輪廻の輪にも乗れない

 僕は確実に消滅したはずだった

 消えたときの記憶はないけど、核が砕ける時耐えがたい痛みがあったのはしっかりと覚えてる

 何で僕は今また産まれ直せようとしてるんだろう

 こんなことは普通じゃあり得ないんだと思う


 数日後、僕は体がしっかりと形成されたのを感じていよいよつぼみから生まれ出ようとしていた

 母さんの優しい声がする

 元精霊祖神の母さん

 いっぱい心配かけちゃっただろうな。最初の一声はなんて言おう

 それにきっとテュネたちも心配してくれたはずなんだ

 ハクラちゃんにクロハさん。僕を助けようとしてくれたたくさんの人達

 僕は恵まれてるなぁ

 そして僕は、花を開いて、外に飛び出た

「生誕おめでとうリディちゃん!」

「母さん!」

 僕は涙を流しながら思いっきり母さんに抱き着いた

 懐かしい母さんの花の香り

 そして

「リディエラ様!」

「リディエラちゃん!」

「リディエラ!」

 うわわ、こんなにたくさんの人達が精霊国に!?

 テュネたちはもちろんのこと、鬼神姉妹のハクラちゃんとクロハさん、それからその親友の鬼神たち

 始まりの黄金人カイトさん、最初の鬼神サクラさん、魔王キーラちゃんに妖怪族族長のタマモさんとその娘のクノエちゃん、そして妖怪族の族長娘ーズ

 エインセルたち、黒族、闇人、神々・・・

 ちょっと待って多い多い多い

 国に入り切れないくらいの人達がいる

 みんなが僕の生誕を祝いに来てくれたみたいだ

 別世界からも詩季さんやイアさん、シェイナさんも来てるし

「せて、宴を始めますよ皆さん!」

 母さんの一声で大宴会が始まる

 そこで僕に何があってまた再生出来たのかが分かった

 なんとウルの首領であったアウルが、僕の核を戻すためにその命をささげたらしい

 何がどうなってそんなことになったのか分からないけど、直後に現れた人によってその理由が分かった

 僕の、魂を分けた姉さん

 生田目さんだ

「そこにいるのでしょう。さあ、あなたもこちらへ」

 隠れていた生田目さん、姉さんを、母さんはあっさりと見つけてこっちに呼んだ

 力を感じない

 姉さんは強大な力を失って、ただの黄金人になったみたい

「リ、リディエラ」

「姉さん」

 何を言えばいいのか分からないけど、彼女から敵意は感じない

 そして僕は姉さんからアウルの本当の目的、姉さんがアウルに協力していた理由を語ってくれた

「そっか、そんなことが」

「怒らないの? 貴方を利用してあんなことになって・・・」

「確かに大変なことだったけど、僕は今こうしてまた生まれてる。だからさ、もういいんだ。こうして姉さんと語らえてるしね」

「う、うう、ありがとう、リディエラ。これからはあなたを命を賭して守る」

 姉さんとも和解できた

 

 宴もたけなわ

 幸せな生誕祭

 そして僕は新しい目的を持ったんだ

 また世界を旅する

 誰と行くかって? 一人かな

 いろんな世界を回って、いろんなことを知りたい

 だからそれを母さんや皆に話した

 生まれてすぐだったけど、僕はこの好奇心を抑えれないんだ

 世界は、本当に美しくて素晴らしいから

 また始まるんだ。僕の、僕のための旅が

 

 さあ行こう、たくさんの宝物を見つけに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ