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祭り最終日

 翌日、つまりお祭りの最終日であり俺が肉を配る日だ。

 すでに仕込んだ肉を大聖堂にまで運び、あとはでっかいバーベキューコンロのような物で焼いていくだけだ。

 このタダで食料を配るのがなぜ白夜教会の教義に関係しているかと言うと、単に神様がご飯はみんなで食べる方がいいっと言う言葉を残したからだ。それ以降感謝祭や収穫祭などの最終日にみんなで飯を食うと言う教義の元、こうして飯をふるまう習慣が出来たらしい。

 そしてこの祭りには貴族から平民までいろんな立場の人が来るので可もなく不可もなくと言う料理を普段は出しているそうだが、今回は俺の肉で大丈夫なんだろうか?

 まぁ野菜と同じ高品質の肉を使っているから多分大丈夫だと思うけど。


 教会の色んな人が総出でバーベキューコンロを並べ、お参り?に来る人達に合わせて8時に温かい食事を食べれるようにするそうだ。

 ちなみに肉は1人1つと言う事になった。来る信者さん達の数は不明だし、個数制限をかけておかないと後が大変だろうとの事だ。

 俺はそれぞれその場を仕切る神父さん達に肉を大量に渡しながら挨拶をしていく。

 そしてライトさんも俺の前に現れた。


「ドラクゥルさん。本日はよろしくお願いします」

「よろしくお願いします。ところで前日まで配っていた料理とかって全部食べ切れましたか?」

「はい。大盛りで配ったのでだいぶ減らしましたから。残ったものは私達が食べたので大丈夫です」

「飯を残すのは何となく嫌ですからね。あ、これ終わったらみなさんで食べれるよう準備しておきましたのであとで食べましょうか」

「ありがとうございます。でも大丈夫なんですか?そんなにお肉を配ってしまって……」

「前にも言いましたが食べられずに倉庫に置いておくよりはいいんですよ。ふるまう相手がいないのに食材だけあるっていうのも寂しいですから」


 子供達がみんないる時はこの量をみんなで食べていたからむしろ育成が悪化して生産量が減らないようにするのが大変だった。

 でも今そんな子供達が居ないので余らせるだけ。でも子供達がいつ帰ってきてもいいように作っておかないとっと言う気持ちもあるのでどうするのが正しいのかよく分からない。

 一応最高品質の物だけは変わらず生産しているが……こっちも余り気味なんだよな。食べる人がいないってのは寂しいもんだ。

 今回はその肉を1つ神様にお供えするつもりだけどね。やっぱ神様にあげるなら1番いい物がいいでしょ。


「……そうですか。そしてドラクゥルさんは私と一緒に――」

「お兄ちゃん!手伝いに来たよ!!」


 ライトさんからさらに説明を受ける前に女の子の声が響いた。

 振り向いてみると昨日とは違って子供用のシスター服を着たハクが居た。


「お、ハクじゃん。今日はお兄さんたちにちゃんと伝えたか?」

「うん!昨日ちゃんと伝えて大聖堂の中にいるならいいよって言われた!だからお兄ちゃんの事手伝いに来たの!!」


 ちゃんと許可を持っているのなら別にいいか。

 近付いて来たハクの事をなぜか自然と頭を撫でしまっているのはなんでだろう?ハク自身は気持ちよさそうにされるがままになっているので問題はなさそうだ。

 しかし飛び入りでハクが協力してくれるとなると何か予定が狂ったりしないだろうか。

 俺はライトさんに確認を取る。


「という事でハクも手伝ってくれると言っているのですが……」

「仕方がありませんね。今日大聖堂から外に出てしまわれるよりはいいでしょう。ハク様、ちゃんと私達の話を聞いてくださいね」

「うん!お兄ちゃんとお肉配るの頑張る!!」


 どうやら本人もかなりやる気の様なので大丈夫だろう。


「ハク。お前は子供を相手に肉を配ってもらえるか。子供同士の方が配りやすいだろ」

「分かった。子供にあげればいいんだね」


 確認を取るハクに対して頷いた。

 現在の時間は午前7時、あと1時間で戦闘開始である。


 ――


 午前8時、こちらが肉を焼き始めたと同時に大聖堂の門が開かれた。

 昨日一昨日のようにただお祈りに来たのではなく、みな何かしらの物を持って門をくぐる。それは神様への感謝を込めたお供え物を持っているからだ。小さな子供は手作りのブレスレットだったり、中には花冠を持っている女の子もいる。大人だと農家なのか野菜を持っていたり、どこかで購入したのかプレゼント用の包装紙に包まれた物を持参している人もいる。

 神様へのお供え物は何でもいいと言うの本当のようで、色々な物が祭壇の前に置かれたテーブルの前に大聖堂のシスターさんたちなどがお供え物を受け取り、きれいに並べていく。

 その後お祈りをささげた後は俺たち、肉を焼いている出口に向かってくる。


「今ふと思ったんですけど、教会が肉臭いって大丈夫なんですか?」

「大丈夫ですよ。ほとんどはスープや教会で焼いたパンなどを配ることが多いですが、串肉を渡したこともあります。食に関する教義はみんなで食べると残さないだけですから」

「それならいいですけど……やっぱ教会が肉臭いってイメージがな……」


 俺がきっかけとはいえやっぱり大丈夫なのかな?と思う。

 そしてお祈りを終えた町の人達がこちらにやって来た。


「お、今年は串肉か。こりゃ運がいい」

「どうぞ~。1人1本となっておりますので順番に並んでください。串は出口にゴミ箱があるのでそちらに捨ててください」


 俺の前に来たのは体格のいい大工でもしているような感じの人だった。

 俺はライトさんに聞いていたことをそのまま話しながら肉を渡す。男性は「どうも」と言って肉を受け取ってくれた。

 その後なんてことない様に自然と肉を口に含むと目だけが急に大きくなる。


「こりゃ……ずいぶんと良い肉を使ってるんだな。程よく柔らかくて噛めば噛むほど肉汁があふれてくる。これ誰が用意したんだ?」

「さぁ?申し訳ありませんが俺はただのボランティアなので……」


 ボランティアと言う言葉が通じるかどうか分からないが言ってみると、「そうか……とにかくごちそうさん」と言って男性は出口に向かって去る。

 その後も家族連れだったり、同性同士の友達グループなどがみな肉の味に驚いていた。特に男子グループなんか「うめぇー!!」っと叫んでいたぐらいだ。

 そこからお祈りの列に並んでいた人達も今年は串肉でかなりいい肉を使っているとバレたようで期待しているのかそわそわしている人達が多くいた。

 ハクもお手伝いを頑張り、主に家族連れの小さな子供達に肉を笑顔で配っていた。微笑ましいなぁ~

 

そして当然問題もちょいちょい発生した。内容はどっかの貴族が肉を食ってどこで売っているのか、もし肉を持ってきた人がいるのなら紹介してほしいと食い下がったらしい。他にもこの国の商人の人が似たような問題を起こし、ライトさんや教会のお偉いさんたちが笑顔でおかえり願ったと聞いている。

 この感謝祭に参加している以上彼ら貴族も商人も白夜教なのだろう。だから信仰している宗教のお偉いさんには地位も金も意味をなさないと初めて知った。

 それに列に並んでいた他の普通の人達や、もっと偉くて白夜教に熱心な貴族さんとかも混じっていたらしく、肉の残りを頬張りながら出口に向かって逃げて行った。

 俺はてっきり金持ちは金貨の入った袋とかで殴るとかそういうの見てみたかったんだけどな。


 その後昼にちょっと休憩をはさみ、ハクやライトさん達に弁当をふるまいながら午後も肉を配る。

 大量に余っていた肉はどんどん消費され、みるみるうちに在庫は少なくなっていく。これで倉庫の中がすっきりしたなっと思いながら残った場合はどうするかな、と今更考える。

 他の問題としてもう1度並んだ人がいたという話もちょっとだけ聞いた。こりゃワーカーさんに卸す方がいいかな?


 なんて思っていると午後5時ごろ、ハクがそわそわし始めた。


「どうしたハク?トイレか?」

「そうじゃなくて……その……」

「ハク様は感謝祭の準備に取り掛からないといけないのです」


 ライトさんの言葉で昨日ハクが今日祭りの手伝いが他にあると言う事を思い出した。


「あ~なるほど。それじゃ先にあがりなよ、お疲れ~」

「で、でもまだいっぱい人がいるよ」

「別に商売してるんじゃなくて肉を焼いて渡すだけだから大丈夫だよ。それに確か6時に終わりって聞いてるし、ちょっと早いだけだ」

「でも……」


 それでもハクは申し訳ないのかオロオロとしている。

 俺は笑いながら言う。


「感謝祭で何かするんだろ。こんだけ盛り上がってるんだから堂々とやってきな。こっちにはまだまだ人がいるんだから」


 そう言って他の人達が頑張っているところを見てから頷いた。


「分かった。お祭り成功させないとダメだもんね!」

「そう言う事。ライトさんが連れて行くなら大丈夫だろ」

「はい。ハク様をお連れしたあと戻ってきますので少々お時間をいただきます。行きますよ、ハク様」

「お兄ちゃんまたね~」


 そう言ってハクが手を振るので俺も肉を焼きながら手を振り返した。

 さて、あと1時間頑張りますか!!

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