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お見合い第一回終了

 その後レオと王子君はその後の雰囲気はよくなっていった。

 共通の話題でも見つかったのだろうか?


「レオとロッゾ王子の関係はよくなっている様だな」

「そのようですね。王様としては嬉しい事でしょうか?」

「王としてはな。父としては……少々複雑だ」

「素直に喜びましょう。カーディナルフレイムの王子と結婚出来ればこちらとしても嬉しい事ではありませんか」


 王様に女王様が言う。

 大国同士の結婚となれば他の大国も祝福してくれる事だろう。

 まぁ俺にとっては知り合いの見合いでしかないけど。


「関係が良いのは良い事です。で、2人はちゃんとそういう意味で意識し合っているので?」

「その辺りは……レオがまだまだと言う事だ」


 だろうね。

 ようやく仲良くなって来た所だし、その先、異性として意識するのはもうちょっと先なのかも知れない。


「ところでお見合いって言うのは今回だけで?」

「いや、もう何回か行うつもりだ。ロッゾ王子もそろそろ帰国しなければならないし、そう簡単に決める物ではない。次回の見合いはこちらからカーディナルフレイムにレオを送る事になるだろうが」

「いい切っ掛け作りなったのなら何よりです」

「その時はまた――」

「本業は農家なのであまり頼らないようにしてくれると嬉しいです」


 またこの見合いに付き合うなんて正直ごめんだ。

 慣れない事に疲れるし、気疲れする仕事はこれっきりにしたい。


「そうですか。少し残念です」

「すみません。やっぱりこういうのは慣れないものでやっぱり……」

「こちらも無理を承知で頼んだのだ。今回上手くいったのだから良いではないか」

「そう言ってくれると助かります」

「それとは別になのだが……」


 王様が改めて頼むような声色になったので何だろうと思いながら姿勢を正す。


「レオとロッゾ王子が使っている布団。私達にも売ってくれないだろうか」


 ってそれかい!

 そのくらい真剣な表情にならなくてもいいだろうに。


「布団くらい譲りますよ。おいくつ欲しいんですか」

「私と妻の分で2つ。それからきちんと払う」

「別にお金はいらないんですけどね。でもお好きなサイズや柄などを教えてください」

「オーダーメイドならよりキリンとしないといけない気がするが」

「その辺りは特に気にせず。でも布団を新しくしたいって言うのはどうしてです?」


 メモを渡しながら同時に布団の柄のサンプル、布団の生地のサンプル本を取り出しながら聞く。


「用意良いな」

「まぁ一応あるので好きに選んでください。それで何で?」

「いや、大した事ではないのだが、レオとロッゾ王子が良い布団をもらったと聞いたのでな、少し触らせてもらったが、かなり良い布団の様だったので欲しいと思った」

「なるほど。ではお好きな色と柄をお選びください。こちらで作れるのでご自由にどうぞ」


 女王様はサンプルを見ながらどのような布団の柄にするか選んでいる。

 その間に王様はまた真剣な表情になって言う。


「最近のホーリーランドの動きだが、そちらはどう捉えている」

「どうって……一般的に危険と言われている食人種がちりちりバリバラにした愚かな連中、と言うのが俺の意見ですよ。特にベートのような集団で狩りをする連中が各国に散ったのは非常に痛いかと。そのくらいですね」

「なるほど。では元々パープルスモックで作られていた魔術に関する情報は?」

「……数百年かければどうにか解読できるのではないか、ですね。彼らが持ってきた資料を見る限りこの世界では使われていない単語を多用していたのでたとえ正しく解読出来ていたとしても、その単語からどのような効果、どのような結果が生まれるのか理解する事はできないでしょう」


 元々科学用語と言うのは日本人にも分かるように無理矢理変換した言葉と言ってもいいくらいだ。

 ヨーロッパで発見され、直訳したけど日本人にはさっぱり理解できない言葉だから日本人にも分かるように言葉を変えた。

 それが異世界で使われていない言葉ばかりなのだから何かしらの暗号、と思う方が自然だ。

 暗号ではないのに暗号と勘違いすると言うのはさらに街道を長引かせるきっかけになる。


「アルカディアで使われている言葉を多用している、と言う事か」

「そうです。こちらの農業でもリンや窒素などと言う言葉を使っていますが、それは俺が説明する事で理解できたはずです。言ってしまえばどこからともなく急に出てきた新しい単語、それをすぐに理解しろと言うのはあまりにも酷です。今使っているリンと言う単語もこの世界の人が見付ければ違う言葉で広がっていた事でしょう」

「貴殿の子供達が説明する可能性は」

「ないですね。この大陸に居る子供達はほぼアルカディアに連れて帰る事ができました。まだ見つかっていない子供達は海に居るか、他の大陸に居ると考えられています。なのでこの大陸に居る子供達が彼らに協力する事はないでしょう」

「なるほど。だが気を付けた方が良い。彼らはアビスブルーに協力を要請している」

「……なるほど」


 確かにアビスブルーなら同じ言葉を使っているし、解読もよりスムーズになるだろう。

 でも技術職はクレール達に口止めさせていると言っていたし、仮に技術職でない人が話したとしても研究者が求める答えは出る事がないと言っていた。

 俺も科学用語を詳しく説明しろと言われたらできないし、結果をしていたとしてもその過程は絶対に答えられない。


「大丈夫だと思います。技術職の人には簡単に会えないでしょうし、普通の人にどうしてそのようになるのか説明しろと言われても出来ないでしょうから」

「そうならいいが……」

「まだ不安が?」


 そう聞くと王様は声を潜めながら言う。


「近々ゴブリン帝国に攻め込むつもりだと私は考えている」


 ……それは穏やかな話じゃないな。


「なぜそのように考えられるのですか」

「ホーリーランドから10名の通行許可を求めてきた」

「通行許可?それでなぜ王様の耳に届いたんですか?」

「武器を持っての通行だからな、軍事行動だと思われくなかったのだろう。特に例の勇者が混じっていたからな」

「……好戦的な方ですか」

「そうだ。故にこちらはグリーンシェルに対して何かを行うつもりではないと遠回しに告げてきたのだ。そして目的はゴブリン帝国の偵察だそうだ」


 なるほどね……それくらいの余裕は出て来たって事か。

 食人種が散らばったと言っても数そのものは確かに減っているし、あとは冒険者でも大丈夫だと判断したのだろうか。


「情報ありがとうございます。ちなみに少年の方の勇者は参加するんですか?」

「通行許可を出す際にもう1人の勇者の名はなかった。偽名を使っている様子もなく、強力な魔物を倒すパーティーメンバーなので隠しているとも思えん。2人の勇者は仲が悪いと聞いているしな」


 勇者君は不参加か。

 最近戦闘系で勇者君の名前を聞かないが、ホーリーランドで何してるんだ?

 とにかくこの情報は重要かもしれない。


「ドラクゥル様はあまり深く考えなくてよろしいのではないでしょうか。そう言った事は我々為政者に任せておけば良いのです。そして布団の柄とサイズはこれが良いのですが」

「えっとこれは……金の刺繍ししゅうが入っているのでちょっとお時間いただきますがよろしいですか?」

「構いません。よろしくお願いします」

「それから……このサイズだと2人用の様に感じますが」

「おっとはこういった話に関わってくれないので2人分でお願いします」


 それでいいのかと王様に視線を向けると、頬をかいて困った様な表情をしていたが何も言わない。


「分かりました。ではダブルベッドサイズで金の刺繍入りですね。承りました」

「お値段の方はどうなっているのかしら?」

「こちらはプレゼントさせていただきますのでお代は結構です」

「……もらい過ぎの様な気がするけど、それならありがたくいただきます」


 引いてくれて助かります。

 だって値段設定なんてしてないからおいくらと聞かれても答えられない。

 今度クレールとかと相談して商業ギルドに確認してみようかな?

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