(09)街釣り
線路の反対側へ初めて出てみた2人の目に偶然飛び込んできた釣り堀店の看板に魅かれてその釣り堀店を目指して歩いている2人。
五嶽「それにしても面白そうなところの看板だけにその釣り堀屋さんどんなとこか気になりますよね?ww」
川崎「ww確かに釣りができるところって山の中の川の上流に行けばよく見られるけども、そんな釣りができるところが街中に堂々とあるのが面白いところですね?w」
五嶽「ちょっとその前にここにコンビニがあるからお昼買ってきましょうか?」
川崎「はい」
2人は釣り堀店に着く前にコンビニで昼食になるものを買っていった。
五嶽「あとちょっと歩けば釣り堀屋さんがありますね?この道の先に見えてますね?」
川崎「ホントだわww確かに『釣り処フィッシングパーク』って書かれた看板がありますね?」
五嶽「ハヅキちゃんって釣りやるの初めてでしょうか?」
川崎「私、釣りするの初めてです。ゴタクちゃんも釣りって今日初めてでしょうか?」
五嶽「私は昔、まだ子供の頃、親に連れられて妹と一緒に今から行くような感じの釣り堀屋さんでやったことがありますよww」
川崎「ゴタクちゃんって子供の頃に釣りやってらっしゃたのですか~?でも、子供の頃だからもう10年は経ってるからちょっと魚を釣り上げる時のコツを忘れちゃってるかもしれないかな・・・?」
五嶽「確かに私が子供の頃って言ったらもう10年はいってるからちょっと最初は竿に魚が引っかかっていざ釣り上げようとしても魚に逃げられちゃうかもしれないかな?ww」
2人がもうすぐ入ろうとしている「釣り処フィッシングパーク」の前にはバス停があり、そのバス停に快速が止まる駅からやってきた1台のバスが止まった。「釣り処フィッシングパーク」へは快速が止まる駅からそのバスで行くこともできる。
五嶽「ここですね」
川崎「はい。私釣りやるの初めてだから半分楽しみでももう半分は不安」
2人は「釣り処フィッシングパーク」に入った。「釣り処フィッシングパーク」は倉庫を思わせる山状の屋根のある建物の中に池須があるもので中は広く団体客で押しかけてきても対応可能である。受付のカウンターにいる人が親切度満々な30歳代の男性で2人は受付けの人に「今日初めて利用される」ことを伝えた。
受付けの人「どうぞいらっしゃいませ。お2人様ここ初めてでしょうか?」
五嶽「はい。線路の近くにここの釣り堀屋さんの看板があって気になって訪れてみました」
川崎「私、釣りやるの初めてなのですが・・・?」
受付けの人「そうなんですか~。お2人様とも釣りのほうは初めてなんですか~?それでしたら初心者にも大満足にお楽しみいただける釣り竿と餌をお貸しいたしますね?その前にこちらが当店のご利用案内となっておりまして、基本料金は1時間で800円、これは10%の税込みのお値段となります。平日でしたらこの1時間の基本料金800円でそのままもう30分間利用可能です。以降、延長は1時間ごとに300円が加算されていきます。お一人様で当店をご利用されることも大歓迎でお一人様の場合はご入店されたその日のうちでしたら1日中ご利用された時間に関係なく800円と非常にお得になっております。竿代と餌代は基本料金とは別で1回のご来店につき初心者向けのは200円、中級者以上向けには300円となります。竿で釣った魚を救い上げることができる救い網は初級者向けをご希望の方にはもれなくお貸しいたしますが、お申し出頂ければ中級者以上向けご希望の方にもお貸しいたしております」
五嶽「はいはい」
川崎「そうですね~」
受付けの人「釣ることができた魚は釣った後、再び池須に返して頂ければ基本料金と竿料金のみとなりますが、お持ち帰りの場合、魚を入れる冷蔵ボックスとお持ち帰られる魚の対価に相当する代金を頂いておりまして、冷蔵ボックスは小さいサイズのが200円、大きいサイズのは400円での販売となっております。また釣ってすぐの魚を食べたいと思われる時には当店のすぐ近くに当店系列の中華料理店『蓮華の街』がありますのでそこへ当店で釣ることのできた魚を持ち込んで調理してもらうことができます。『蓮華の街』で調理される際、特に別料金は頂いておりません。当店で釣りたての魚を『蓮華の街』で余分な追加料金なしでお楽しみください。なお、当店の池須の魚はすべて当店で養殖して育ててきたものです。釣ってみてまだ小さめの魚を再び池須へ戻すことによってその魚はさらに生け簀を泳ぎ回り大きくなっていきます」
五嶽「そうですか~。ということでとりあえずはお試しで1時間お願いしますね」
受付けの人「そうしましたら基本料金800円と初心者向けの釣り具代200円を2名様分となりますね。合わせて2,000円となります。割り勘でのお支払いでも大丈夫ですよ。時間を延長した場合は延長した分だけお帰りの際に1時間につき300円をお支払いくださいませ」
2人が受付けの人へ釣り堀利用料金を支払った後、受付けの人から釣り竿と餌、それに救い網を1人分ずつ渡されいよいよ釣り堀での釣りがスタートした。
「釣り処フィッシングパーク」の店内は3m×12mの長方形をした池須が2列あり、2人はよく釣れそうな場所を予想しながら場所取りをし、釣りを始めた。
五嶽「こうやって竿の先の針に魚の餌を刺したらwwじゃあ、まずは私が1匹釣って見せてあげますね」
川崎「ゴタクちゃん早速乗ってますね?wwそういえばゴタクちゃんって子供の頃にもここみたいな釣り堀屋さんで釣りやったことがあるってここまで来る途中、歩いてる時に聞いてるから?」
五嶽は池須に餌を刺した釣り竿を投げ入れた。
五嶽「エイヤッ!」
「ハヅキちゃんも竿の先の針に魚の餌を刺しててくださいね。餌を刺す時、針が尖ってるので気を付けてくださいね」
川崎「はい、そうですね。初級者向けの餌は固い玉餌だから針に刺しやすいね?ww」
五嶽「魚が竿に引っかかると竿がちょっと重くなる感じがするので。ハヅキちゃんも池須に餌をくっつけた竿を投げ入れてみて」
川崎「じゃあww私もw竿を投げ入れてみるね。ついでに万一、魚が逃げられそうになっちゃった時のために救い網も使うねww」
五嶽「あっ!竿に何かかかったようですね?」
川崎「ゴタクちゃん早速1匹釣れたみたいですね?竿を上げてみて」
五嶽「ちょっと竿が重く感じてきてるから竿を上げてみますねww」
早速、五嶽の持った竿に魚がかかってくれた。
五嶽「といって、そんなに竿が重くなったというわけではないからそう大きな魚ではないかも?」
五嶽は魚のかかった竿を池須から上げた。五嶽の予想していた通り魚の大きさはまだ小さめだった。
五嶽「ハヅキちゃん、早速釣り上げることができた1匹目で~す」
川崎「ゴタクちゃん、お見事だねww早速1匹目を。でも、まだ小さいからゴタクちゃんの釣った魚が可愛く見えていいね~?」
五嶽「そうですよね~。でも、まだ魚が小さいからまた池須に戻しましょうかね?そうしたらまた今釣った魚が池須の中で大きく育っていくからね?ww」
川崎「そうだねwwゴタクちゃんいいこと言うねww」
五嶽「今は食べるための魚を釣ってるのじゃなくて、とにかく上手く釣れるようになるための練習ですから?ハヅキちゃんもいっぱい魚釣ってきましょうねww」
川崎「そう言われると励みになっていいわ~」
「私の竿にも魚がかかったようだね?ちょっと竿を上げてみようっと」
川崎の竿にも魚がかかった。
五嶽「ハヅキちゃんの竿にも魚がかかったようですね?」
川崎「どれどれ?竿を上げてみるね」
五嶽「ハヅキちゃん、どんな魚を釣り上げるのでしょうかね~?」
川崎「私もまたまだ小さめの魚でしたよ・・・」
五嶽「まだ、いっぱい時間はありますから、最初のほうは魚を釣る練習と思っていっぱい魚を釣ってって小さかったらまた池須に返せばいいのでww」
川崎「そうだね。ゴタクちゃんの言うように私が今釣った魚は池須に返すねww」
2人が「釣り処フィッシングパーク」で釣りを始めて最初は2人ともにサイズの小さな魚ばかりが釣り上がりその度釣った魚を池須に返したが、その時、川崎が大きめの魚を釣り上げた。
川崎「あっ!私の竿に何やらこれは?wwちょっと大きいかも?」
隣にいた五嶽は川崎の竿にかかった大きな魚が逃げないように救い網を手に取り、池須の水の中にある川崎の竿の先に救い網を落とした。
五嶽「今、ハヅキちゃんが大きなのかかったようだからせっかくの大きな魚が逃げないように私が救い網で大きな魚を救ってあげますね」
川崎「せっかく釣れると思って竿を上げても魚が逃げてしまったなんて残念でガッカリですからね?」
五嶽「わ~。ホントに網が重いからハヅキちゃんの釣った魚は大きいかも?」
「今、ハヅキちゃんが釣った大きい魚、家に持って帰りたいでしょうか?」
川崎「そうだね~。せっかく釣り上げることができた大きな魚だから家に持って帰って、というより私、大きな魚がうまく捌けないから今いる釣り堀屋さんの系列と言ってた中華料理店でその魚を料理してくれると受付けの人が言ってたから、その魚中華料理店へ持ってって料理してもらいましょうか?」
五嶽「そうですよね。それじゃ魚を持ち帰るための冷蔵ボックスを買ってきましょうか?」
川崎「はい、そうですね~」
魚のかかった竿を持っているのは川崎だがその魚を救い上げたのは五嶽の2人で力を合わせて釣り上げた魚は2人の予想していた通りに大きかった。五嶽は受付けへ釣れた魚を家へ持ち帰るための冷蔵ボックスを注文しに行った。
五嶽「すみません。今大きな魚を釣り上げることができて、その魚を持ち帰りたいので冷蔵ボックスが欲しいのですが」
受付けの人「冷蔵ボックスですね。サイズは小さいのと大きいのどちらがよろしいでしょうか?」
五嶽「小さいのを2個お願いいたします」
受付けの人「小さいサイズのを2個ですね。冷蔵ボックス代はお買い求めになられた時にお支払いいただきますので、合わせて400円となります」
五嶽「そうですね。ちょうど400円ありますよ」
受付けの人「どうもありがとうございます。釣りのほう引き続きお楽しみくださいませ」
受付けへ冷蔵ボックスを買いに行った五嶽が再び川崎の隣に戻った。
五嶽「ハヅキちゃん、私が今買ってきた冷蔵ボックスに今ハヅキちゃんが釣った大きな魚を入れましょうか」
川崎「はい」
五嶽「私も大きいのを釣り上げたいわ~」
川崎「まだまだいっぱい魚釣ってきましょうねww」
2人はまた池須へ餌を付けた竿を投げ入れて魚がかかるのを待った。五嶽は「魚がかかったらいつでも竿が上げられるよう」竿を手に持った状態でいた。
池須に竿を投げ入れてからしばらくして今度は五嶽のほうの竿に何やら大きな魚がかかった感じがした。
五嶽「ようやくかな~?私の竿に大きそうなのが?ww」
川崎「頑張って。ゴタクちゃん。きっとその竿にかかった魚大きそうだよ?」
竿に大きいものがかかった五嶽は竿を上げたが、残念なことにその竿にかかった魚は釣り上げようとした直前に逃げられてしまった。
五嶽「あ~あ・・・逃げちゃったよ・・・」
「せっかく大きそうな魚だったのにな・・・」
川崎「ゴタクちゃん。あきらめないでまだいっぱい魚を釣ってきましょうよ」
五嶽「そうだねwwハヅキちゃん。じゃあ、もう1回竿を池須に落としてみますね」
五嶽は川崎からの励ましによってもう一度竿を池須に投げ入れ、五嶽は「今度は大きいのがかかってほしいな」と期待を込めた。
2人が「釣り処フィッシングパーク」に入店して1時間になろうとするところで川崎から「そろそろ魚を釣るの終わりにして中華料理店にお昼食べに行かない?」という一言で2人はここでの魚釣りを終了することにした。1時間で2人ともに1匹ずつ大きい魚を釣ることができた。「釣り処フィッシングパーク」での利用料金の会計を済ませたあと、最初、魚釣りをしている途中で「系列の中華料理店へ持っていって料理してもらいたい」と考えていた川崎の考えが変わり「やっぱり家に持って帰って五嶽に捌いてもらいたい」という気持ちになったことから「釣り処フィッシングパーク」を出たら2人の住むアパートへ戻ることにした。
川崎「あの、私が釣った魚。中華料理店に持ってってお店の人に料理してもらうよりもゴタクちゃんに捌いてもらいたいなw」
「だってゴタクちゃんお料理が得意ですから」
五嶽「そうですよね、ハヅキちゃん。やはり自分で釣った魚は自分で捌いたほうがおいしいからね?ww」
川崎「そうだね」
2人の住むアパートに帰った2人はまず、まだ昼食を食べていなかったので「釣り処フィッシングパーク」へ向かう途中のコンビニで買ったものを食べて、一休みしたらいよいよさっき釣ってきたばかりの魚を捌き始めた。
五嶽「じゃあ、まずはハヅキちゃんの釣った魚から捌いてきましょうかね~」
川崎「わ~。ゴタクちゃんが魚を捌いてくところ今からもう楽しみだわ~ww」
五嶽はまな板の上に川崎が釣った魚を頭を右側にして置き、左側のほうを手で掴みまずは魚の頭を包丁で切り落とした。
五嶽「まずこうやって頭を切り落とすことによって魚の身を下ろしやすくします。頭を切り落としたらお腹のところに包丁を入れて内臓を取り出しちゃいます。内臓は塩を振って焼いたらおいしいですのでちゃんと残します」
五嶽は頭を切り落とされた魚のお腹から内臓を取り出してお皿に乗せた。それを興味深く見守る川崎。
川崎「ゴタクちゃん。魚を捌いた時に出てくる内臓もちゃんとお皿に残して塩焼きにするのですね~?お料理のことに詳しいゴタクちゃんですねww」
「それと私の釣ったこの魚は意外に刺々しくないつるんとした姿をしててゴタクちゃんにも捌きやすそうですね?」
五嶽「そうですよね~。刺々しい姿をしてる魚だったらもっと捌きにいですし、捌いてる途中でケガしちゃったりもしちゃうから大変ですよ」
「ハヅキちゃん、つるんとした姿の魚を釣ってくれてどうもありがとうございますね」
川崎「そんな、そんなwwお礼を言うほどでもww」
五嶽「切り落とした頭や中骨からもとってもいい出汁が出てくるので今日の晩御飯、これを使って炊き込みご飯っていうのどうでしょうかね~?」
川崎「わ~。この魚を使った炊き込みご飯。とってもおいしそうだわ~?じゃあ、それ今晩に作ろう!」
五嶽「頭や中骨にも肉は残ってますからその肉が炊き込みご飯の具になるのです」
川崎「ところで、ゴタクちゃんの釣った魚はどうしましょうかね~?」
五嶽「じゃあ、これは中骨を付けたままの輪切りにして煮物にしましょうかね~?」
「煮物もやっぱり頭や中骨からの出汁がものを言いますからね~?ww」
この日は2人揃って休みなので夕食も楽しく作って用意することができた。
五嶽「まずはハヅキちゃんの釣った魚から出た出汁のいっぱい詰まってる炊き込みご飯から」
「どう?おいしいでしょうか?ハヅキちゃん」
川崎「ものすごくおいしいわ~。やっぱりお料理って魚の出汁もまた大事ですからね~?」
「ゴタクちゃんの釣った魚で作った煮物もまた魚からの出汁はもちろん、男の人が作った手料理らしく大胆さがいいですよね~」
五嶽「魚の煮物はやっぱり輪切りにして作らないとハヅキちゃんの言ってる大胆さが出てきませんから」
「これだったらただ単に魚を輪切りにして後は煮ていくだけですから作るのものすごく簡単でハヅキちゃんにも作れますよww」
川崎「そうだね。輪切りだったら魚を切るの簡単だからね。ただ、今日行ってきた釣り堀には2人が揃ってお休みにならないと出かけられないからスーパーで売ってる捌く前の魚でもいいのかな?ww」
五嶽「釣り堀で釣った魚でもスーパーで買ってきた魚でも魚は魚ですからねww出来上がるものは一緒ですよねww」
川崎「ですよね~ww」
「もう一つ、魚の食べ方といえば生のままで食べる『お刺身』もまた忘れられませんね?私の釣った魚の中骨を切り分けた身の部分は『お刺身』にして食べるのが一番おいしいですね?」
五嶽「ハヅキちゃんの釣った魚は身の部分は『刺身』にするのが一番おいしい食べ方だと思いますよ?」