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ドラゴンの糞の利用方法。後編

「それではまず私から質問させていただきます」


 手を上げながら言ったのはレオ。

 まずは何を聞かれるんだろうな。


「各種族のドラゴン達はどこにいますか?」


 ……そこから?


『えっと、各種族は自分の属性、水なら海、火なら火山、土なら森と言う感じで自分達の好む場所を見付けて巣をつくります。なので大雑把にこの辺り、としか言うしかない状況です』

「では調べて見付けるしかないと」

『そうですね。特に発見が困難なのは風系のドラゴンです。彼らは風の様にあちこちに飛んでは少し休んでまたどこかに行くの繰り返しなので見つけたとしても安定してそこに住むのは繁殖目的、つまり結婚ですね。結婚して子供を残す時以外風系のドラゴンは定住しないので非常に難しいです』


 闇と光系は一度そこに住むと定住する方が多いから一度見付ければ糞くらいならこっそり回収する事が可能だ。

 それ比べて風の方はな……本当に自由気ままと言うか、なかなか定住しないんだよな……


「あまりドラゴンが定住すると言う話はあまり聞かないのですが?」

『え、そうなの?マジで??』

「はい。定住しているのはそれこそカーディナルフレイムの火のドラゴン達だけで他のドラゴン達はみな定住していない状態で発見される事の方が多いです」

『おっかし~な。モテるドラゴンの条件の1つに住み心地の良い巣を見付けるっていうのも入ってたはずなんだけどな……ちなみに巣を作ったり発見するのはドラゴンの雄の仕事でいい巣を持っているとメチャクチャ雌のドラゴンが寄ってきます。いわゆるハーレム状態ですね。雌も安心して卵が産める環境、そしてエサが豊富な場所に巣を持っている雄だと安心できると言う事ですね』


 そう言えばこの大陸にいるのうちの子ばっかりだよな……

 SSSランクの子達はここで人間達と一緒に生きている事を選んだから?もしかして本当はこの大陸はドラゴン達にとってあまり適した環境ではない?

 他の大陸でヘビーを発見したようにドラゴン達は他の大陸、もしくは島に巣を作っている可能性が高い。

 今調べてもらってるのは主にこの大陸の周辺の話だし、この大陸でみんな見付かったらもっと外に目を向けてみよう。


『ドラゴンの生態から話を戻して、何か質問は?』

「ではわたくしから。ドラクゥル殿はその肥料の製法を公開していただけるのでしょうか。世界最高の肥料の作り方を」

『公開するのは構わないのですが……かなり難しいかと』

「それはドラゴンを発見する事が、でしょうか」

『いえ、既に発見はしていますよ。――みなさんが神と崇めている方達の排泄物を回収すれば問題ありませんから』


 何度も言うが最高の肥料を作るにはどうしてもモンスターのランクが関係してくる。

 だから世界最高品質の何かを作るとなれば必ずと言っていいほどブラン達の協力が必須となってしまう。

 これがランク制度のあるゲームの難点だよね。

 どれだけ気に入っている、使いやすいと言ってもランクと言う大きな壁に阻まれ、どうしても下位ランクの物は負けてしまう。

 俺がそう言うとブラン達の事を知っている人は顔を引きつらせ、知らない人達は不思議そうに首を傾げている。


『昔の六大大国、つまりパープルスモックを含めた大国で崇めていた神、彼らの排泄物を利用したのが私の知っている世界最高品質の肥料です』


 俺がそう言うと神様の正体を知っている勢は顔を引きつっている。

 そりゃ崇めている神様のうんこ使うと聞けばまぁ……仕方ないかな。


 でも一応だが神様の正体に関してはほとんど隠されている。

 ………………隠されてるよね?

 最低でもルージュ、クレール、クラルテ、ノワールの4人は神様である事を隠しているはずだ。

 ブランに関してはお祭りとかで顔を出してるし、ヴェルトに関しては前の出産で思いっきり姿を見られたから仕方ない。


 あれ?

 それじゃ俺の発言は神様がいる肯定になるのか?

 信じるか信じないかは個人の主観によるだろうが、あんまりこういう事言わない方が良いのかな……


「つまり……現実的に世界最高品質の肥料を作るのは無理だと」

『そうなりますね。現在のパープルスモックはホーリーランドに侵略されて神様を発見できたと言う話を聞きませんし、どこにいるのか調べる所から始めないといけませんね』


 実際にはアルカディアに居るからこの世界のどこを探しても居ない様な物だけどね。


「質問です。何故闇系のドラゴンの糞からわざとストレスを与えないといけないのでしょうか?こちら側で管理しているのであれば必要ないと思うのですが」


 1人の学生が手を上げて聞いて来る。

 俺も最初の頃同じ事考えてたわ。


『良い質問ですね。ぶっちゃけ俺も最初の頃同じ事を考えていました。しかしこのストレスを与える作業は必要で、簡単に言うと植物の根本的な部分を成長させてくれます。分かりやすく言うと……そうだな……体を鍛える、でしょうか。光系のドラゴンの糞は栄養、つまり食事によって成長させますがこれだと植物の茎が強くなったり病気に強くなる事はありません。しかし闇系のドラゴンの糞を使う事で身体を鍛え、体が丈夫になり病気にも強くなる。こんなイメージでよろしいでしょうか?』

「ありがとうございます。ちなみに肥料などで病気から強くなる方法はないのですか?」

『肥料からだと……かなり難しいと思います。私が実際に行っているのは品種改良、つまり同じ植物の掛け合わせでより良い植物を作る事にしています。実際のやり方などは……また後日お話しさせていただきます』


 品種改良は今回の講義内容じゃないからね。

 分かりやすいのは人工受粉させる品種改良だが……遺伝子操作しようと思えば出来なくはないけど、この世界にはそこまでの技術力はないから言わない方が良いだろ。

 俺もあれだけはかなり難しくて手を付けてないし。


 なんて思っているとチャイムが鳴った。

 これで終わりでいいのか?と思って女王様とレオに視線を送ると終わりで良いよと帰ってきたのでこれでお開きにする。


『本日はつたない話でしたがお聞きいただきありがとうございました』


 そう言って突然始まった講義は終えた。

 本当はもっと説明しておくべき事があるんだろうが、元々突然で資料もないしもっと詳しい話を聞きたいのなら後でレオにでも説明しておくか。


 それにしても……見合い中にこんな事してて本当に距離が縮まるのかな……

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