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遊園地前

 翌日、ライトさんを見送った後に俺達はクレールの言っていたアイスの工場見学に行く。

 そして問題のそのアイス工場なのだが……


「これ、ガリ〇リ君だよな」


 1番売れているというアイスキャンディーの形がガリ〇リ君の大きさに似た長方形のアイスだった。

 入場記念と言う事で最初に好きな味を1本もらったのだが、パッケージの柄はシャチと流氷だし、商品名の流氷アイスキャディーっと言う商品名だったので丸パクリと言っていいのかどうか悩む。

 それに似てるのは形だけで食べてみるとソーダと言っても何か味が随分と濃い気がする。あと氷の部分が本家より荒っぽい気がするのも気のせいか?


 そんな風に考えながら工場を見学する。

 ブランとレオは普段見慣れない工場で使われる機械と雰囲気に当てられて真剣に見ている。

 俺もこういう工場見学系好きだから気持ちは分かる。なんかつい見ちゃうんだよね。


「この果汁を搾り取る機械。過程で自然に種と皮を分けるというのは凄いな。これをもし果樹園が成功した時に購入したい物だ」

「必ず成功させますから予約を入れておきましょう。ただしブドウやマスカットのように小さなものは難しいようですね。まずはリンゴ用の物を検討してみてはいかがでしょう」


 王様達はこういった機械を見て自分の国にも導入するかどうか考えている。

 そう言えば家にはこういう工場系の機械ってないよな。基本的に収穫とか手作業だし、あくまでも育成系だから加工する機械とかないから。

 でも考えてみるとメニュー1つでほとんどの事は出来るし要らないか。ゲームチートスゲー。


 おまけで他のアイスの所も見学して、見学終了後にまたアイスをごちそうしてもらう。

 ガリガリは食ったので次はハーゲ〇ダッツみたいな奴にしよ~。

 みんなで食べているとライトさんとクレールがエルちゃんに送られてやってきた。


「みな様お待たせしました」

「ドラクゥル様、クレール様とライト様をお連れしました」

「ありがとうねエルちゃん。それじゃ遊園地に行こうか」

「はい!」


 そう言ってクレールはそっと俺の隣に立つ。

 いや、近いと言っても車で移動するんだから隣に来られても困るんだが……


 そう思いながらリムジンに乗り込み、遊園地に向かう。

 遊園地は簡単に言うと大きく分けて2つのエリアに分けられる。

 1つは子供と一緒に遊べるファミリー向けのエリア。定番の観覧車やコーヒーカップ、メリーゴーランドなどの子供と一緒に遊べるアトラクションがメイン。

 2つ目は大人も楽しめる絶叫系エリア。様々なジェットコースターやフリーフォール系のアトラクションが集中している。まぁ絶叫系と言ってもお化け屋敷的な物もあるからこっちもなんだかんだで全員で乗れるものも多い。


「わーい!!ゆ~えんち~!!」

「転ぶなよ、レオ」

「あまりはしゃぎ過ぎないように」


 はしゃぐレオに注意する王様達。

 俺はエルちゃんにお礼を言ってから見送り、俺達もゲートに向かうのだが……


「………………」

「………………」


 何故かクレールが早くも俺の隣りを陣取り、誰にも近寄らせない雰囲気を出しまくっている。

 特に被害が出ているのはライトさんだ。まるでライトを牽制する様に……いや、牽制しているなこれ。少しライトさんが俺に話しかけようとしているだけなのにクレールがライトさんを威圧、結果視線を漂わせるだけで何も言えない。

 こんな事今まで……いや、何度かあったな。

 デリケートな進化条件のモンスター、分かりやすく言うならクレールの妹弟にあたるSSSランクのモンスターを育てる時などにこんな風になっていた気がする。

 結構独占欲が強いというか、俺の大切な物にぴったりと側に居たいという感情はクレールが1番引き継いでしまったのかも知れない。


 それを見ていたブランはクレールに呆れながら言う。


「クレールお姉ちゃん。ライトお姉ちゃんのことイジメダメ!パパのお友達なんだから意地悪しちゃダメだよ」

「ハク。この人はある意味1番危険な存在よ。言いたい事、分かるわよね?」

「分からない。ライトお姉ちゃんは良い人で、ハクが1番分かってる。止めないなら――喧嘩するよ」

「あらあら。2000年間見ない間に大きくなったのね――態度だけは」


 クレールとブランの気迫はそのまま周囲に影響を与え、強い日差しと周囲が湿気っぽくなる。

 それにより周りの人も汗をかき始めるが、本当にこの日差しと湿気っぽさから来る物ではないと容易に察する事が出来る。

 だがこんな所で喧嘩させないのもおれの役目だ。ノワールとヴェルトが止めに入ろうかと俺に視線で訴えるが大丈夫だと視線を返す。

 そして俺は普段出さない声を少し意識して2人に声をかける。


「おい。テメェら」


 怒気を含ませた声を少し言っただけで2人は大きく肩を震わせた。

 そして油の切れた機械の様にぎこちなく2人は俺の方を向き、ダラダラと汗を流す。この時点で強い日差しと湿気は消え去っていたが、これほどの人が多い所で喧嘩しようとする事はダメだと教え込ませないといけない。

 アルカディアならともかく、普通の人が大勢いるここではダメだ。


「続けるなら、殴るぞ」

「「パパ(お父様)ごめんなさい反省してますだから殴らないで下さい」」


 全く……うちの子達は俺に怒られるとすぐこれだ。何故かみんなこんな感じで同じセリフを言う。

 まぁ殴るって脅してるからこんな反応になるんだろうけどさ。

 ため息をこぼしてから2人の頭を撫でながら言う。


「すぐそうやって正気に戻るんなら最初からするな。あとクレール。お前もライトさんを邪険にするな、今までハクの事守ってくれたんだからわざと悪い態度とらない」

「はい……お父様」

「謝れるんならよし。とりあえずライトさんに謝ってからみんなで遊ぶぞ」

「……はい」


 クレールがライトさんにどのように謝るのかまでは興味ないので少し離れた王様達に謝罪する。


「すみません。楽しい時間を作る時にくだらない喧嘩模様を見せてしまって」

「あ、いや、問題ない。しかし……やはり父親なのだな」

「父親、ですか?」

「ああ。ヴェルト様と同格である神を叱る姿は確かに親の姿でした」

「そりゃ当然ですよ。みなさんから見ると神様なのかも知れませんが、俺から見ればただの子供なので。とりあえず午前中にアイス食べたと言ってもすぐに腹減っちゃいそうですから、先にフードコートで食べてから回りませんか?」

「それもそうだな。それでフードコートにはどんなものがある」

「えっとですね……ジャンクフード系が多いみたいですね。ハンバーガーにホットドック、あ、お好み焼きとかタコ焼きもあるじゃん。俺こっちにしよう」

「おこのみやき?たこやき?どちらも本国では聞いた事がないな。美味いのか?」

「お好み焼きの方は……お惣菜系のホットケーキみたいな感じですかね?生地はパンに使っている小麦粉とかと一緒ですからあまり抵抗感はないと思います。生地にキャベツとか色々混ぜて、肉と一緒に焼いたりシーフードを一緒に焼いたり。ところでソースってどうなってるんだろ……青のりとかつお節は必須なんだが……」

「かつお節も青のりもちゃんとあります。どちらも海産物を加工した物なのであります」

「クレール。ちゃんと謝ってきたか」

「はい。謝罪して参りました」


 まだ何か納得できていない所があるのか少し拗ね気味に言う。

 一体何に拗ねているのか、さっきのブランとの会話もよく分からない点が多いし、一体ライトさんのどこが危険なんだろう?

 そう疑問に思いながらも昼飯はお好み焼きに決まった。

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