幼少期 第二話
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「んぶはっ!!」
奈落の底へ落ちたと思っていたら目を覚ましたでござる。
恐怖に駆られ途中で気を失ったのかとも思ったが、目から入る光はダンジョンの最下層にいる凶悪なモンスターの目の光でもなく、大きく茂った葉の隙間から差し込む光だった。
陽気もいい様でポカポカする。季節的には春だろうか。
適度に風も吹き気持ちがいい。
ん?あれ?あの女神が言ってたのって0歳からスタートだって言ってなかったか…?
自分自身の手を見てみるとなるほど赤ん坊ほどではないが転生前に比べてかなり小さくなってる。
プニプニで鞄を持ってカチカチになった前世とは大違いだ。
そのまま目線を視野が届く範囲で体に向ける。
靴はスウェードだろうか。一応革靴ではあるがテラッテラッの磨けば磨くほど光るんです!僕っ!という感じの革靴ではなく柔らかさを重視したであろう仕様になっている。
洋服も物語などであるような中世の農民というよりは貴族よりな服に見受けられる。
なんとなくだけど。そんな気がする。
ふむ、あとは…想定される年齢だな…
なぜだか分からんが0歳からのスタートではないことはわかった。
いや、わかったのかわからんのか微妙なラインではあるがわかった事にしておこう。
丁度、木陰で寝ていたこともあり、一度立ってみて生前の記憶を頼りに木と見比べおおよその身長を割り出してみることにした。
「ふむぅ、なるほどわからん。」
いや、この木デカすぎない?いや、俺が小さくなってるからそう感じるのかもしれんが…。
えーっとこのくらいの幅が1メートルで…と両腕を広げた時に気が付いた。
そらぁ、身長が縮んでいれば手の長さも短くなってる。
以前の1メートルの感覚とはさもありん違うにきまってる。
当たり前の事に気が付いた時に俺は愕然とした。
しかし、そんなことはどうでもいい。
身長なんてどうってことない。気にしない。
前世でも平均身長しかなかったんだ。169センチ。
1センチたりねぇななんて日々思ってた。どうでもいいんだけど。
でももうチビは嫌だななんて思っていたらここまで育った記憶が頭を駆け巡る。
駆け巡ると言っても名前、性別、年齢、交友関係、両親、そして付随するもの。
どうやら俺の名前は『タクト・アバンス』
アバンス家の長男として生まれ現在6歳の男の子。そこそこの中流貴族の子として生まれ両親の愛情にも恵まれている。
貴族としては珍しい一人っ子だが現在、母親は妊娠中。もうすぐ兄になるという。
っておいちょっとまて。0歳からスタートはどうしたんだ。
設定がバグったのかと思ったがそうかと。
「物心ついた時ってこんな感覚なのか」
たぶん違うけど自分を納得させるようにつぶやいた。
転生系の読み物やなんやらを見ていると大体こういう時って自分に何が出来るのか確認するのが常である。そんな気がする。
とりあえず魔法が使えるか手を前に出して近くにあった胴回り30cmほどの木に向かいそれっぽい事を言ってみる。
「地獄の業火よ!!」
すると魔法陣が展開されドギューン!!!
…とはならなかった。なにも出ない。なんだったらちょっと気合を入れたせいで放屁である。
やはり修行はある程度詰まない魔法は使えないかなどと傍から見れば魔法使いごっこを楽しんでいるちょっと痛い小学生にみえただろう。
メリメリメリメリ…
「!?」
先ほど手をかざしてそれっぽい事を呟いた対象、胴回り30cmほどの木の内部から不吉な音がし始めた。
し始めたと思ったら内側から爆発した。
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
爆発は思いのほか局地的に上部へ円柱状にあがり、高さはおおよそ10mほどまであがっただろうか。
わからん、もしかしたら自分自身の身長のせいで高く見えるだけで実際は3mとかかもしれん。
あまりの突然の爆発とタイムラグでわー、ひばしらきれい状態になっていると
「坊ちゃまー!!!!ご無事ですか!!!」
メイドのユーリが走ってきた。メイドのユーリは例にもれず美人でありメイドである。
眼鏡は俺が似合うと思うよなんてショタスマイルで言ったらかけ続けるというショタ魂溢れるメイドである。
生まれた当初からいるユーリだが生まれた当時、14歳かなんかだったのでまだ20歳である。
素晴らしい。なにが素晴らしいかは各個人の趣味嗜好があるだろうが俺的には素晴らしい。
「坊ちゃま…これは…」
それはそうだよね。爆発音がしたと思ったら俺が爆発音のすぐそばでぼけーっと伝ってるし、目の前の木はメラメラもう炭になりそうな勢いで燃えてるんだもん。なんですかって聞きたくなるのはわかる。でも俺、怒られたくないんだけど…。
しかし、こういう時は正直に言わなければ後々めんどくさい事になる事は前世の経験上知っている。
嘘には嘘を重ねなければいかず、最終的には着地地点が分からずに自爆する事になるんだ。
だから…俺は…
「ご、ごめんなさい…ユーリ…ぼくね…ちょっと、魔法がつかなえないかなとおもって手を前に出してエイってしたら木が燃え始めちゃったの…ごめんなさい…」
うつむき加減、かつ上目遣い、心細いよ、なんだったらちょっと涙目だよという俺なりにショタとはこういうものだ!を前面に出して謝罪してみた。怒られるのは嫌だ。
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、坊ちゃまが魔法を!!!!?」
あ、驚くのそっちなのね。俺なりのショタ努力返して。
「お、奥様ー!!!旦那様ー!!!!ぼ、坊ちゃまが魔法をッッ!!!」
大分、大事なんですね。
毎日投稿への道は遠いです。
頑張って更新していきます!