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トモ ノ シカク



パチ パチパチ…パチパチ パチパチパチ

チーーン!   カーッシャン…





パチパチ パチパチ…パチ…パチパチパチ…パチパチ

チーーン!   カーッシャン…



ズズズッ…


大賢者が自分で建ててて以来、800年前から一切埃をかぶらないというマジックアイテムでできた邸宅の、レトロな雰囲気のある書斎にビッシリ並ぶ本とヴァイスが入れてくれたコーヒーの香り、タイプライターの音と感触がハードボイルドな男の味を…






「苦ぁ…」


[ニコメ、サンコ“ム”__ノ_ホコラ_ハ、キュウセイカイ_ノ_テニヨリ]


あ…




ミスってたあ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ“あ”


なんでないのぉデリートボタぁぁぁぁぁぁン!


予測変換をよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!


っていうかなんで全部カタカナで報告書を書かなきゃいけないんだあああああああ!!!!


せめて、ひらがな・カタカナを使い分けさせろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!



フザケんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!




ビリビリィ…!


「終わるかあああああい!!!」




ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…ハァ…



決闘騒動の後、正式にヴィクトリア王国より第4中隊が調査団として派遣されることが決まったとザックさんやカムロさん、王女様、アベルさんの4名全員から報せがあった。



『「ドラゴン達と出会った時からの状況を報告書にまとめろ」ってよ』





まぁ当然の流れだとは思っていたし、倉庫を探したらタイプライターが出てきたまではよかった。




『「書物に出てくるニホンという街についてよく分からないから知ってることをまとめろ」だってよ』ぉぉぉ?




ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁ!!!



まとめて下さいだろ!!



日本という街について?国だぞバカか!!



地理・歴史・公民習うだけで何年かかると思ってるんだ!!



漢字だけで何文字あると思ってるんだ!!




総じて言うとひと言。



無理!!




「どうすればいいんだよ…」


3日後にはくるぞ…


「け~ サンちゃんが呼んでたジャン」

「サンちゃんが?… あっ…野菜か」


































こちら側の世界に来てから早いもので2週間ほどたち、ドラゴン達の凄まじい頑張りと、自分が使えるチカラとで早くも里は7割8割くらい復帰した。




家の瓦礫は片付け、残ったモノは大事に修復し、建て直す大工ドラゴン達


田畑を土からやり直し、自然の恵みを取り戻す農家達


元気に駆け回ったり、泉で泳いだり、元気に遊びまわる子どもや子ドラゴン


子どもの人化用の服を作るママさん


広場にあった像を修復しながら、隣にもう1個作っている職人ドラゴン達



以前ヴァイスが言っていたように、器用に通常形態と人型形態を使い分けてうまいこと生活していた。







その沢山いるドラゴンの中の1人、『畑のサンちゃん』こと、地属性ドラゴンのサンディ



あの日、里側の祠の前に倒れてたドラゴン達の1人で、強めな訛りとオーバーオール、麦わら帽子が基本スタイルの、絵に描いたようなファームスタイルが特徴の農家さんドラゴン達のボスで、子ドラゴンたちのアニキ的存在。



「どったんだぁ えれぇつがれた顔しでぇ?」

「もう無理…病気になりそう…」

「はだらぎすぎだど、休んどるだか?」

「休みたいけど、寝れない日が続いてて…」

「そいつぁよぐねぇど。」



これでもドラゴン全体で見ればまぁまぁ若手だから最初は驚いたものだが、ヴァイスの次に話しやすいし、野菜や米のお裾分けの他に理由をつけてほぼ毎日会いに来てる気がする。



サンちゃんの家に先祖代々伝わる米や野菜は、大賢者が種から創り、子供の頃から厳しく叩き込まれた栽培・管理によって1ミリも姿を変えていないという。



「なんづぅ仕事しでんだ?」

「大賢者と自分の生まれた国について3日でまとめろって」

「バッカでねぇのぉ

大賢者フレアのふるさどっでこの世界にねぇがら、どぉやっでも、づだわりようねぇだよ。


王国のお偉ぇさんは何を考えどるだ?」

「大賢者がこの世界の人間じゃないって知ってたのか?」

「っだりめぇだ。里にでぇでえ伝わる伝説だど。」

「それ多分…長老ドラゴルドが知らないんだけど…」

「それはしがだねぇ、長老は根っからの力業専門のドラゴンだべ。

聞いででも、ぜっでぇ覚えてねぇど」

「どうりで…1番強いのに」

「それでもレベルMAXの大賢者にはパンヂひとつ当てらんねんど」

「MAX!?」

「んだ。」

「なおさらまとめようないだろ…」

「そだど。

無理難題おしづげで来るヤヅらのことなんが気にしでねぇで、あぎらめるように言っで返しちまえ。んで寝ろ」

「そうするか。」


「ほれっ採れたて新鮮野菜!とにがぐ今はうめぇ飯いっぺえ食って、いっぺぇ寝て元気だすだよぉ」

「ありがど」

「うづっでるど」



サンちゃんに言われて確信を持つ。

あの氷アタマ無理なの分かってて言ってきやがったな!!!



許さねぇぞゴラァ…!


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


「すんげぇ怒気だど…」




『あの…』


「『あ“あ”ん“?』」


『エリーゼです…気が立っておられるところ申し訳ありません…』


「『あ…すいません王女様…どうされました?』」


『フィーラがとんでもない無茶を言ったようで…』


「『ほんとですよ!何なんですかあの人!?

一国の歴史と言葉についてまとめろ?1人で?書き損じなしで?できると思ってるんならテメェがやれってモンですよ!!分かったところで800年前みたいに戦争になるだけなのに!!

それでもやれって言うなら全部漢字だけで書いた上で、今度モンスター総出でタコ殴りにしてもいいですか?いいですよね!?』」



『お願いですから一旦落ち着いて!!!』




『報告書#だけ__・__#を・#ヴィクトリア王国__・__#の文字で・ザックが読んでも理解できる程度の文脈でまとめていただいて、あとは休んでください!!

書き損じは塗りつぶしていただければ問題ないですから!!。』

「『氷アタマのいうことは?』」

『聞かなくて大丈夫ですから!必要なことは私かカムロから連絡しますから!』

「『分かりました。』」




「姫さんなんて言ってただ?」

「氷のお偉えさんの仕事はしなくていいって」

「よがったなぁ」

「ああ、よし…夕方までに終わる」

「だら、もう一踏ん張りだ」

「そうだな、もどるか。

野菜ありがとうな」



「あ、ちょっと待つだ!」

「おととっ!?どうした?」

「コレ、オラん家来た時に忘れてただ。」



サンちゃんがオーバーオールのポケットから取り出したのはサンちゃんの仲間カード。

一昨日、サンちゃんの家を訪れた時、カードが生成された。



「あの場で諦めねぇやづは、大事な場面で裏切らねんど。」って



里のドラゴン達の仲間カードを似たような理由で何枚か持っているが、正直持て余している。



彼らの覚悟の証でもあるこのカードを使いこなすには、まだレベルもフィジカルも最大魔力もスキルも足りなすぎる。





この間はキーカードとして魔聖剣とヴァイスとネロのカードを光+闇属性デッキに加えていたが、相当都合よく軽減枠モンスターが場にいる状態で、コスト不足分を削らないと召喚できない。




一旦状況を整理すると前回の決闘騒動、相手を殺めたわけではないが勝利判定で経験値が入っていた。



ドラゴルド達も邪神化問題は謎に例外のようで、[状態異常にかかったドラゴン]のドラゴン本体を倒したわけではないのでその分の経験値が入ってこなかった。



厳密に言うと、追手を捕まえた分、レッサードラゴン討伐分、ドラゴルドの解呪成功分と初めてのカード化した分の経験値が入ったことには入った。



しかし、邪神の力をカードする際、カード化・カード合成の代償として経験値をゴッソリ魔聖剣の作成に吸われてしまったようだ。





①追手・レッサー分 ↑


 『カード合成』取得


②カード化・合成の代償+邪神の負荷分 ↓


③解呪・初カード化・合成成功分 ↑


④ドラゴン達救助成功分 ↑


 =レベル12


⑤里の復旧作業分↑


⑥決闘不殺勝利分↑


 =現在レベル15…





報告書投げ出してレベリングしたぁぁぁぁぁい!








パチ パチパチ…パチパチ パチパチパチ


チーーン!   カーッシャン…





パチパチ パチパチ…パチ…パチパチパチ…パチパチ


チーーン!   カーッシャン…


































太陽がオレンジ色の輝き放つ少し前に何とか報告書をまとめ上げるといつもの愚痴会が。









『フィーラならレンガみてぇな本、山ほど持たされて仕事部屋に閉じ込めらたぜ。

今頃泣きながら調べてんじゃねぇか?』


「『ザックさんの言葉で言うと、ザマァないですね。』」


『だろ!?

いや~仲間ができて嬉しいぜ』


「『その仲間に無茶をまま伝えた副隊長さんにも問題ありますけど、ねぇ』」


『ごめんって!!』


「『もういいです、終わったんで』」


『ほんと悪りぃことしたな…』


「『あっ、そういえばザックさんは準備終わったんですか?明日ですよね出発』」


『ったりめぇだ。パンツの替えがありゃいいんだろ?ラクショーだぜ』


「『…?

ザックさん…?先に言っておきますけど…彼らは基本的に人型で生活してますから裸や上裸で過ごすって選択肢ないですからね』」


『は?』


「『普通に服着てますからね』」


『は!?ヤッベマジかよ!』


プツッ ツーッ ツーッ ツーッ




いや大丈夫か副隊長…


実力はあるんだろうがコレじゃあアベルさんの精神がもたないぞ…


































当日


酒に酔う前の記憶を頼りにドラゴルドと初めて出会った場所を目指す30人程度の集団。


しかし、確かに出会ったはずの場所に祠は無く、辺りを探しても石の人工物1つ見つからなかった。




「どこにもないぞ」

「ちょっと待ってろ。」


「『ケーか?石のやつねぇんだけどここであってるよな?』」


『大丈夫です。そこから自分が言う場所に向かってください。』


「『ここじゃねぇのか?』」


『場所移動したんです』


「『あ?移動したぁ?』」






救世会とかいう組織の手先があれから数人、3つの祠の付近で発見されている。

捕まえようと試みたが、全員『精神操作の首輪』で自爆されたという。








仮の家として、大賢者フレアこと如月さん宅で過ごしている中で、本棚から森の中に大賢者が用意した隠し場所をいくつも記した地図を発見。


・岩壁に見えない空洞


・木の下に空洞


・池のど真ん中に空洞


・大きい岩の中に空洞


・崖下まで繋がる落とし穴…の途中に空洞



祠と祠との距離を離し、仮にバレても入り方を知らないものは絶対に入れないと思われる

場所を3ヶ所選んで、シアンとネロに移動してもらった。

















移動すること数分。


何もない泉の前にきた調査団こと4番隊はザックが嘘をついているのではないかと疑い出した。


「『ねぇぞ』」


『そこで合ってます。

ちょっと待っててください、中から開けます』



ピカーーーーーンッ……


チーンっ!




「光った…」


「光のはねっ返し…じゃねぇな」


「反射であぁはならないだろう。」


「あれ…なんかこっち来てね?」


「そんなことある訳…総員退避!!」


『「うわぁああああああ!!?」』




数十m先から光が飛んできて1人と1体の形を形成する。



里の出入り口はこういう特殊な設置の仕方にもお構いなしなのだ。







「お疲れ様です、皆さん」

「ケー!金のダンナ!」

「よう来たじゃモン。歓迎するじゃモン!」


「ご無沙汰しております。ヴィクトリア王国騎士団4番隊隊長 兼、この度の調査団の代表を勤めさせていただいております、フィーラ・アーデルハイトと申します。

先日は数々の愚行にも関わらず寛大な申し出をいただき心から感謝申し上げます。」



「・ ・ ・ ・」



あれ…?カムロさんの時は途中でいらんいらんっ!って途中で挨拶ぶった斬った思うんだが…



『おーい!何か言ってやらないと』


『んー…やはりダメじゃモン』


『どうした!?

この人に何か気に食わないことでもあったのか?』


『このオナゴは…なんと言っとるんじゃモン?』


『分かってなかったのかよ!』


『我に分かるわけがないんじゃモン!』


『威張るなよ』


『なぬ!?威張るなよというたじゃモンか!』


『この場でそんなこと言うか!


「私はフィーラ・アーデルハイトって言います。この間はごめんなさい」


って言ったんだよ!』


『そうじゃモンか』




「ンッンンッ!

お主も王のため、民のために頑張っておることは聞いておるんじゃもん。

誰しも怒れば周りが見えなくなるものなんじゃモン。

頑張ってくれるのであれば、我らはお主を責める気はないんじゃモン。」

「もったいなきお言葉…痛み入ります」



『今度はなんじゃモンと?』


『本当にごめんなさい、許してくれてありがとう…みたいな?』




「過ぎたことは滝に流すんじゃもん。

お主らも歩き疲れておるんじゃモン。案内するんじゃモン」


「ちょっと待っててくださいね」



「『(ひ)光り輝く泉の精霊よ


  (ら)楽園を創造せし大賢者の魂よ


  (け)景観に溶け込んだ扉を開き


  (ご)剛健なる一族の長とその友を


  (ま)摩訶不思議な空間へいざないたまえ』!!」





キラーーーーーン…!




「ひらけゴマ」ではセキュリティガバガバなので長ーーくもできるよう、何度も祠に唱えまくって覚えさせた。














チーーン! ペッ!


視界が一度真っ白に染まり、次の瞬間には最近見慣れた里とシアン達(ドラゴン形態)が目の前に並んでくれている。


「クロ!シロ!アオ!アカ!」


「ようこそでありま…?」

「いらっしゃ…あり?」

「けーと長老とざっくと…あれ?」

「………………。…あ?」



「どうしたじゃモン?」

「みんな歓迎するんじゃなかったのか?」

「ケー?あいつらは?」

「え?」



シーーーーーン…

スカッ…スカッ…スカッ…


いるはずの数十人分は気配も影もなく、隣にいるのはザックさんだけ…

置いてきてしまったのか?




「失敗か?」

「みたいですね。

ちょっとやり直してきます」

「オレももどっか」


「ひらけごま!!」



戻ると、当然のようにちゃんと残されていて、全員かなりザワついていた。



「少し手違いがあったようなのでもう一回いきます」





「『…~…』」



キラーーーーン…!




チーーンッ!ペッ!



「ようこ…そ?」

「いらっしゃ…い?」

「けー?」

「ダンナしか来てねぇぞ」

「もうこれ壊れてんじゃねぇか?」

「そんなことは…」




チーーンッペッ


「おかしいな…」

「もっかいいくか?」

「いきます。」



チーーンッペッ!


「ダメか!」

「う~いもっかい」


チーーンッペッ!


「また!?」

「ま~だまだ~」


チーーンッペッ


「何で!?」

「もいっちょ!」


チーーンッペッ


チーーンッペッ


チーーンッペッ


チーーンッペッ


チーーンッペッ


チーーンッペッ


チーーンッペッ












チーーン…ベェ…




「皆さん入る気あります!?」


『「あるわ!!」』


「なら何で入ってこれないんですか?」


『「知るか!!」』


「逆になぜ貴様とザックは入れる?」

「さぁ…?」

「入れたんだからしゃーねぇだろ」

「だからその方法を教えろと言っているんだろ」



チーーン…オェ…



「やっぱり無理そうでありまスル?」

「ヴァイス…!」

「何回やってもただのクソザコどもじゃ入れるわけねぇか。」

「ネロ!口が悪いでありまスル!」

「コイツやダンナみてぇな2つも3つも奇跡起こしたクソザコと、姫さんおいて帰ってノロノロ姫さん探しして結局何もできてねぇクソノロマザコ。

普通に考えてどっち信じんだ?」

「くっ…」

「そういうことだろ」


「うちのネロがすいません…」

「なぜ貴様が謝る?

不愉快だが奴が言ったことは事実だ。

国の要人1人のために必死になっていた集団か、世界とドラゴン一族、殺害されていてもおかしくなかった用心とその護衛も全て救ったであろう英雄では勝負にならん。」




「なあクロ、カムロにやった影のヤツでいけんじゃねぇか?」

「あ?

…あぁ、いけるかもな」

「影のヤツ?」

「見た方が早えぇ。」




「『ほらよ』」




ネロが集団を指差すと足元の影同士がつながり、足が漆黒の底なし沼に沈んでいく。


ズブズブズブズブズブズブ……


「なんだ!?」「うわぁあ!!?」

「足がっ!?」

「離せっ!何をする!?」


「チッ…話ぃ進まねぇから黙ってろ、殺すぞ」




闇竜の鋭い眼光に逆らえる強者は誰もおらず、屈辱の表情と共に影に沈んでいくのを待つのみだった。




「なぁ~ク~ロ~!!オレ残ってんだけど~」

「ダンナは普通に入れるからいらねぇだろ。

言っとくけど影ん中クソ狭ぇぞ」

「じゃいいや」



「いくでありまスルよ」










「では改めて、ひらけ、ゴマ!」










チーーン…オェェェェ…





影を掴み、見えない器や箱をひっくり返して揺する



「『出てこい』」


ドサッドサッ

「イデっ」「ガァッ!?」


ドサッドサドサドサッ


「うわぁッ」「痛っ!?」「ギャッ!?」「なんでっ!?」




あーあー…雑っ雑っ

一応その人達お客さんなんですけど…




「ここが…?」

「ドラゴン一族が生活している里、仮名でドラグニアです。」



周りを見渡して皆が思うことは



「スッゲェ…のか?」

「思ったより普通でしょ?」

「里…というか町だな。」




石畳で舗装された中央広場には噴水と修復・建造中2人分の像


立ち並ぶ木造住宅は平成住宅地


奥にある畑は青々繁々と、果樹園は光り輝く実が昼間にも関わらず、聖夜の木々のような輝きを放つ。


泉では思い思いの形態でこども達が泳ぎ、上流では眠い顔したドラゴンが昼寝の片手間に魚を獲っている。




自然と文明の調和がとれているこの里は目覚ましい発展やそれっぽい発明がこそないものの、この生活がしっかり守られている事がここ数日ではっきりと理解できた。




そこに人間様の顔した者達がおいそれと入れるはずがなく、大賢者が遺した石造のアーティファクトによって守られていたのだ。




つい先日までは。




















邪神化が起きる少し前、どこから嗅ぎつけたか救世会の手先が数名送り込まれ、あの手この手で里への入り口をこじ開けにかかり、1つ、また1つと祠は入り口としての機能を手放した。



残った1つも同じ。



謎の方法により入り口が完全が開いてしまい、里に大賢者の死後以来初の招かれざる客によってドラゴルドは邪神化。


たまたま居合わせたドラゴン達は幹部・子分・配下・眷属的立ち位置として邪神化の影響を強く受けた。


同じ空間にいた他の同族達にもその影響は出てしまい、半分くらいのドラゴンが破壊衝動に精神を#蝕__むしば__#まれ、里は修羅場に。



唯一の救いとして、その身におきた異変がみんなにとって危険なものであると感じ取ったドラゴルド、ネロ、シアン、ヴァイス、ネロ、サンディ、トーネル、ブラスクの強い8名のうち5名が里からの脱出・自己隔離に成功。



サンディ達も強い理性でなんとか抵抗を続け、邪神の本体となる核が不完全なうちにドラゴルドから抜き出て、鋼の聖剣に封印。



邪神竜の子分・配下・眷属となるはずだったシアン~ブラスクまでは解放された。



間も無くして、里の凶暴化したドラゴン達も禍々しい力から解放された。

というところまで、8名に加え記憶を持ち合わせているドラゴン、影響を受けなかったドラゴン、子ドラゴン達から聞いて掴めた。





















「以上が自分達が掴んでいる当時の状況です。


今後の里では、皆さんを加えて調査、事実関係で抜け落ちている点などを中心に洗い直しつつ、他方で救世会からの防衛の続行。


これ以降の調査団、救世会の両面の動きによってはドラグニアの場所がダダ漏れとなっている可能性も高いので、救世会の拠点を突き止め、摘発する方針で固めています。」


「…なるほど、たしかに辻褄はあっている…」

調査団フィーラさんたちにはこの報告書を聞いていないものとして、ゼロから疑って調べ直してもらうつもりです。」

「ここまで仕上げた報告書ものを聞いて他の可能性が見える…の…か?」

「それはまぁ」




バサッ!



彼女の手に押し付ける打ち損じ、文脈ミスの山。


ネロが「気持ち悪りい」というほど、自分の無駄になってしまった労力とあんな感情こんな感情がこもりにこもっている。



「これだけの事をさせたんですから、できるという事ですよね!」


「うっ…」

「まずは…フンッ!!」


1冊350ページの本を、5冊おきにまとめられた紙の箱を


ドスンッ ドスンッ ドスンッ ドスンッ


どんどんどんどん積み上げる。



「こ…これは…?」

「大賢者フレアが書き残したであろう伝記“集”です。全200巻、”全部日本語“で書いてあります。」


ドスンッ


「こっちが…弟子が残した日本語の辞書

これが フンッ」


ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン ドスン


「2、3、4、5、6、7、8、9冊です

これを使って大賢者フレアの生い立ちから調べてもらおうかなと。明後日までに。」



「い…これは…ちょっと…」



「これの後に地理、歴史、古代魔法、里の歴史やその他もろもろ。この書斎の地下にもザッと4千冊以上あります。

これを、3日で!まとめろと言ったんですけど…正気ですか?」

「本当に申し訳ない事をしたと思ってる…」


「王女様には絶対に生きているうちにこの書斎から出れないことはご理解いただけました。

大賢者の故郷のことは早いうちに諦めさせてほしいと預かってますがどうします?」


「中止します!!」


「そうですか。でも興味があることはいいことです。


ここの伝記をギュッと短くした言い伝えを伝承してくれるサンディというドラゴンがいるので、フィーラさんは当分サンちゃんのお家に滞在していただきます。


農作業を手伝いながらじっくりしっかりおそわってくださいね」


「え…いや…ニホンについてはもう…」

「知りてぇだら、しっがり教えてやるだ。気がすむまでノンストップでおしえてやるだど」



ガシィッ



「済みました!気は済みましたからお離しください!!」

「文句言うでねぇ。ちゃっちゃと行ぐだど~」


ズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズルズル…



「嫌ああああああああああァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

















その夜


「そごで池の主がこう言うだ……」




ウトウト…カクンッ…

パシィーン!!


「なに寝ようとしとるだ!終わるまで寝がせねんど!!」


「ギャンッ!!」


「まだまだ4話にも入ってねぇだ。」



ウトウト…


「起ぎろい!!」


パシィーーーン!!


「ヒイィッ!!!」

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