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普通の旅は長い

 パレードに関しては結構派手に行なったが、移動に関しては馬車たったの2台と言う少なさが目立つ。

 どうして見た目が派手なのにこうなってしまったかと言うと、俺のアルカディアに通じる穴を隠すためだ。

 何でもホワイトフェザーの上層部では俺の事を恐れている人がとても多いそうだ。俺の機嫌を損ねれば国が終わるなどと言う噂がどこからか出来たらしい。これの真相は、俺の機嫌を損ねるとブランを連れてアルカディアに帰ってしまうかも知れないっと言う話に尾びれが付いてしまった結果だそうだ。

 これをライトさんは都合よく利用し、最少人数でグリーンシェルに行けるように調整したとか。前に言った見栄だ何だと言う奴はウリエル達護衛の数でカバー、それに教皇自ら行くと言う事はそれだけで十分凄い事らしいので後は向こうが勝手にぺこぺこするだろうとの事。


 そして旅の馬は普通の馬を使っているのは早くグリーンシェルにつかないようにしているため。早く着いた方がいいんじゃないの?っと言う疑問は簡単に潰された。

 グリーンシェルにも教皇を出迎える準備やら色々あるので早く着き過ぎても迷惑になるだけだそうだ。手紙には1ヶ月後に到着するだろうっと書いたそうなので1ヶ月は時間が要るらしい。

 何であやふやなのかと聞くと、馬車で移動している分馬の休憩とか、普通なら護衛をしている騎士達の休憩とか、色々と問題が起こる事の方が普通なのできっかり1ヶ月後についたら十分早い方だそうだ。


 個人的にこの辺に違和感。

 だって日本じゃ仕事で何時に来てくださいとか、学校でも5分前行動とか、予定の時間よりも先に着く事が好ましいとされているからだろうか?

 それとも車とか電車とか、安定した乗り物がないからかな……きっかり時間通りに着く電車やバスの凄さを知りましたよ。普通こう言うの異世界じゃなくて外国とかで感じる奴じゃないの?何で異世界で感じるんだよ……


 まぁとにかく1ヶ月間のゆっくりした旅と言う事になる。急いでいるのにゆっくりしてていいのかな……


「それは相手方の事情です。こちらは相手の頼みを聞いた側ですから堂々とすればいいのですよ、ドラクゥル様」

「そう言うもんかね~」


 そして現在。片方の馬車をアルカディアに片付けて、元々俺達が座っていた馬車にライトさんが乗っていた。

 馬車の旅と言うのは思っていたよりも優雅ではなく、狭いしケツは痛いし、めっちゃ揺れるしで正直乗り心地はそんなに良くない。これじゃ時間がかかって当然だわ。

 しかしこれでも実はまだいい方らしい。冬の影響でホワイトフェザーとグリーンシェルを結ぶ道はがら空きだし、雪のおかげで揺れないとの事。


 いや、十分揺れてますよ。母親の車の運転が荒くて後部座席に乗ると毎回酔っていた俺ですが、酔う以前の問題で揺れ過ぎなんですよ。

 ガタガタ揺れて全然快適じゃない。

 ついメニューから座布団取り出しちゃったよ。


「これで乗り心地がいいとか、俺二度と馬車に乗らないかも知れない」

「父さんにとってはこれでもダメか……」

「パパは贅沢だから。こうなるとドワーフかグレムリンを見付けないとダメかもね。そして馬車の改良をしてもらうとか」

「それが1番だろうな……」


 車の基本的な作り方って俺覚えてたかな?俺そんなに車とかバイクとか好きだった訳じゃないし。

 一応アルカディアにも鉱山とかあるしな……掘ってないから資材とか全然補給で来てないし、やっぱりドワーフ達は必須だな。

 でもドワーフ達に頼む時は酒が必要……あいつ居ないかな~、それ以前に生きてるよな?見た目おっかないから討伐対象になってないといいけど。


「取り敢えずみかんでも食うか」

「あ、ブランも食べる」

「私もいただく」

「1人2個ずつでいいよな?ライトさんも2個でいい?」

「みかん……とはどんな物です?」


 どうやらこの世界にみかんはなかったらしい。

 みかんを渡して俺達が食べる所を見せるとすぐに自分で剥いて食べた。俺達は慣れているから星型と言うか、ヒトデっぽい形になるけどライトさんは慣れていなくて皮が細かく散らばってしまっているのでゴミ箱を渡しておいた。

 そして初めて食べるみかんにライトさんは随分と目を輝かせる。


「これは!ずいぶん食べやすくて甘いオリンですね!!この手のひらサイズなのが持ち運びもしやすくてとてもいい」

「おりん?」

「オリンって言うのはこの世界のオレンジみたいなもの。でも皮は分厚くてグレープフルーツに近いかな。味も甘いよりも酸っぱい方が強いからやっぱりグレープフルーツかも」

「へ~」


 ブランの説明に俺は頷いて返す。

 この世界にはグレープフルーツみたいなのが主流なのか。確かにグレープフルーツの皮って分厚いもんな。でもこの世界でフルーツってだけで結構値が張る高級品扱いだよな。

 前にクウォンさんに詫びにフルーツの盛り合わせを渡したら大事に食べるって言ってたし。


 そう言えば……俺この世界の食べ物にあんまり詳しくなくね?

 基本的に食べている物はアルカディアで育った野菜とか肉だし、大雑把に野菜とか分かっても名前まで知らない。この世界の物を食べたとしても基本的に本当に良い高級食材ばかり。具体的にはライトさんにガブリエルの飯を食わせてもらった時とか、ヴラドの屋敷で食べた物とか。

 世間一般の食材をよく知らねぇ!!


 そうなる時になるのはオリンと言う果物の食べ方。

 グレープフルーツと似ていると言うがそのまま食べるのだろうか?


「そのオリンって言う奴はどんな風に食べるんですか?」

「どうと言われても普通ですよ。皮も薄皮も剥いて砂糖をかけて食べます」

「え、それ本当においしいんですか?」

「はい。オリンを食べる時は大抵この食べ方ですね。砂糖も使うので贅沢品と言われていますが、これぐらいお金があると言うアピール以外ではあまり役に立ちませんね」

「マジか……俺グレープフルーツに砂糖かけた事ねぇ……」


 確かに皮は苦いが砂糖をかけて食べる程ではないだろ。それともこの世界だと砂糖をかけないといけないぐらい美味しくないと言う事なのだろうか。

 ライトさんは俺が砂糖をかけないと言う言葉に信じられないと言うように目を大きくしながら言う。


「オリンを砂糖なしでですか?あんなに酸っぱいオリンを酸っぱいまま食べれるだなんて信じられません」

「そこまでですか」

「パープルスモックでもオリンはあったが、大抵は砂糖漬けに加工されていた。そのままではとても食べられるものではなかったから」


 確認する様にノワールに視線を送ると肯定された。

 まさかこの世界のグレープフルーツがそこまで酸っぱい物だったとは。

 こりゃアルカディアに帰ったらグレープフルーツの砂糖なしを食べさせるしかない。まぁみかんとかの方が食べやすいって言うのは事実なんだけどさ。


「ところで今日はどれぐらい進んだら休みます?」

「そうですね……馬の体力もありますし、15時に休むとしましょう」

「分かりました。それじゃあ馬車ごとアルカディアに移動した後、部屋に案内しますね」


 流石にうちには教皇をもてなす様な凄い部屋はないが、食材はどれも高級品扱いなので食べ物には自信がある。

 ガブリエルに本気出せって言っとこ。

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