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若葉の旅立ち

 ホワイトフェザーのみなさんと一緒に帰ってきてから俺はさっそくアルカディアで若葉が旅に出る準備の手伝いをする。

 ぶっちゃけると毎日帰ってきて安全に寝泊まりできるようにしておきたいが、それでも緊急時と言うものも存在する。

 そんなときのために俺は若葉用の子供達を準備しなければならない。

 なので俺は若葉に聞きながらどんな子を連れていきたいか確認中。


「それでどんな子が欲しい?」

「そう……ですね……やっぱり連絡用に素早く動ける子が1体、私と一緒に戦ってくれる子が1体いると助かりますかね」

「連絡用って毎日帰ってきてちゃんとベッドで寝た方が休めるんじゃない?」

「いえ、ここは拘ってすぐに帰ってくるつもりはありません。確かに現実は夜大変だったり、食べ物で困ったりしますけど全部甘えるわけにはいきません。それにサバイバル系アドベンチャーゲームなんですからそこら辺に生えている草が何なのか調べる能力もあるんですよ?」

「謎解きアドベンチャーとは聞いてたけど、サバイバル要素もあったんだ。でも命が大切だからちゃんと危なくなったら帰ってきてよ?そのためにも家の子を預けるんだから」

「ありがとうございます。何から何まで……」

「別にいいよ。俺が依頼したんだから。それでどの子を連れていく?」

「それじゃ……水属性の子と風属性の子でお願いします」

「了解」


 そういわれた通り俺は水と風のベビーを生み出す。

 水は水滴のような丸い姿で手足のようなものはない。全身ぷにぷにとしていて気持ちいい。

 風は眠たそうな目で背中にちょっと苔のようなものがのっかっており、近くで嗅ぐと良い芝の匂いがする。


「か、可愛い……」

「この子たちの面倒は若葉がしてくれ。そうした方が懐いて素直に言う事を聞いてくれるだろうし、性格も分かればもっといい関係を築けると思う。それぞれどんな子に育てたいかもう決まってる?」

「はい。この子達がいいと思いました」

「どれどれ……なるほど。この2体を選んだか。ランクが高い分すぐに育つことはないけど確かに良い感じではある」


 若葉が選んだモンスターは『ウンディーネ』と『ビーバード』だ。


 まずウンディーネはみんなご存じ水の精霊。

 形状は決まっておらず、相手が求める形になるので不形状型のモンスターだ。

 スライムのように水滴の姿だったり、幻想的な女性の姿になったりすることができる。

 もっと簡単な移動手段として水稲の中に入れて持ち歩くことも可能だ。

 弱点は基本的に水さえあればどこにでも生存可能だが、代わりに水のない砂漠地帯や熱の強い火山地帯では厳しい。

 他にもウンディーネのコアである体内の小さな赤い球を破壊されると死んでしまう。


 ビーバードとはアルカディアにおけるハチドリみたいな姿の鳥だ。

 あまり戦闘能力は高くないが、飛行速度はかなり高く、身体の小ささも相まって簡単には捕まらない。

 そのため偵察に向いており、何かを確認するようなことがあれば便利かもしれない。

 ただしウンディーネなどに比べると目立つのはやはり弱さだ。

 高速で動けるがやはりそれだけで魔法も使えないという意味では使い辛いかもしれない。


 一応そのことを改めて若葉に説明、しかし若葉は構わないと言った。


「確かにステータスとかいろいろ他にもできる子がいましたけど、私の旅にはこの子達が1番いいと思いました。ですのでこの子達を育ててウンディーネとビーバードにしたいと思います」

「分かった。それじゃこれがウンディーネとビーバードに進化させる最短育成方法だから見ておいて。それから旅に必要な物とかも要望を聞きながら用意するからちょっと忙しくなるけどいいかな?」

「本当にありがとうございます。でもそれってゲームに比べると本当にすごくありがたい事なんですよ」

「そうなの?」

「だって最初の最初なんて食料なしのいきなりサバイバル。持ち物はナイフと6発限定の拳銃、水筒に入った水だけなので食料とかいろいろ準備してもらえるだけでも本当に本当に……」

「わ、分かった分かった。だから泣かないでくれよ」


 若葉は1人だったころの食料事情の話をすると大抵泣く。

 俺は戦闘能力が全くなくて心配だったが、若葉の場合は安全な寝床と安心して食べれられる食べ物関係に困っていたらしい。

 そのためこの話をすると思いだし泣きする事が多い。

 本当に苦労したようだ。


「とにかく寝食に関してはこれからもサポートしていく。ぶっちゃけ子供向けアニメみたいに疲れたから家に帰ろうってくらい気楽な感じでいいと思ってる」

「そんな夏休みの映画ドラ〇もんみたいなノリで大丈夫なんですかね?」

「それくらい気楽に言って帰ってきてくれた方が個人的には安心する」

「まぁ食料などに関しては結局お世話になりますし、そのくらいのノリでいいんですかね??」

「個人的には気を張り詰めて無理に行う必要はないから」


 そんな話をしながらまず2体のベビーモンスター達を若葉が希望するモンスターに進化させることから始めたのだった。


 ――


 ベビーモンスター達が進化するのを待ちながら若葉の準備を進め、旅立ちの日。

 想像以上に人が集まった。


「えっと……この人数はいったい?」

「いや、前から言ってたように今日若葉が旅に出るってのは伝えていたんだが……見送りだと」

「多すぎません?食料とかなくなったら普通に取りに来るつもりなんですけど」

「俺もその辺の事ちゃんと言ったよ。でもやっぱり外をたったの3人で旅するのは危険だから、だってさ」

「あはは……嬉しいけどちょっと困るな~。そんな大げさな物じゃないのに」


 若葉は思っていた以上に見送りが多い事に困りながらも喜んでいる。

 そしてブランが若葉の前に来て小さな6つの物を手渡す。


「これ、みんなで用意したお守り。持って行って」

「ありがとうブランちゃん。あ、日本のお守りだ。懐かし~」

「お守りの中にね、ブラン達の鱗が入ってるの。ブランのは小さい羽根を入れておいたよ」

「ありがとうブランちゃん。ありがたくもらっていくよ」


 若葉はお守りをしまってから改めてリュックを背負いなおし、ウンディーネとビーバードを連れて旅に出る。


「それじゃみんな、行ってきます!」

「「「「「行ってらっしゃい!!」」」」」


 こうして若葉は旅立った。

 若葉のリュックは見た目こそ普通のリュックであまり多くの荷物が入らなそうだが、入っているのは水と旅に使う火起こし器や方位磁石、地図などが入っている。

 他の食料や貴重品に関してはゲーム能力でしまえるらしい。

 俺のメニュー画面にいろんなものをしまっているのと似たようなもののようだ。

 そちら側に重たい物などは全てしまっているので見た目以上にちゃんと食料と水は持っている。


 ウンディーネとビーバードを連れて旅だった若葉。

 俺達がなぜこの世界に召喚されたのか、そのクリア方法を見つけてくれるかもしれない行動に俺は希望を見ていた。

 まぁこの世界には子供達も知り合いもたくさんいるので、この世界で生きるのが嫌だ~とかは一切ないんだけど。

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