ペットは最後まで責任を持ちましょう
夜に動いてばっかりいたので昼間はゆっくり寝て、少しずつ体を元の調子に戻していこうとしていたのに、なんだか外が騒がしいので目が覚めた。
なんだろうと思いながらカーテンを開けると、人々が牛に追いかけまわされて逃げまどっている。
そう言えば牛に追いかけまわされるお祭りが海外であるって聞いたことあるな……
俺は二度寝することを決めた。
「ドラクゥルさん大変です!突然現れた牛が町の人を襲っています!!」
二度寝を決めていた時に若葉が起こしに来た。
俺はまだ眠くて少し不機嫌になりながら若葉に言う。
「若葉。どっかの牛がどっかの牧場から逃げ出したからって騒ぐなよ。俺は眠いから寝る」
「え、え~。結構大事になってますよ。警察の方も出動してますし、みなさん大騒ぎですよ」
「牧場の管理者呼べ」
「この辺りには砲弾牛の牧場なんてありませんよ。それ以前に普通の人が飼育できる牛じゃありません」
う~ん。半分ぐらい寝ていたが思っていたよりも大事のようだ。
俺はまだ眠かったが渋々ベッドから起き上がり、とりあえず外の様子を眺めてみる。
もう昼を過ぎていたが起きたばっかりなのでモーニングコーヒーを飲んで目を覚まさせる。
「……眠い」
「それよりあの牛、討伐していいんですかね?」
「その辺はこの国の警察関係に聞かないと……ん?」
「どうかしました?」
「今走っていった牛に見覚えが……」
あの牛って裏カジノで暴れてた牛じゃないか?
俺は首をかしげていると今度はライトさんがやってきた。
「大変です!突然クラーケンが大量に発見されました!!」
「あ~うん。海の近くでもないのにクラーケンが出てきたってところで何となく想像できた。クラルテは起きてる?」
「現在原因の解明とその処理に動いています」
「あ~仕方ね。ついでに手伝ってやるか」
このまま罪のない魔物がただ何も分からずに倒されるのはさすがに目覚めが悪い。
ちゃんと寝ていないからか、少し頭が痛いが動き出す。
若葉とライトさんを連れて街をぶ~らぶら。
見つけた魔物を手あたり次第にアルカディアに放り込む。
途中楽だったのは俺がゲームで対戦したというか、ゲームで手懐けたというか、巨大砲弾牛が家族であっちこっち走り回っていたので彼らに協力してもらい砲弾牛の群れをアルカディアに送る。
次に上水道で固まっていたクラーケンのご家族は発見して同じくアルカディアに送る。
そんな感じで裏カジノにいた魔物を回収して回り続けた。
「ドラクゥルさん……相変わらず規格外ですね」
「魔物に言葉を投げかけ、安全な所まで誘導する。普通の人間なら考えもしないでしょうし、やろうともしないでしょう。これはドラクゥル様にしかできない事です」
なんか若葉とライトさんが言っているが眠いのでちゃっちゃと終わらせる。
パックンもブラン達にも協力してもらってアルカディアに移動させたし、魔獣関連は多分大丈夫だろう。多少逃げたやつもいるだろうが、さすがにそこまでは責任が持てない。
とりあえず回収できただけいいだろう。
さすがにこの日は眠かったのに無理に活動したので今夜はゆっくりと寝る。
そして次の日、クラルテの元に行くと想像通り彼らがどうして突然街に現れたのか話した。
「どうやら裏カジノの連中が手に負えなくなって捨てたみたいだね。情報を集めたら昨晩こそこそしてる人影があったって」
「やっぱりな。道理で見覚えのある連中ばっかり走り回っていると思ったよ」
俺は呆れながらクラルテの話を聞く。
ちなみに回収した魔物達に関してはこのままアルカディアでゆっくりと暮らしてもらうつもりだ。
「それで、無責任に捨てた連中はどうなった?」
「現在捜索中。さすがに今回の事は国も黙っていられないからね。全力を挙げて捜査するっていきこんでたよ」
さすがに今回の事で懲りたか。
これなら今後裏カジノを軽視するようなことは無くなるだろう。
元々ギャンブル大国だからちょっとぐらい、なんて思っていたのかもしれないがこんな風に街に被害が出れば黙ってはいられない。
「それで、あのグネグネした道の先に連中はいたのか?」
「さすがにいなかったよ。ステージはそのまま残っていたらしいけど、景品も人も何もない状態だったって。どうやら僕たちはやりすぎて街に被害を出しちゃったみたいだね」
「確かに、そう取られてもおかしくないな。俺達が金銭的な所で攻撃を仕掛けなければ魔物達を手放す、なんてことはしなかったかもしれない。でもステージで暴れる姿を見せ物にされているよりはマシだろうな。あいつらから変な臭いしてたし」
「あ、それ多分興奮剤に使ってた薬物の匂いだと思うよ。指定禁止されるほどではないけど、素人が使っちゃいけない類の薬。それを使って魔物達を興奮させて攻撃的にさせてたみたい」
「どうりでな。やけに興奮してると思った。その薬に中毒性はないよな?」
「大麻みたいな中毒性の事を言っているならないよ。強力な興奮剤ってだけだから」
「ならいい」
そう言ってから俺は思いっきり背伸びをした。
まだ少し眠いので二度寝をしたい。それからアルカディアに送った魔物達が馴染んでいるかどうか確認しておきたい。
俺は帰る前にクラルテに言っておいた。
「クラルテ、次は自分の力だけでどうにかなりそうか」
「うん。もともと親父に頼るつもりはなかったけどね。どうせならっと思った程度だったんだけど、やっぱり親父にはまだ勝てないか」
「それからあのオーナーはどうなった」
「オーナーは見つかったけど、親父の言う通り人形だった」
やっぱりな。
ずっと感じていた違和感。それは生物ではないという気配だったらしい。
いや、俺自身確証はなかった。でもどこか動きがなめらかすぎると言うか、何となく違和感を覚えていたのだ。
そして詳しい話を聞くと、あの仮面の下は目のない口だけある木製の人形だったらしい。
美術室にある木でできたデッサンを書く時用の人形のような感じらしい。それに服を着させて、目元はマスクでごまかせばよかったらしい。
それなら目元だけではなく、顔全体を覆うマスクの方がいいと思うが、あの会場ではマスクを着けていたとしてもなぜか目元だけだったな。
「だから現在オーナーの本体を捜索中。どこかの魔法使いなのかどうか調べないといけないから時間はかかるだろうって」
「そっか。それじゃそろそろ俺達は次の国に行くよ。稼いだチップを現金にできるか?」
「そりゃできるけど、あの大金を何に使うの?」
「そりゃ観光だよ観光。楽しんでくる」
「ちなみにどこに行くの?」
「ライトフェアリーだよ」




