幼少期 第五話
結局、部屋をたまたま掃除しに来たユーリの二つある山のうち一つに手をかけてしまった事でちょっとしたというか俺のお尻が腫れあがる事態になった事をここに報告しておく。
今時。いや、今時という言葉が適当かどうかはわからんな。
あ、今更か。今更お尻ペンペンなんて流行らないと思うの。
若干、叩いている時のユーリの悦に浸ったような顔が怖かった。
おまわりさん、この人です。
そして感覚としては服の上からではなにがなんやら正直分からなかった。
ぶっちゃけなんか堅かった。しかし、その堅さの奥には秘める様に柔らかい、それはもうプリンだよねみたいな感覚が眠っている事も手の平から伝わってきた。
よいぞ、異世界。素晴らしいじゃないか。
ついでに言うと空間移動魔法もゲットした。
この世界での正式名称は知らないがとりあえず『ゲート』と名付けておいた。
わかりやすくて個人的にはいいと思っている。
ただ今回のようなちょっとしたラブコメエロティック事故が発生しないとは限らないので俺は尻をさすりながら思うのだった。
それからも毎日の様に書斎に通い、魔法を強く発動する方法や魔力量の増加方法など色々な本を読み漁っていた。
そんなある日、父に呼び出される。
俺はなにかまたやってしまったのか。ユーリの着替えを覗いていたことがバレたのか。もしくは母が大事にしていたクッキーを食べた事がバレてしまったのか…やばい、心当たりがカーニバル。
「明日、お客様がいらっしゃる。お前と同い年の子もいるから仲良くするんだよ」
にこやかに伝える父に心のそこから安心した。
もう、お尻ペンペンは嫌なのだ。
変な性癖が生まれかねない。
だって俺、見た目は子供、中身おっさんだもん。
しかし、同い年の子が来るというのは興味深い。
この世界に転生というか物心ついてから接した人間は全て大人だった。
中身的には両親の方が年齢が近いので子供と話す事に懸念がないわけではない。
だってなに話したらいいのか分からないし。
そもそもこの世界に来てから人見知りをしないように努力をしていたが、根っこにあるのは極度の人見知り。
会話の糸口を見つけるのも苦手だ。ちゃんと話せるだろうか…。
父に来客者情報を確認したところ、どうやら来客者は領主さまとその娘さんらしい。
娘さんには古くから伝わる勇者の痣が出ているとの事。紋章のような痣らしい。
これは将来、仲間になる相手と出会う事ではっきりとした紋章の形となるらしく現在はぼやーっとなんとなく紋章っぽいよねー程度に出ているらしい。
そこで色々な家を周り、将来同じ仲間として魔王討伐を目指す人を探しているそうだ。
魔王が存在してるとか初耳なんですがそれはと思いつつもうんうん頷きながら話を聞いていた。
そして、嫌な予感しかしない。俺は知ってる。自分が将来賢者になる事を。
勇者と賢者が揃ってやる事って言ったら魔王討伐だよね。まさか勇者と賢者が出会って畑仕事一緒にやるとかにはならないはずだもの。
これは危機的状況だ。俺はのんびり暮らしたいんだ。女の子を侍らしてのんびり悠々自適かつ自堕落に暮らしたいんだ!
ちくしょう!あ…でも将来有望な美少女なら考えよう。そうしよう。
などと思いながら書斎に戻ろうと父の前でぼーっとしていた為、ゲートの魔法を使ってしまった。
「タ、タクト…?それはなにかな…?」
おや、ユーリから報告はいってなかったのかな…?
「あ、これは、そのエイってやったら…」
「信憑性の薄い伝説ではあったがまさか本当に空間転移の魔法というのは存在したのか…」
あ、俺への驚きはもうないんですね。
普通だったらエイってやったら出来たみたいなこと言われた場合は
『そんなこと普通には出来るかーい!』
みたいなツッコミが来るはずなのにもうそこについではわかったと。
お前はそういう事、平然とやっちゃうよねと。
そういう事ですかお父様。
とにかく明日だ。逃げることは出来ない。戦わなければいけない時が男にはあるんだ。
物陰の隅で物言わぬモノリスのごとき存在感を消して立ち向かおう。
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