幼少期 第三話
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「お、奥様ー!!!旦那様ー!!!!ぼ、坊ちゃまが魔法をッッ!!!」
大分、大事なんですね。
俺はただ適当に手をかざして中二病な詠唱をしただけなんだ。
ホントに魔法が出るなんて思ってなかったんだ。いや、そりゃぁ出たらいいなぁとは思ったよ?
でもあんな中二病の詠唱で出るなんて誰も思わないじゃない…。
その後、両親に呼び出されたが特におとがめはなかった。
魔法は本来、教育を受け摂理などを理解した上で魔法のセンスがないとと発動に至らないものだそうだ。
その辺をぶっ飛ばして魔法を成功させたという事で両親的には大変驚きの結果だったそうだ。
だからお咎めはない。魔法を発動させたことについては。
「ちくしょう…なんで草むしりなんだ…」
木を燃やしたことに対するお咎めはあった。
6歳らしくその辺は金銭で解決とか謹慎で解決などと言うのではなく家庭内労働。
普段は庭師がやる庭の草むしり作業をやることに。
ブッチブッチちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返しながらふと昔、実家でもよくやらされた事を思い出す。
草って根っこから引き抜かないとまたすぐに生えてきてしまう。
根本から抜けたと思っても細かく枝分かれした根まで根絶させないとやつらはしぶとく生えてくる。
中には数メートル地下まで根を張るやつもいて駆除が大変だ。
そんな根っこがしぶとい話はわりとどうでもよくて、なんで魔法が発動したのか、未だに謎のままだ。
このままではお空を自由に飛びたいと思っても飛べないし、ロマンティックを止めようと思っても止まらなくなってしまう。
ロマンティックを止める必要があるのかどうかはまだ自分の中で絶賛相談中なわけだが、発動条件などをわかっていなければ賢者という職業なのか称号なのかよくわからんものが宝の持ち腐れになってしまう。
ん~、どうしたものか…本を読むか…?
幸いな事に邸宅には大量の本が貯蔵されていた。
もしかすると『これで明日から君も魔法使い!魔導書~入門編~』なんて本もあるかもしれない。
しかし以前、大量に本が貯蔵されている書斎に潜り込んだ際に父より
「本に興味がある事はいいことだ。だがここにある本は難しい。まずは字を覚えてからだな」
なんて言われて追い出されてしまった。
あれはきっと中にエッティな本が隠されているからだとにらんでいる。
この世界のエッティな本がどんなものか若干の興味があるが文学的なエロスを感じるものなのかもしれない。
いつかくるアレな日の為に父の弱みを握っておいて損はない気がした。
アレな日がなんなのか、そもそもわかってないけど。
さて、そんなエッティな本を隠してるかどうかはどうでもいい。
ブチブチ草を毟ってる俺の横をたまたま通りかかったユーリに声をかけてみる。
「ねーねー、ユーリ!お家の中にある本で魔法について書かれてる本はないかな?」
「魔法について書かれている本ですか…?」
ユーリは顎に手をあて考えている。しっかし美人だなぁ。
髪型は黒髪のポニーテール。そしてまつげも長く、目は若干釣り目気味だがきりりとした印象を与える程度。
スタイルも抜群で出るとこでて引っ込む所は引っ込んでいる。ナイスです。
そして白魚の様な手…白魚が傷だらけだ…。
「ユーリ、その手はどうしたの?」
「ああ、坊ちゃま、お気になさらずに」
「気になっちゃうよ。どうしたのか教えて」
話を効くに洗濯などの水回り関連で手が荒れているようだ。
そうだね、油が飛んでしまうと手がカサカサになり荒れちゃうよね。
夏になれば治りますよなんて苦笑いしているユーリだが痛そうだ。
「ユーリ、僕が早く手が治るおまじないをかけてあげる!手をだして!」
「え、あ、はい」
そういうと僕は若干困ったようにしているユーリの両手をとり昔というか前世に怪我をしたときに母親によく言われたおまじないを唱える
「痛いの痛いのとんでけ~」
その瞬間、ユーリの手は緑色の淡い光を放ちすぐに収束していった。
「光が…暖かい…」
そしてユーリはまた手を見て驚愕する。
「手が…手の傷がなくなっております!!奥様!!旦那様ァァァァァァァアアア!!」
癒しの力も手に入れてしまった。
賢者なのだから当然癒しの力ももっているはずではある。
俺の知ってるゲームでは攻撃魔法、回復魔法、補助系魔法が使える器用貧乏なイメージがある。
だって魔法使いほど強力な攻撃魔法は使えず、僧侶ほど強力な回復魔法が使えない。
そう器用に両方こなすけどすべてが中途半端。そんなイメージだ。
しかし、ますます発動条件がわからんぞなどと俺の中では絶賛謎がひしめいている状況ではあるのだが、ユーリはそれどころではないようでギャーギャーワーワーと俺の手をむんずっと掴んでずるずる引き釣りながら父と母を探している。
うむ、これはこれでなかなか手が取れるレベルの痛みだな。あの本当に痛いので離していただけると助かる。
あ、ちょ、靴の踵が減ってきてない?!
父と母を見つけたユーリは事の顛末を説明している。俺は擦れた靴の踵が底をつき、地肌まで到達し若干踵が摩り下ろした状況となっているので自ら回復魔法をかけていた。方法は先ほどと同じ方法だ。
でも、これ戦場で傷ついた兵士を回復しようとしてるときに『痛いの痛いのとんでけ~』なんて間の抜けた事を言ってたらぶっ飛ばされそうだななんてのも考えていた。
発動条件を早く見つけて一刻も早く痛いの痛いのとんでいけ詠唱を無詠唱に変えないと戦場でのあだ名がきっと大変な事になる。
例えば…そう、『痛い奴』とか。
まぁ、そもそも戦場に行く気はまったくないからそんな心配する必要もないんだけどね。
結局の所、両親からはこの子はもしや天才なのではというちょっとした期待のような眼差しを向けられる程度で話は終わった。
やはり発動条件が分からない。ついでに両親に勉強を頑張る事を条件に書斎の出入りの許可を求めた。少しでもヒントが欲しい。なんでもいい。なんでもいいから。
そんな俺に母は勤勉な息子にいたく感動し許可を出してくれた。
問題は父である。
「三日待て。いや、二日待て」
汗をダラダラかきながら顔色が悪い。
お父様…ガチでエッティな本隠してますね…それも結構な量…
毎日投稿への道は遠いです。
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